デジタルセールスとは?デジタルマーケティングの違いや具体的な活動を解説

DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が認知されはじめ、営業活動においてもDX化を推進しようと考えている企業が増えています。

デジタルセールスとは、こうした営業DXの流れを汲み営業活動をデジタル化することで、営業効率の向上を目的として取り組む活動です。

デジタルセールスは、従来の営業活動と異なり、営業部門だけでなくマーケティング部門やIT部門など様々な部門が連携して推進していく必要があります。

スムーズな意思決定や最適なリソース配分を行うためにもデジタルセールス活動について関与者全員が共通認識を持っておく必要があります。

本記事では、デジタルセールスの定義と具体的な活動について解説します。これから新規事業に取り組む方は、ぜひ参考にしてください。
ホワイトペーパー

デジタルセールスの進め方ガイド
『デジセの指南書』

本資料は、デジタルマーケティングやテクノロジーを活用し、新しい営業の仕組みを構築したいと考えている営業部門・マーケティング部門の方々を対象に作成した資料です。これから本格的にデジタルセールスに取り組みたいと考えるBtoB企業の皆様にとって、有益なヒントをお届けできれば幸いです。

デジタルセールスとは何か?定義と目的を整理

デジタルセールスとは、デジタル技術やツールを活用した営業戦略や活動を指します。BtoB分野でも「営業DX」の概念が認知され、営業活動をデジタル化することで、営業効率の向上を検討する企業が増えています。
ただし、営業活動をデジタル化することがデジタルセールスの目的かというとそうではありません。

デジタルセールスの目的は、従来の営業活動同様、新たな顧客を開拓することでの売上アップや、既存顧客との関係性を強化することで取引額の向上を図ることです。

この目的を達成しないことにはデジタルセールスを実現できているとは言えません。

デジタルセールスとデジタルマーケティングの違い

BtoB企業の間では、デジタルセールスという言葉よりもデジタルマーケティングの方が早くから認知されていました。

デジタルセールスとデジタルマーケティングを区別して捉えがちですが、活動の目的を「顧客獲得すること・売上を上げること」と考えるならば、その目的は同じです。

ターゲットメディアでは、デジタルセールスとはデジタルを活用した営業活動の仕組み創りであり、デジタルマーケティングは、そのプロセスにおける手段の一つとして捉えています。


上図のように、デジタルマーケティングは新規見込み客情報(リード)を獲得し、効率的に商談に引き上げるためのフォローをするために有効な手段です。

デジタルセールスとは?デジタルマーケティングの違いや具体的な活動を解説

デジタルセールスの具体的な活動

ターゲットメディアでは、デジタルセールスの取り組みを以下の5つに分類しています。

①顧客の情報収集行動を予測し最適なタッチポイント(顧客接点)を見極めたアプローチ

従来の営業活動同様、デジタルセールスにおいても、「将来顧客と接点を作るアプローチ」は営業活動の起点となる重要なプロセスです。

アタックリストを作成して電話やメール等の手段を活用してアプローチをしているだけでは、一定以上のパフォーマンスを上げることは困難です。

デジタルセールスおけるアプローチでは、顧客の情報収集行動を予測し最適なタッチポイント(顧客接点)を見極めることが大切です。

②デジタルセールスの起点となるリード獲得(見込み客情報を収集する)

リード獲得とは、自社の商品やサービスに関心があり、将来的に顧客になる可能性がある見込み客の情報を獲得することです。BtoBマーケティング用語ではリードジェネレーションとも呼ばれます。
将来的に顧客になる可能性の高いリードを獲得し、蓄積していくことが「デジタルセールスにおける基盤」となります。

最近では、顧客の情報収集方法もデジタルシフトしてきており、これらの変化に合わせたリード獲得手法の選択が重要になっています。

③MAを活用し効率的に定期接触を行うリードフォロー

BtoBマーケティング用語ではリードナーチャリング(リード育成)とも呼ばれます。

見込み客の検討度合いは様々です。顕在化しているユーザーもいれば、興味関心レベルの潜在的なユーザーもいます。
そのため、獲得したリードの検討状況に応じて適切なフォローを行うことが重要です。
従来の営業活動では、こうしたフォロー活動は営業担当者が定期的に電話やメールでフォローを行い、検討状況を確認することが一般的でした。
デジタルセールスではこうしたフォロー活動を営業担当者だけに依存せずに、MA(マーケティングオートメーション)等のツールを活用して効率化する仕組みを構築することが重要です。

MAツールの活用は、定期接触を効率化できるだけでなく、見込み客のWeb行動を可視化することができるため、適切なタイミングと内容でフォロー活動を行うことが可能になります。

④獲得したリードを商談化につなげるインサイドセールス

インサイドセールスとは、「内勤営業」と訳され、メールや電話、Web会議ツールなどを使って行う営業活動のことです。その役割や範囲は、企業によって異なります。
多くのインサイドセールスは、見込み顧客の見極めと適切なタイミングでの商談獲得を目的として活動しているケースが一般的です。
デジタルセールスを推進していく上では「アプローチやリード獲得の効率化」に意識が向きがちですが、前述のリードフォローとインサイドセールスの役割が最も重要です。

イサイドセールスは、リード獲得を行うマーケティング活動と受注を担う営業活動の間に位置する活動です。インサイドセールスが機能しないと、アプローチやリード獲得の活動が無意味なものになってしまいます。また商談を作ることができないため当然受注も生まれません。
インサイドセールス組織を創ることがデジタルセールスの実現には欠かすことができません。

