インタビュー記事

設立14年目にして本格的にスタートした「顧客視点のマーケティング専門部署」-株式会社ロックオン

2021年09月18日
8,000件を超える導入実績を持つ「アドエビス」を提供する株式会社ロックオン。
「アドエビス」は、一気通貫したマーケティングを支援するマーケティングプラットフォームです。そんなロックオンが2016年10月からマーケティング部を発足させ、設立半年で部員を4名に増員し、顧客視点のマーケティングに力を入れ始めています。

■マーケティング活動歴:
2004年アドエビスリリース当初より、業界誌や業界メディアへの広告出稿を中心にマーケティング展開をしていたが、
2016年10月よりマーケティング部を強化し、本格的にマーケティング活動開始
■マーケティング担当者数:4名(専任)
■マーケティング活動を実施している商材:マーケティングプラットフォーム「アドエビス」
目 次

2016年10月からマーケティング部を本格的に発足

Q.まずは御社の事業内容を教えてください。

弊社は企業と顧客のコミュニケーションを円滑にするため「マーケティングの自動化・効率化事業(マーケティングロボット)」を提供しています。その核となるのがマーケティングプラットフォーム「アドエビス」です。「アドエビス」は、顕在層向け施策のインターネット広告の効果測定はもちろん、潜在層向け施策であるコンテンツマーケティングや動画広告の閲覧ログ、マス媒体であるテレビCMに至るまで、あらゆるユーザー接点を網羅的に蓄積し、マーケティングにおけるパフォーマンス最大化の仮説立て・予算最適化・検証をサポートする分析サービスです。

Q.現在取り組んでいるマーケティング手法について教えてください。

大きく7つあります。オウンドメディア(アドエビスマーケラボ)、MAを用いたユーザー育成、SEM、Facebook広告、記事広告、展示会出展、セミナー開催です。

Q.どういった体制でマーケティング活動を行っていますか?

これまではコンサルティングサービス部内でマーケティング活動を行っていましたが、2016年10月からマーケティングの専門部署を発足させました。10月当初は、私含めた2名体制でしたが、3月から人員を増強し、すでに4名体制になっています。

Q.なぜ今になってマーケティングの部署を発足させたのですか?

話はシンプルで、これまで片手間でやっていたマーケティングでは、効果が見込む事が難しくなってきたからです。これまではアドエビスが属する領域、ポジションにおいては、正直、特定の媒体に広告出稿をしていれば効果が出ていました。

しかしながら、メディアやユーザーが多様化してきています。そのため、「この媒体に露出していおけば大丈夫」という状況ではなくなりつつあると感じてきました。顕在層向けのマーケティングは弊社の業界でもいよいよ飽和しつつあり、今後は潜在層から顧客を育成し、顕在層に引き上げていくマーケティングを実施する必要が出てきたからです。

アドエビス飛躍のきっかけとなった広告展開

設立14年目にして本格的にスタートした「顧客視点のマーケティング専門部署」-株式会社ロックオン

Q. ロックオンさんのマーケティング活動というと「宣伝会議」の広告が印象に残っています。

ありがとうございます。アドエビスをリリースした当初、2004年頃に実施したマーケティングですね。アドエビスは約14年間提供していますが、リリース当初は全く売れませんでした。誰も知らないツールが勝手に売れることはないですから、当たり前ですよね。
アドエビスには自信がありましたが、やはり認知が足りていないことは決定的でしたから、まず最初に行ったことは、アドエビスの導入事例を作る事でした。
そして、その導入事例を、当時広告業界の担当者が数多く見ていた媒体である宣伝会議に広告出稿することにしたのが始まりですね。

Q.効果はあったのでしょうか?

