インタビュー記事

営業との緊密な連携で、成果にこだわるマーケティングを実践―大興電子通信株式会社様

2023年03月30日
大興電子通信は、ICTに関わるあらゆるニーズにワンストップで対応するシステムインテグレーターです。オウンドメディアを基軸にしたデジタルマーケティングに力をいれており、昨年対比でオウンドメディア経由の発生リード数は150%成長をしています。今回はデジタルマーケティングを統括しているマーケティング企画室の山口様、小松原様にお話しをお伺いしました。
目 次

“新規顧客開拓”と“新規案件創出”がミッション

営業との緊密な連携で、成果にこだわるマーケティングを実践―大興電子通信株式会社様

マーケティング本部 マーケティング企画室
マーケティング 企画課 チーフ 小松原 隆均氏

貴社の事業内容とマーケティング注力製品について教えてください

弊社は、“情報サービスを通して、価値ある仕組みを創造することで社会の発展に貢献する”という経営理念の元、ハード/ソフト問わず、お客様のご要望に合わせてさまざまなシステムを開発・運営・サポートしています。

業態の特性上取り扱い商品が多岐に渡るため、経営戦略や市場状況を鑑みて注力製品・ソリューションを定めてマーケティング活動を行っています。

マーケティング部門の役割と体制について教えてください。

弊社が本格的にマーケティングに力を入れ始めたのは、3年前です。それまでは、営業推進部として、Webサイトの管理や販促イベントの運営支援などを行っていました。

全社として営業活動を強化する方針から、2017年にSFAを導入、翌年にはMA(マーケティングオートメーション)を導入し、本格的にマーケティング企画室としてデジタルマーケティングの活動を開始しました。同時に自社のマーケティングサイトを構築し現在に至ります。

現在のマーケティング企画室は、マーケティング企画課と営業推進課に分かれ、合計10名で運営しており、マーケティング企画課では、“新規顧客開拓”と“新規案件創出”がミッションとなっております。

それぞれの役割としては、マーケティング企画課が、デジタルマーケティングやその他プロモーションの企画・運営を担っています。営業推進課は、イベントの運営サポートやパートナー様との連携対応、CS(顧客満足度)向上に関する企画・実施を担当しています。

KPIは営業対象リード数

マーケティング活動におけるKPIを教えてください。

KPIは、“営業対象リード(SAL: Sales Accepted Lead)数”です。複数の経路から入ってきたリードを、マーケティング企画室で集約し、商談対象となるリードを選別して営業担当者へ引き渡しています。

どのリードをSALとするかは、「営業がコンタクトするべきリードなのかどうか」によって判断しています。例えば具体的な製品の価格を知りたいなど顕在化している可能性のあるリードは営業担当者へ、ホワイトペーパーダウンロード者等の潜在的なリードはインサイドセールス担当に振り分けています。

営業担当者に引き渡した後は、SFAにて商談進捗を管理しています。マーケティング企画室のKPIは営業対象リードの数ですが、引き渡したリードが受注まで結び付いているのかをマーケティング企画室でも把握することで、KGI達成に寄与する活動ができているのかを振り返るようにしています。

コロナ後にWebからのCV数が加速

営業との緊密な連携で、成果にこだわるマーケティングを実践―大興電子通信株式会社様

現在どのようなマーケティング施策を行っていますか?

オンライン・オフラインを含めさまざまな施策を同時進行しています。
中でも力をいれているのは、オウンドメディアマーケティングとMAを活用したリードナーチャリングです。その他、事業の状況や方針に応じて、リスティング広告や企業ターゲティング広告等、比較サイトへの掲載等のリード獲得施策や、ウェビナー、オンライン展示会への出展も取り組んでいます。

マーケティング活動による成果はいかがでしょうか?

色々と課題はあるものの、総じて成果が出ています。

特に、「DAiKO+PLUS」を中心としたオウンドメディアマーケティング施策は、ほかの施策と比較してもリード獲得における費用対効果が高く、これまでのプロダクトアウト型のサービス紹介サイトと比較して獲得できるリードの裾野が広がりました。

一方でリスティング広告やウェビナー、オンライン展示会でのリード獲得についてはまだ改善の必要性を感じています。

コロナ禍で、行うマーケティング活動に変化はありましたか?

マーケティング活動自体は、コロナ禍前から進めていることなので、活動自体は特に変わらないのですが、コロナ後にWebからの問合せ数が加速したように感じています。

コロナ禍によって開始したウェビナーやオンライン展示会出展に関しては、リモートワークが増えた影響で、手軽に企画できるようになり、ユーザーも参加しやすくなった点は良いのですが、商談化という視点ではリアルなものより効果は下がっています。

特にオンライン展示会は、ブースを設けているだけでは集客できず、リード獲得単価がリアル展示会の2倍程になっているため、オンラインでの販促イベントは、今後出展方法に工夫が必要だと感じています。

