AI BPaaSとは?AIを使った業務を「運用ごと任せる」という選択肢
AIを業務に活用したいとき、ツールの選定や使い方の習得から、社内で進めるものだと考えていないでしょうか。実は、AIを組み込んだ業務を、日々の運用まで外部に任せる方法もあります。
その選択肢が「AI BPaaS」です。AIによる処理と、人による確認・判断を組み合わせ、業務の実行・運用をサービスとして提供します。自社でAIを使う体制を整える時間や人手が足りない企業にとって、知っておきたい仕組みです。
この記事では、AI BPaaSの意味やBPO・SaaSとの違い、任せられる業務、自社に残る役割を解説します。後半ではBtoBマーケティングを例に、制作から運用・改善までを任せると、仕事の進め方がどう変わるのかを紹介します。
AI BPaaSとは
AI BPaaSとは、AIを業務プロセスに組み込み、業務の実行・運用をサービスとして提供する形態を指す呼び方です。AIやクラウドシステムによる処理と、人による判断・確認・例外対応を組み合わせるサービスが見られます。
BPaaSは「Business Process as a Service」の略です。クラウドを活用して業務プロセスを外部に任せる仕組みで、そのプロセスにAIを取り入れたものがAI BPaaSです。AIをどこまで使い、人が何を担うかは、提供企業や対象業務によって異なります。
例えば、請求書の内容をAIが読み取り、決められたルールに沿って確認し、判断できないものを人が確認する。こうした処理と運用体制をまとめて提供するイメージです。利用企業が最終承認を行うなど、委託後も自社の役割は残ります。
「AI BPaaS」「AI-BPaaS」「AI×BPaaS」などの表記が使われています。本記事ではAI BPaaSと表記しますが、名称だけで対応範囲を判断せず、実際の業務と役割分担を確かめることが大切です。
AIで作業が速くなっても仕事が減らないのはなぜか
AIの活用で短縮できるのは、業務の一部であることがあります。その前後にある準備や確認、調整が変わらなければ、担当者の負担は思ったほど軽くなりません。
指示と確認も一つの仕事になる
例えば、AIで社内向けの案内文を作る場合。文章を生成する前には、対象者、伝える内容、社内ルールを整理する必要があります。生成後には、誤りがないか、誤解を招かないかを確認します。
繰り返す業務なら、指示や確認基準を整えることで負担を減らせます。ただ、その仕組みを作り、更新する役割まで自然になくなるわけではありません。AIを使える人に確認依頼が集中すれば、その人が次の業務を進められなくなることも考えられます。
一つの作業が終わっても業務は終わらない
業務は、いくつもの作業がつながって成り立っています。AIで一つの作業を速く終えられても、その後の確認や承認、相手への連絡まで完了しなければ、業務全体は終わりません。
例えば、顧客への回答案をAIで作成しても、内容を確認して送信する仕事は残ります。資料の原稿ができても、関係者の確認や修正、承認が必要な場合があります。AIが出力した内容を、実際に使える状態にして次の工程へ進める必要があるのです。
そのため、AI導入の効果を考えるときは、作業時間の短縮だけでは負担の変化を捉えきれません。指示・確認・修正・調整にかかった時間も含めると、実際の負担が見えてきます。「AIで何ができるか」とともに、「どの工程に手間がかかり、どこで仕事が止まっているか」が、業務全体を見直す手がかりになります。
図版① AIツールの自社利用とAI BPaaSの役割分担

※役割分担・施策設計の一例です。実際の対応範囲や導線はサービス・契約・企業の状況によって異なります。
BPOやSaaS、BPaaSとの違い
BPOとは業務を外部に委託すること、SaaSはクラウド経由でソフトウェアを利用することです。AI BPaaSとの違いを判断するには、ツールの機能に加え、実行・品質確認・進行管理を誰が担うのかを見る必要があります。
選択肢 | 主に利用・委託するもの | 自社で確認したい役割 |
SaaS・AIツールの自社利用 | ソフトウェアやAIの機能 | 操作・指示、出力の確認、次工程への引き継ぎを誰が担うか |
BPO | 特定の業務や一連の業務の代行 | 委託範囲外の作業、承認、委託先との調整は何か |
BPaaS | クラウドと業務運用を組み合わせたサービス | 標準の手順で任せられる範囲、例外時の対応は何か |
AI BPaaS | AIを組み込んだ業務プロセスと運用 | AIと人の分担、品質管理、最終判断の責任はどこにあるか |
これらは単純に優劣をつけられるものではありません。BPOでもAIや自動化を活用しますし、AI BPaaSでも個別の指示や確認が多く残る場合があります。比較すべきなのは、サービスの呼び方よりも契約上の対応範囲です。
社内に専門知識と運用する時間があれば、ツールを自社で使う方が柔軟に進められることもあります。一方、ツールはあっても業務を進める人が足りない場合は、実行や運用まで任せる方法を検討できます。