非常にありました。当時弊社は企業規模が小さく(社員約10名)、もちろん広告予算もなかったわけですが、それでも思い切って広告投資をした結果、見込んでいた以上の投資効果がありました。
これは、社長の岩田の決断です。「いくらサービスが良くても信頼性や実績がなければ売れない」と。宣伝会議は当時も実績ある企業が数多く広告出稿していた媒体であり、アドエビスに足りなかった信頼性を補うためにはとても最適な広告媒体でした。
宣伝会議で最初に展開した座談会形式の記事広告というのも良かったのかもしれません。
当時の社長の岩田以外は、名だたる企業の担当者や大手広告代理店の担当者でした(笑)。その座談会でご一緒した大手広告代理店との取引もその取材きっかけで始まり、今から思えばサービス拡大の大きなターニングポイントとなりました。その後、宣伝会議の表4枠(雑誌の裏面)をジャックする広告展開の実施や、定期的な広告出稿を行っていくことになりました。

<宣伝会議表4ジャック広告>

設立14年目にして本格的にスタートした「顧客視点のマーケティング専門部署」-株式会社ロックオン

マーケティングは顧客視点が欠かせない

設立14年目にして本格的にスタートした「顧客視点のマーケティング専門部署」-株式会社ロックオン

Q.マーケティング部では、具体的にどのような目標や業務を担っているのでしょうか?

営業が直接インサイド営業を行うことができる「セールスリードの創出」と展示会・セミナー等で収集する「アウトバウンドリードの獲得」の2つが目標です。
また、もちろん製品バージョンアップに伴うプロモーションを担うことはもちろん、営業ツールやホワイトペーパーの制作もマーケティング部で行っています。

Q.新設のマーケティング部はどのような方を選定したのでしょうか?

最初のメンバーはトップ営業マンをアサインしました。アドエビスの本質を理解して顧客視点でマーケティングを進めるためには、営業が出来る人間でないと絶対に難しいと思ったからです。例えば、役職者に対して訴求するのと運用担当者に訴求するのでは全く違ったアプローチが必要になります。それがわかるためには営業経験が必ず必要です。
現在SEMやFacebook広告を出稿していますが、LPやバナーなどのコンテンツが顧客視点にまだまだできていないという課題を持っています。これらを改善し、顧客視点でのマーケティングを進めていきたいと考えています。

Q. 現在最も効果の出ているマーケティング施策を教えてください。

オウンドメディア(アドエビスマーケラボ)との連動施策が最も効果があります。記事メディアを立ち上げ、アドエビスの将来顧客になる可能性の高いマーケティング担当者に対して「マーケティングに役立つTips」を紹介しています。
オウンドメディアだけではコンバージョンすることはほぼありませんが、「記事をアップ⇒メルマガで周知⇒SEMやFacebook広告で訴求」と連動した施策を行うことで、質の高いコンバージョンを生み出すことができています。

Q.メルマガの配信リストはいつ頃から収集していたのでしょうか?

実は約14年前から蓄積しています。アドエビスを提供し始めたフェーズからSFAを導入し、見込み客リストを一元管理してDB化していました。
これは本当に今から考えると良かったと思っています。このハウスリストがあることによって、現在マーケティングの強化に伴う活動ができており、貴重な資産となっています。

まとめ

メディアやユーザーが多様化し、画一的なマーケティング施策ではこれまでのような成果を上げられなくなりました。そこで多くの企業がMAやSFAに注目していますが、運用がしっかりしていなければ導入する意味はありません。ロックオン社のマーケティング活動の歴史や本記事では書ききれませんでしたが、現在のマーケティング部が担う役割は本来営業部門が担っていた業務もあり、新たなマーケティング部のカタチとしてとても興味深いものでした。顧客視点の情報提供とそれを実現する体制創りを既存のやり方にはめずに考えぬく姿勢は、今後マーケティングの専任部門発足を検討するB2B企業にとって必須と思われます。

<マーケティング担当者のプロフィール>
■又座 加奈子/専務取締役
WEB制作を主な事業としていた黎明期には、クリエイターとして様々なクリエイティブを世に送り出し、多数の業界専門誌に掲載された実績を持つ。2006年からは、東京支社長として営業組織の構築を行い、「アドエビス」の販売体制を確立。
その後、マザーズ上場準備のため、大阪の管理部に異動し、マザーズ上場後、2015年に再度「アドエビス」を提供する東京支社に異動し、みなさまのマーケティングのお手伝いに携わっています。

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このコラムを書いたライター
BtoBマーケティングBPO編集部
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