「真の目的を見失わないこと」と「細かな改善」が大切

営業との緊密な連携で、成果にこだわるマーケティングを実践―大興電子通信株式会社様

マーケティング本部 マーケティング企画室
マーケティング 企画課 マネージャー 山口 夕香里氏

PDCAを回す上で大切にしていること・意識していることを教えてください。

マーケティング活動のPDCAを進める上で意識していることは、大きく分けて3つあります。

1つ目は、目的(KPI達成)とする成果が出ているかどうかにこだわるということです。
マーケティング施策ごとで見るべき指標は異なるケースがありますが、真の目的を見失わないようにすることを心がけています。例えば、“商談獲得”を目的にしたセミナーを実施した場合、どれだけ多く集客して保有リード数が倍増したとしても、それで良しとするのではなく、セミナーからの何件商談に結びついたのかを最後まで追求していくといったことです。

2つ目は、どのような細かな改善でも試してみるということです。
ターゲットメディアさんから、コンバージョン率を上げる改善策として「ページ内に誘導ボタンを設置してはどうか?」とか、「説明文の言葉・表現を変えてみるのはどうか?」といったような細かな改善提案をよく頂きます。最初は「そんなわずかな変化に効果があるのかな?」と疑っていたのですが、実際には効果が出ていました。その経験から、「最初は“どうかな?”」と思った提案でも、自分の主観で判断せず何でもトライしてみることを意識しています。

最後は、上記2つを丁寧なコミュニケーションとスピードをもって進めるということです。
特に営業との意思疎通は大事にしています。会議も、定期会議と個別会議を合わせると、1週間に1回以上のペースで開いており、緊密にコミュニケーションを取っています。
また、リード提供の際にも、「サービスに関する具体的な問合せなので早めに接触してほしい。」といった詳細な情報を分かりやすく伝えると共に、出来る限りスピーディーに引き渡すよう心がけています。

マーケティング活動において、営業部門との連携は重要

御社は営業部門と良い信頼関係を築かれているように感じます。その秘訣は?

私達マーケティング担当者が、営業経験者だからというのが大きいと思います。営業の立場や苦労も理解できますし、現場の営業社員との個人的な関係性もありますのでマーケティング部門側の希望を押し付けるのではなく、営業に寄り添うという姿勢は忘れないようにしています。
また、営業も私達のマーケティング活動に対して一定の評価をしてくれており、協力的だということもあると思います。

全社的にマーケティング活動に取り組み始める前は、ある事業部門で独自で製品サイト作ったり、テレマーケティングを行ったりといった販促活動をすでに5,6年続けていました。
本格的にマーケティング企画室として活動を始めた際には、その流れを活かして、すでにマーケティングリテラシーの高かったこの事業部門から進めました。そこでの成果を元に他の部門にも広げていったので、マーケティングと営業の連携がスムーズに進められたのではないかとも考えています。

そういう意味では、商材の種類と現状の営業体制に応じて「どのように営業と連携のとれるマーケティング活動を浸透させていくべきか」を考えるということは大切なポイントかもしれません。

また、マーケティング部門は、営業が前線でより高い成果を上げるためのバックヤード的な位置づけであるという意識を持ち、一つ一つのリードが、後々他の製品提案に繋がるターゲットとなるかどうかを見極めることも営業との連携プレーに必要なことかと思います。

顧客が求めるコンテンツを発信すること

今後注力していきたいと考えているマーケティング施策についてお聞かせください。

今後も力を入れていきたいのは、リードナーチャリングです。幸いリードの数自体は順調に増えていっているので、その中から商談化できるリード(=SAL)をもっと増やしていきたいです。そのためには、お客さまのニーズや情報をキャッチアップして、顧客が求めるコンテンツを発信することが必要だと考えています。

また、新型コロナウイルスの影響で営業は顧客との接点作りやリレーションの構築が難しくなっているので、それをフォローできるようなマーケティング&セールスの仕組みを作りたいです。そのためには、デジタル化・自動化・効率化といった視点だけでなく、アナログな営業フォローもマーケティング部門として大切なのではないかなと思っています。

さらに、ターゲット製品以外のお問い合わせについても、取りこぼさず営業案件につなげられるようなフォローの方法も考えていきたいです。

最後に、今後ターゲットメディアに期待していることがあればお聞かせ下さい。

今後は、現状注力している商材以外にもマーケティング活動を横展開していきたいと考えています。また、先でお話したリードナーチャリング施策についてもより進化させるために支援してもらいたいと思います。具体的にはリードからもっと商談につなげる方法や、顧客が求めるコンテンツ企画など、デジタルマーケティングが多くの企業で活性化している現在、他社と差別化をはかり商談化率を上げる施策を共に考えて頂きたいと思います。

BtoBマーケティング施策一覧表(Excel)
BtoBマーケティング施策一覧表(Excel)
BtoBマーケティングの施策を検討する際に活用できる施策一覧表です。
BtoBマーケティングの全体像から以下3つの軸に分けてご紹介しています。
 ・リード獲得施策
 ・Webサイト施策
 ・リードナーチャリング施策
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このコラムを書いたライター
BtoBマーケティングBPO編集部
BtoBマーケティングBPO編集部
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