【業態別】BtoB企業のリスティング広告のクリック単価相場
本記事では、BtoB企業がリスティング広告を展開する際のCPC相場(2025年6月現在)をご紹介し、BtoB業界特有の費用対効果を高めるための戦略や工夫も紹介します。
リスティング広告におけるCPCはどのようにして決まる?
CPC(クリック単価)とは
まず、CPCについて解説します。
CPCとは、「広告がクリックされた1回あたりに発生する費用」のことで、以下の計算式になります。
クリック単価=広告費÷クリック数
表示だけでは費用は発生せず、クリックされたときにのみ課金されます。
CPCが決まる基本的な仕組み
CPCはキーワードや広告ランクによって変動します。その仕組みは以下の通りです。
① 広告オークション
CPCは、競合他社とのオークションによって決まります。そのオークションは広告ランクという指標で競り合います。
※Googleは広告ランク、Yahoo!はオークションランクと呼称が異なります。
② 広告ランク
広告ランクとは、入札単価や広告の品質、広告ランクの最低基準、ユーザーの検索状況、広告表示オプションやその他の広告フォーマットの見込み効果に基づいて算出されるスコアです。
広告掲載順位を決定するうえで重要な広告ランクの要素詳細は以下になります。
"広告ランクのスコアは、入札単価、広告とランディング ページの品質、広告ランクの下限値、オークションの競争力、ユーザーが検索に至った背景(コンテキスト)(ユーザーの所在地、デバイス、検索した時刻、検索語句の性質、同じページに表示される他の広告と検索結果、他のユーザー シグナルと属性など)、アセットやその他の広告フォーマットの見込まれる効果など、さまざまな要素に基づいて算出されます。"
(引用:https://support.google.com/google-ads/answer/1752122?hl=ja)
つまりは、広告ランクをあげるためには広告品質が重要になります。
広告オークションの流れ
オークションでは広告ランクの高い順に広告が掲載されます。
広告の品質はオークションごとにさまざまな要素から1から10の評点で算出されます。 広告ランクの計算式から、「入札単価」が高いと広告が掲載されやすいことがいえますが、入札単価が低くても「広告の品質」が高ければ上位に表示されます。そのため、「広告の品質」は 掲載順位を決定づける重要な要素になります。
※広告の品質:Googleは「品質スコア」、Yahoo!は「品質インデックス」と呼称が異なります。
実際のクリック単価
実際のクリック単価は、1 回のクリックに対して請求される最終的な金額です。広告主が実際に支払う金額は入札単価ではありません。
オークションではセカンドプライスオークションと呼ばれる形式が採用されているため、オークションで入札した金額よりも実際のクリック単価が 上回る結果はありません。
セカンドプライスオークションでは、自分より1つ下の広告ランクを最低限上回る入札単価が実際のクリック単価として扱われます。実際のクリック単価は広告ランクが高いほど安くなります。
掲載順位とクリック単価
A社は、入札単価が低くても「広告の品質」が高いことで掲載結果の上位に表示されています。上位に表示されることで高いクリック率(多くの流入)が期待できます。
加えて、A社は上位掲 載にも関わらずクリック単価が最も安い。クリック単価が安いことでコンバージョン単価を安くする期待効果もあるため、費用対効果が高まります。「広告の品質」は広告パフォーマンスに 影響を与えます。
BtoB業界のクリック単価相場(2025年6月現在)
SaaS業界のクリック単価相場
SaaS業界はCPCが高騰しやすい傾向にあります。その理由として以下が考えられます。
・LTV(顧客生涯価値)が高い
→ 月額5万~数十万円×数年継続という収益構造のため、獲得コストが高くても成り立つ。
・競争が激しい
→ 多くのスタートアップが広告に投資しており、限られたキーワードに集中。
・比較検討されやすい
→ 「SaaS 比較」「CRM おすすめ」などのキーワードは特に競合が密集してCPCが高騰。
BtoB製造業のクリック単価相場
BtoB製造業におけるクリック単価(CPC)の相場は、業種・商材の専門性や競争状況によって変動します。
ただし、上述のSaaS業界のキーワードと比較してニッチなキーワードが多いため、競合性も低く検索ボリュームが少ないためCPCは低い傾向にあります。
CPCを抑えつつ成果を出すための工夫
配信キーワードの見直し
キーワードを設定する段階では、コンバージョンが獲れると見込んでいたキーワードでもコンバージョンが獲らないといったケースがくあります。加えて、クリック単価が高く、費用も多く使ってしまっている場合は、全体のCPC高騰要因なります。そういったキーワードは停止をするなど定期的にメンテナンスが必要です。
マッチタイプの見直し
マッチタイプを直すことでCPC改善に繋がることがあります。
一般的には「インテントマッチ<フレーズ一致>完全一致」の順でクリック単価が高くなると言われていますが、ケースバイケースでそれとは逆の反応見せるケースもあります。
現在の広告運用はインテントマッチが主流(媒体推奨)となっていますが、それ以外のマッチタイプでパフォーマンスが改善する場合もあるため、状況に応じて施策 取り入れていくことをお勧めします。
品質スコアの改善①(推定クリック率の改善)
推定クリック率を改善するためには、広告表示文の見直しが必要です。
広告文に対し、ユーザー刺さる訴求を含めるなどの工夫をしクリック率の向上を図ります。
