BtoBリスティング広告の効果指標と改善策|商談・案件化までを見据えた運用を。

更新日 : 2025年06月10日
BtoBマーケティングにおいて、リスティング広告は重要なリード獲得手段の一つです。しかし、BtoCと異なり、単純なクリック数やコンバージョン数だけでは広告の効果を正しく判断できません。なぜなら、広告経由のリードが実際に商談・案件に至るまでの歩留まりこそが、真の成果指標だからです。

本記事では、「CVを獲得した後の商談化・受注化」を視野に入れた、BtoBリスティング広告の正しい効果指標の設計方法と、パフォーマンス改善のための改善方法を解説します。

BtoBリスティング広告で見るべき効果指標とは

①初期接点(クリック→サイト集客)に関する指標

この段階では、広告の訴求力やターゲティング精度を測ることが目的です。CTRが極端に低ければ、広告文やキーワードの見直しが必要です。

・インプレッション数(表示回数) : 広告が表示された回数
・CTR(クリック率): クリック ÷ 表示 × 100(広告文や訴求の適切さを判断する指標)
・CPC(クリック単価): 広告1クリックにかかる費用(集客効率を管理する指標)

②コンバージョン(リード獲得)に関する指標

「ホワイトペーパーDL」と「無料相談申込み」ではCVの質が異なるため、CVRやCPLを見るときにはCVの内容別に数値を分けるのが正確な分析には重要です。

・CV数(コンバージョン数) : お問い合わせ・資料DLなどの達成数
・CVR(コンバージョン率): CV数 ÷ クリック数 × 100(LPや訴求、フォームの最適化指標)
・CPA(リード獲得単価): 広告費 ÷ CV数(リード獲得効率の判断指標)

③商談・案件化以降の指標

BtoBにおいては、「CV数が多い=成功」ではありません。商談や受注に至った数とコストを追うことで、リスティング広告施策全体の価値を正確に評価できます。
特にBtoBでは、CVから受注までに数週間〜数ヶ月かかることが多いため、営業部門との連携で追跡できる体制が重要です。

・ターゲットリード数 : 営業対象となるリード数
・商談数 : 商談の機会の創出数
・商談化率 : 商談 ÷ ターゲットリード数 × 100(獲得したリードの質を測る指標)
・CAC(顧客獲得単価): 広告費 ÷ 受注数(広告ROIの最終的な評価指標)

リスティング広告改善における基本的な考え方

ここからは、課題別にBtoBリスティング広告の改善における基本的な考え方をご紹介します。

CPA(リード獲得単価)が高い場合の改善策

CPAが高いということは、「1件のリード獲得にかかる広告コストが割に合っていない」状態です。以下に代表的な改善策をまとめました。

①クリック単価を最適化する

(1)品質スコアを改善する
Googleのリスティング広告で他社の広告と比較した際の広告の品質の目安を1~10の10段階で評価した数値になります。5以上を目安とし運用するとよいでしょう。
※Googleでは品質スコア、Yahoo!では品質インデックスと呼称が異なる。

品質スコアが高いと以下のようなメリットがあります。

・広告掲載順位(Ad Rank)が上がる → より上位に表示されやすくなる
・クリック単価(CPC)が下がる→ 同じ順位でも低いコストで掲載可能
・インプレッションシェアが上がる→ より多くのユーザーに広告が表示されやすくなる
・広告表示オプションが表示されやすくなり、広告の訴求力や表示面積が大きくなる

Google広告の品質スコアは、以下の3要素を中心に評価されます。

1.推定クリック率
広告が表示されたときに、ユーザーがクリックする可能性の高さです。この値は過去のパフォーマンスを考慮して判定されます。推定クリック率のステータスは、広告の管理画面に「平均より上」「平均的」「平均より下」の3つで評価されます。

2.広告の関連性
検索されたキーワードと広告文がどれだけ一致しているかを示す指標です。
広告とキーワードの関連性や広告文とランディンページの一貫性などで評価されます。広告の管理画面に「平均より上」「平均的」「平均より下」の3つで評価されます。