自社でAIを業務に組み込む場合の手順は、「AIを導入しても仕事が減らないのはなぜ?BtoBマーケティング・営業の業務を変える7つのステップ」で解説しています。
AI BPaaSを活用できる業務
AI BPaaSは、バックオフィスや社内問い合わせ対応などで提供例があり、BtoBマーケティングを対象としたサービスもあります。業務によって、AIの処理を人が確認する仕組みや、専門家が企画・改善を担う仕組みなど、役割分担は変わります。
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業務分野 |
任せる業務の例 |
自社に残す判断の例 |
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経理・営業事務 |
書類の読み取り、データ入力、照合 |
支払承認、取引条件の判断 |
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人事・労務 |
申請情報の整理、手続きの案内、書類確認 |
採否や評価、個別の労務判断 |
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社内問い合わせ対応 |
質問への一次回答、担当窓口への引き継ぎ、ナレッジ整理 |
権限付与の承認、社内方針の決定 |
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マーケティング |
記事・資料制作、広告運用、効果分析・改善 |
商材情報の提供、方針・公開内容の承認 |
上記表は活用範囲を考えるための例です。すべてのAI BPaaSが各業務に対応するという意味ではなく、承認や判断の分担も契約・社内規程によって異なります。
AI BPaaSのメリットは時間の削減から生まれる
業務を回すための負担を減らせる
実行・確認・引き継ぎまで委託範囲に含まれれば、担当者が個々の作業を追いかける負担を減らせます。その時間を、顧客対応や方針の検討など、自社で担いたい仕事へ振り向けやすくなります。
AIを使い続けるための専門知識を補える
AIの出力品質を保つには、業務ルールの整理や確認基準の更新が必要です。こうした運用を任せられるサービスなら、自社ですべての仕組みを作り、保守する負担を軽減できます。委託先が業務とAIの両方を理解しているかが選定のポイントです。
同じ人員でも取り組める業務を増やしやすい
マーケティングのように、実行したい施策が人手や時間を上回っている場合は、AIを活用した制作・分析と外部の専門家を組み合わせることで、施策を継続しやすくなります。
ただし、費用削減や品質向上が自動的に実現するわけではありません。委託費用と、自社に残る工数、確認の手戻りまで含めて比較する必要があります。まず一つの業務で、導入前後の総作業時間と品質を測ると判断しやすくなります。
BtoBマーケティングを例にAI BPaaSの使い方を考える
ここからは、当社の専門領域であるBtoBマーケティングを例に見ていきます。マーケティングでは、制作物を作るだけでなく、顧客が情報を知り、比較し、問い合わせるまでの流れを整える必要があります。
記事が書けてもアクセス増加やリード獲得までの道筋は残る
例えば、少人数のマーケティング部門が、AIを使って記事の制作本数を増やせたとします。しかし、顧客が検索するテーマや知りたい内容とずれていれば、公開してもアクセスは伸びにくくなります。また、アクセスが増えても、記事の内容に合う資料やサービスページへの案内がなければ、読者は記事を読んだだけで離れてしまいます。
必要なのは、誰に何を伝えるかを決め、検索意図に合う記事を企画し、資料やサービスページへの導線まで整えることです。公開後も、検索順位や流入数、資料ダウンロード・問い合わせの状況を見ながら、内容や導線を改善する仕事が続きます。AI BPaaSを検討する際は、記事を何本作れるかに加え、集客やリード獲得に向けた運用をどこまで任せられるかが判断のポイントになります。
制作と運用を一連の業務として設計する
AI BPaaSを活用する際は、どの工程をまとめて任せると仕事が進むかを考えます。記事制作なら、テーマの提案、原稿作成、品質確認、公開作業、公開後の分析を切り分け、自社と提供企業の担当を決めます。
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工程 |
AIの活用例 |
専門家の役割例 |
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企画 |
顧客課題や公開情報の整理、テーマ案の作成 |
狙う顧客・検索意図の判断、商材との接続の設計 |
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記事・資料制作 |
構成案・原稿案の作成、表現の調整 |
独自情報の追加、事実確認、読みやすさと内容の確認 |