特にBtoBは、ペルソナに刺さるベネフィット(価値)訴求が重要になります。企業担当者は、「課題解決」や「導入効果(コスト削減、効率化など)」を重視する傾向あるため、その点を具体的な数値で示せるとなおよいでしょう。
品質スコアの改善②(広告表示オプションの設定)
広告表示オプションを設定することで広告下部や横に補足情報を表示でき、表示面積の拡大により視認性が高まり、クリック率(CTR)の向上が期待できます。
広告の関連性を上げる①(広告文にキーワードを含める)
訴求力を高めることに注力し過ぎると、結果として広告文からキーワードが外れてしまケースあります。キーワードも含めることを意識しましょう。
キーワードを「請求書発行システム」とした場合の例を見てみましょう。
悪い例:簡単に請求書作成
良い例:請求書発行システムなら
広告文に「簡単」といったフレーズを入れたくなりキーワードが外れてしまっているケースです。
広告の関連性を上げる②(除外キーワードの強化)
広告配信をする中で意図しない検索語句での広告表示や広告クリックが発生します。
除外キーワードを実施することでコンバージョンに繋がりにくい検索語句を取り除き、コンバージョンが見込める検索語句に広告配信を集中できるようにする必要があります。
意図しない検索語句への表示を減らすことで、広告の関連性を高めることができ、更にクリック率の向上も繋がります。
ランディングページの利便性を高める
利便性が高い=ユーザーの満足度が高いと考えられ利便性の要素として以下があげられます。
・関連性:検索語句と関連が高いコンテンツが用意されている
・透明性:商品・サービスの説明が十分にされている
・操作性:情報を探しやすい
・信頼性:ページの読み込みが速い
上記の「ページの読み込みが速い」について過去のGoogleの発表によると
1~3秒で32%のユーザーが離脱し、1~5秒で90%のユーザーが離脱したことがわかっています。
ページの読み込み速度はPageSpeed Insightsで簡単に確認することがきます。
Google PageSpeed InsightsのLPパフォーマンスの結果詳細から、画像の次世代フォーマット(WebP)の対応や、CSSとJavaScriptの最適化などを実施し、読み込み速度の改善を図る。
また、複数の広告タグをLPに直貼りしている場合は、GoogleやYahoo!のタグマネージャでタグの一元管理をおこない、LPに設置するタグを最小限に抑えといった対応をお勧めします。まずは「標準的」を目安とし改善を図りましょう。
CPCの妥当性はLTVで判断する
BtoBリスティング広告では、「クリック単価(CPC)が高い=悪い」と単純に判断してしまうのは危険です。重要なのは、「最終的にどれだけの利益(LTV:顧客生涯価値)を生むか」という視点です。
LTVをもとにCPCの妥当性を評価する
たとえば、以下のような料金でSaaS型サービスを提供している企業を想定してみましょう。
・月額利用料:50,000円
・平均継続期間:24ヶ月
・平均LTV:50,000円 × 24ヶ月 = 1,200,000円
この場合、1件の成約で120万円の売上が見込めるため、1件の新規顧客獲得に10万円かかっても十分に利益が見込める構造になります。
CPCの高さは成果ベースで相殺できる
たとえば次のような場合でも、広告は“成功”といえます。
・CPC:1,000円
・CVR(コンバージョン率):1.5% → クリック66回で1件CV
・CPL(1件あたりの獲得コスト):66,000円
・商談化率:60%、受注率:50% → 1件受注までに必要なCV数:約3.3件
・CAC(顧客獲得単価):66,000円 × 3.3 ≒ 217,800円
このCAC(約21.7万円)が、LTV(120万円)に対して十分に低ければ、広告投資としては「高CPCでも大きな利益が見込める」という判断ができます。
安いCPCでもリードの質が低ければ非効率
一方で、CPCが100円と非常に安い場合でも、CVRが極端に低かったり、CV後のリードの質が悪く商談に進まない場合は、表面上の安さに騙されてコスト効率が悪化する恐れがあります。
例:
CPC:100円
CVR:0.3%(CVまでに約334クリック=33,400円)
商談化しない or 受注に至らないため、 実質、費用対効果は低いというケースもあります。
まとめ
BtoB企業におけるリスティング広告では、クリック単価(CPC)の最適化が広告効果の鍵を握ります。CPCは広告オークションでの競合状況や広告ランクにより変動し、単に高い入札を行うだけでなく、広告の品質を高めることが重要です。
高CPCでもLTV(顧客生涯価値)を考慮すれば、費用対効果の高い広告投資となる場合があります。
成果を最大化するには、以下のような工夫が有効です
・キーワードとマッチタイプの見直し
・広告文の改善と広告表示オプションの活用
・関連性と品質スコアの向上
・除外キーワードの強化
・LP(ランディングページ)の最適化
最終的に重要なのは、CPC単体ではなく、LTVを含めたビジネス視点での判断です。単価が高くとも、成果ベースでプラスが見込めれば広告は成功といえます。
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本コラムの作成・編集者
ターゲットメディア株式会社 BtoBマーケティング研究チーム
BtoBマーケティング支援企業ターゲットメディア株式会社のマーケティングチーム。長年の支援実績で蓄積したナレッジや実績データをもとに、BtoBマーケティングを実践する企業様向けに成功のヒントとなる情報をお届けしています。