3.ランディングページの利便性
広告をクリックした後のページがユーザーにとって有益かを示す指標で、ページの読み込み速度、ユーザーの検索意図に沿った内容になっているか、わかりやすいナビゲーションになっているかなどが含まれます。


(2)上限クリック単価を設ける
業界全体で年々クリック単価が高騰しておりクリック数が獲れないといったお悩みも多いと思います。
その場合は、上限クリック単価を設定し、可能な反映でクリック単価を抑えて配信することを検討してみてください。その際、安易にクリック単価を低く設定するのではなく、過去2週間~1ヵ月程の実績クリック単価に基づいて、その20~30%の範囲内で調整しましょう。
急激なクリック単価の抑制は、結果広告が掲載されなくなるといった事象を引き起こす可能性があります。
段階を踏んだ慎重な調整で限界点を見極める必要があります。

CV数が増えない場合の改善策

①CVRが高いトラフィックを増やす

CVRを改善するためには、質の高いトラフィックを増やすと同時に、効果が薄いトラフィックを減らすことが鍵となります。CVRが高いトラフィックを増加させ、逆にCVRが低いトラフィックを減らすことで、広告の効率を最大化し、より効果的なコンバージョン獲得が可能となります。

具体的には以下を実施していきます。

(1)CV獲得のある検索語句の追加
ターゲットに合った検索語句や配信先を選定し、広告を適切に絞り込むことで、より効率的にCVを獲得することができます。これにより、無駄な広告費を抑えつつ、成果を最大化することが可能となります。

(2)配信セグメントの見直し
地域、デバイス、時間帯、デモグラフィックなど配信セグメントを見直し、広告を適切に絞り込むことで、より効率的にCVを獲得することができます。これにより、無駄な広告費を抑えつつ、成果を最大化することが可能となります。

②CVRが低い(コンバージョンしない)トラフィックを減らす

(1)除外キーワードを設定する
除外キーワードとは、特定の検索語句に対して、広告を表示させないようにする機能です。
除外キーワードを設定することで意図しない検索語句での広告表示やクリックを防ぎ、コンバージョンに結び付きにくい検索語句への配信を抑制します。

なお、除外キーワードを設定する際に、以下の注意点があります。

1.除外キーワードにおけるマッチタイプを理解する
除外キーワードのマッチタイプは配信設定するキーワードのマッチタイプと異なる以下で定義されます。
               
・インテントマッチ:キーワードに含まれるすべての語句が検索に使用された場合(語順を問わず)、広告が表示されなくなる
・フレーズ一致:完全に一致するキーワードが同じ語順で検索に使用された場合に、広告が表示されなくなる
・完全一致:完全に一致するキーワードが別の語句を含まずに同じ語順で検索に使用された場合に、広告が表示されなくなる


2.検索意図をしっかりと汲み取る
特に自社(インハウス)で運用している場合は、商材理解が深いがゆえに、その専門知識に頼りすぎて検索意図を決めつけてしまわないように注意しましょう。

検索意図を誤解して除外キーワードを設定してしまうと、広告を表示すべきユーザーにアプローチできなくなり、機械損失を起こす恐れがあります。

(2)CVRは低いキーワードの停止及びマッチタイプの調整
配信設定しているキーワード効率の悪いキーワードを停止し、コンバージョンが見込めるキーワードに配信を寄せることで、コンバージョン数の増加が期待できます。
これまでパフォーマンスが良かったキーワードが突如として悪化するケースもあるため、適宜キーワード毎のパフォーマンスを観察し、調整することが重要なります。

また、マッチタイプを変更することで改善するケースもあるため、状況によって段階的な調整をおすすめします。

③ランディングページとエントリーフォームを最適化する

ランディングページの訴求や導線が不明確で、クリックして集客したユーザーを逃している可能性があります。

構成の見直しやCTA(Call To Action)を明確化する、導入事例を掲載するなど、ランディングページ最適化(LPO)を実施する必要があります。

一方、エントリーフォーム最適化(EFO)は、フォームの入力プロセスを簡素化し、ユーザーの離脱を防ぐことを目的としています。この2つを組み合わせることで、ランディングページの効果を最大化し、より高い成果を上げることが可能になります。
以下にCVRが悪いLPのチェック項目を見て改善を図っていくことをおすすめします。