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集客・誘導 |
広告文案の作成、配信データの整理 |
訴求・予算配分、記事から資料やサービスへの導線の設計 |
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分析・改善 |
データ集計、変化の抽出 |
課題の原因を検討し、改善内容と優先順位を決定 |
表は役割分担の設計例です。公開・配信の作業まで含むか、自社の承認がどこに必要かは事前に確認します。また、商材の強み、顧客との対話、実際の導入事例など、自社しか持たない情報の提供も欠かせません。
各業務でAIをどう使うかについては、「BtoBマーケティングのAI活用完全ガイド|できること・活用方法・導入手順」で詳しく紹介しています。

※役割分担・施策設計の一例です。実際の対応範囲や導線はサービス・契約・企業の状況によって異なります。
限られた予算で施策を続けるための選択肢になる
予算や人員に制約がある企業では、記事を作ると資料制作が止まり、広告を始めると分析が後回しになる、といった配分の難しさがあります。制作・分析にAIを活用し、専門家が施策を横断して進める体制は、必要な取り組みを継続する選択肢になります。
その際、記事の本数だけを目標にすると、制作物が増えても集客や問い合わせにつながらないことがあります。狙う顧客が訪問しているか、資料やサービスページへ進んでいるか、獲得したリードが商談につながっているか。こうした指標まで追うことで、制作量を増やすべきか、導線や内容を見直すべきかを判断できます。
制作本数やアクセス数と、リード・商談のつながりを整理する際は、「デジタルセールスのKPI設計|新規顧客開拓で見るべき指標とは」も参考になります。
AI BPaaSを選ぶ前に確認したいこと
AI BPaaSの導入を考えるときは、任せたい業務と自社に残る仕事を書き出すと、比較するポイントが見えてきます。「AIが使われている」という説明だけでは、導入後の働き方まではわかりません。
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確認事項 |
補足 |
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対応範囲 |
準備から実行、確認、改善まで、どの工程が料金に含まれるか |
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品質と例外対応 |
AIの出力を誰が確認し、誤りや例外があったときは誰が対応するのか |
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自社の作業 |
情報提供、承認、修正依頼など、自社にはどの作業がどの頻度で残るか |
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費用と成果 |
初期費用・固定費・従量費・追加費用は何か |
社内で運用でき、改善も進んでいる業務は、引き続き自社で担う判断もあります。検討の余地があるのは、「担当者が進めたくても時間が足りない業務」や「確認と調整が集中して止まる業務」です。その前後も含めて任せられるかが、委託範囲を考える目安になります。
集客とリード獲得を進めたい企業様向けAI BPaaS
AI BPaaSを検討するときの出発点は、AIの機能を比べることと合わせて、自社のどの業務が止まっているのかを把握することです。マーケティングであれば、記事・資料・広告を作る人だけでなく、それらをつなぎ、結果を見て改善する体制が必要になります。
当社の「デジタルセールス START UP」は、BtoBマーケティングに特化した成果連動型AI BPaaSサービスです。専門家とAIを組み合わせ、戦略設計、マーケティング専用サイト制作、SEO・AIO対策記事やホワイトペーパーの制作、広告運用、効果分析・改善までを支援します。
AIで制作・分析を効率化し、専門家が顧客・商材を踏まえた企画や品質確認、改善判断を担います。初期費用・月額基本料金に、リード獲得に応じた成果報酬を組み合わせる仕組みです。成果の対象や単価は、商材・ターゲット・支援内容に応じて設定します。
「必要な施策がわかっていても、実行する人手が足りない」「AIを使い始めたが、記事や資料の確認・修正に追われている」。そのような課題があれば、現在止まっている業務や、強化したい商材をお聞かせください。支援内容と、貴社に応じた施策・費用の見通しをご案内します。
ターゲットメディア株式会社 デジタルセールスメソッド開発チーム
BtoBマーケティング支援企業ターゲットメディア株式会社のデジタルセールスのメソッドを開発するチーム。BtoBマーケティングやデジタルセールス支援実績で蓄積したナレッジや実績データをもとに、事業成長につながるデジタルセールスのメソッド(方法論)を開発しています。