⑤商談獲得後の営業プロセスにフォーカスしたフィールドセールス

フィールドセールスの目的は「受注(契約)」であり、従来の営業とデジタルセールスで変わることはありません。しかし、その活動範囲や役割は変わります。

従来、営業担当者はアプローチから受注に至るまですべての営業プロセスを担っていました。この方法は営業担当者の経験値やスキルに左右され、情報の共有も社内で進まないことが多く「属人化」が問題視されていました。

デジタルセールスにおけるフィールドセールスは、商談以降の営業プロセスにフォーカスすることで受注率を高めるための活動に集中できる点が特長です。

受注率を高めるためには、インサイドセールスから引き渡される事前情報の共有だけでなく、各営業担当者が持つ受注するための成功メソッドや事例などのナレッジ共有が重要となります。

デジタルセールスにおけるフィールドセールスは「受注率を高めるための環境創りと活用」が重要なテーマになります。

デジタルセールスの失敗事例3選|BtoB企業のデジタルセールスの成功を阻む壁

最近では、AIや自動化ツールなどデジタル技術の進歩によって、デジタルセールスの概念が浸透してきました。しかし本来の目的を達成し事業成長に貢献するようなデジタルセールスを実践できている会社はまだ多くありません。
多くの企業がシステム導入やマーケティング施策を行ったにもかかわらず、「思ったような成果が出ない」「むしろ非効率になった」と悩んでいるのが実情です。
本章では、よくあるデジタルセールスの失敗事例を3つ紹介しながら、その背景と失敗を回避するためのポイントを解説します。

営業プロセス単位で、オンライン化やAI活用といった「部分的なデジタル化」に留まっているのが現状です。また、こうした部分的なデジタル化が、営業プロセスの分断を生んでしまっているという課題も生まれています。

「リードは獲得できているけど商談や受注につながっていない」というケースが生じている理由は、この営業プロセスの分断が原因です。この分断が生まれる理由は、デジタルセールスを推進する体制面に課題があります。

詳しくは以下記事でご紹介していますので、あわせてご覧ください。


デジタルセールスとは?デジタルマーケティングの違いや具体的な活動を解説

【事例①】部門間連携が不十分で成果が出ない

あるSIer様では、営業DXの一環としてMAツールを導入し、デジタルセールスを推進していくことになりました。
しかし、各部門が自部門のKPI達成に注力した結果、肝心の受注数が伸び悩む状況に陥ってしまいました。

・マーケ部門:リード数の最大化をKPIに設定
・営業部門:受注率の高さを重視

<失敗の背景>
部門ごとの目的や評価指標が異なり、相互に不満や不信感が生まれたことが原因です。組織として「売上拡大」に向けた共通目標が設定されておらず、分業体制が逆効果になってしまいました。

【事例②】マーケと営業の評価軸がズレてしまった

こちらはデジタル広告施策で大量のリードを獲得したSaas企業の事例です。マーケ部門で目標リード数は達成したものの営業側では「リードの質が低い」「アプローチしても温度感が低すぎる」との声が続出。最終的に営業部門がリード対応を放棄し、マーケ側もモチベーションを失う悪循環になってしまいました。

<失敗の背景>
マーケティング部門は「ターゲット属性に一致していれば良質なリード」と判断しがちですが、営業部門は“今すぐ客”への効率的な接触を求めており、認識のズレが深刻な分断を生みました。

<ポイント>
「売るために何を重視するか?」という観点で、マーケと営業が合意形成しないまま運用を始めたことが失敗の根本です。

【事例③】ツール導入だけで“やった気”になってしまった

営業支援ツール(SFA)やMAツールを導入して「これでデジタルセールスができる」と考えてしまった企業様です。ツールの設定や運用体制の整備をしないまま利用を開始したため、使いこなせずに放置されてしまいました。

・SFAに入力されない商談結果
・MAツールが不定期なメール配信のみにとどまっている
・MAを活用したインサイドセールス(商談獲得)をする人がいない

<失敗の背景>
業務プロセスをデジタルに合わせて再構築する前にツールを導入したことで、ツールの操作性を覚えるだけに時間がかかってしまいました。現場でツールを活用する人も必要性を理解していないため、活用されないという事態に陥っていました。

<ポイント>
デジタルセールスはツール主導ではなく、目的を達成するためにどのようにツールを活用するのかをしっかり設計したうえでの導入が必要です。

デジタルセールスを成功させるためには

事業成長につながるデジタルセールスを実現するためには、部分的なデジタル化に留まらず、アプローチから見込み客獲得・フォロー・商談・受注までの営業パイプラインを連動させたデジタル化と体制創りが必要です。

当社の支援実績から、デジタルセールスの成功要素をまとめてみましたのでぜひご覧ください。




ホワイトペーパー

デジタルセールスの進め方ガイド
『デジセの指南書』

本資料は、デジタルマーケティングやテクノロジーを活用し、新しい営業の仕組みを構築したいと考えている営業部門・マーケティング部門の方々を対象に作成した資料です。これから本格的にデジタルセールスに取り組みたいと考えるBtoB企業の皆様にとって、有益なヒントをお届けできれば幸いです。

この記事の著者

ターゲットメディア株式会社 デジタルセールスメソッド開発チーム

BtoBマーケティング支援企業ターゲットメディア株式会社のデジタルセールスのメソッドを開発するチーム。BtoBマーケティングやデジタルセールス支援実績で蓄積したナレッジや実績データをもとに、事業成長につながるデジタルセールスのメソッド(方法論)を開発しています。

×
デジタルセールスの進め方ガイド『デジセの指南書』