(図版挿入 : CVRが悪い場合のLPのチェック項目と改善策)

④クリック数を増やす

表示回数を増やす
表示回数の改善は、より多くのユーザーに広告を届けるために重要です。表示回数を増やすことで、クリック数を増加させ、最終的にコンバージョンに繋がる可能性が高まります。具体的な方法として、キーワードの追加やマッチタイプの見直しが効果的です。

マッチタイプとは、「キーワード」と「検索語句」がどのくらい一致するかを指定する仕組みのことです。表示回数を増やし、クリック数を増加させる場合は、媒体推奨のマッチタイプ「インテントマッチ」を基軸としたキーワード設計で、自動最適化の促進と獲得機会の向上を図るのがおすすめです。

(図版挿入: 効果的な広告のマッチタイプの考え方)

クリック率を上げる
広告が表示されただけでは当然流入はとれないため、表示された際にユーザーの関心を引き、実際にクリックしてもらうことも重要です。そのためには、広告文や広告表示オプションが重要な役割を果たします。
キーワードを広告文に反映させることや、広告文自体の見直し、広告表示オプションの改善を行うことで、クリック率を向上させることが可能です。

リスティング広告の広告表示オプションとは、広告の下部に自社情報を併記できる機能です。ターゲットに合ったオプションを適切に設定することで、広告がより目立ち、ユーザーが広告をクリックする可能性が高まります。

(図版挿入: 広告表示オプションを見直す)

⑤自動入札を適用する

自動入札を適用していない場合は、自動入札へ切り替えることをお勧めします。
自動入札を適用することで、ユーザーごとの行動履歴、デバイス、位置情報、検索意図などを元に、リアルタイムで最適な入札価格を判断し、広告配信をします。
そのため、手動入札(個別クリック単価制)では、不可能レベルで精緻な入札が可能になります。

自動入札は以下の種類ありますが、コンバージョン獲得目的する場合、まずは「*」の入札戦略から適用することをおすすめします。

  ■入札戦略の種類
・ クリック数の最大化
* コンバージョン数の最大化
・ 目標コンバージョン単価
・ コンバージョン値の最大化
・ 目標広告費用対効果
・ 目標インプレッションシェア

商談につながらないCVを生む原因とは?

ここまでリスティング広告の改善策についてご紹介してきましが、BtoB分野の広告では「CV数が多い=成功」とは限りません。

広告施策によってリードは獲得できていても、そのリードが商談・受注に至らない場合、広告投資の回収は困難になります。
以下に、商談につながらないCVが発生する主な原因と対策について解説します。

(原因①)リード獲得のハードルが低すぎる

資料請求やホワイトペーパーDLなど、情報取得だけが目的の行動は、関心が浅いケースも多く、商談にはつながりにくい傾向があります。フォームの入力項目が少なすぎると、温度感の低いユーザーまでCVしてしまう可能性もあります。

<対策>
・フォーム項目を見直し、「会社名」「部署」「導入予定時期」など、温度感を測る項目を追加する
・コンテンツを複数用意し、「早期導入検討者向け」など対象を明確にする。

(原因②)営業連携が不十分

広告で獲得したリードが営業に正しく引き継がれなかったり、連絡のタイミングが遅れたりすることで、せっかくのCVが失注するケースも少なくありません。

<対策>
・CV直後にインサイドセールスが自動で対応できる体制を整える
・MQL・SQLの定義をマーケと営業で合意し、スムーズな引き継ぎ体制を構築する

本コラムの作成・編集者

ターゲットメディア株式会社 BtoBマーケティング研究チーム

BtoBマーケティング支援企業ターゲットメディア株式会社のマーケティングチーム。長年の支援実績で蓄積したナレッジや実績データをもとに、BtoBマーケティングを実践する企業様向けに成功のヒントとなる情報をお届けしています。

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