販売店(代理店)ビジネスにおけるBtoBマーケティング施策
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販売店(代理店)ビジネスにおいてよくある課題
事業拡大のために、販売店・代理店向けビジネス(パートナービジネス)を検討、あるいは実際に展開している企業様は多いかと思います。パートナービジネスは、自社で商材を持っている企業であれば取り組むことは可能です。一方で販売店ビジネスを始めたものの、うまくいかずに悩んでいる企業も少なくありません。
BtoB商材における販売店ビジネスの悩み
BtoB商材における販売店ビジネスにおいて最も多い課題は、販売代理契約を締結したものの販売パートナーが売ってくれないということです。
顧客に対して積極的に提案してくれていなかったりして、実際に稼働していない販売店が増えているというお悩みをよく聞きます。
また、同じカテゴリーの競合商材を多種類取り扱っていることが多く、その中で自社の商材に対する提案優先順位が低くなっているというケースも多いようです。
直接販売、Web販売と並ぶ3大販売チャネルの1つであるパートナー販売ですが、成功に向けては課題が多いのが現状です。
販売店ビジネスを成功させるための3つの要素
では、どうすれば販売店ビジネスを成功させることができるのでしょうか。
販売店ビジネスを始める前に3つの要素が押さえておく必要があります。
1つ目は、販売店の既存事業と相乗効果があることです。
こちらは、販売店(パートナー企業)の選定と開拓をいる際に重要となる点です。自社と販売代理店契約を結ぶことでメリットの高い販売店をピックアップする必要があります。
自社商材を売ることで、販売店がより大きな価値を提供できたり既存サービスの利用頻度が上がったりすれば、販売店は既存顧客に対して積極的に販売をしてくれます。クロスセルが実現できる他、顧客とのさらなる関係性強化にも繋げることができるためです。
2つ目は、販売店にとって高い収益が見込めるマージン設定であることです。
短期的な収益だけでなく、中長期に渡って販売店にとって収益貢献ができている状態です。
販売店は、多くのメーカー(ベンダー)と販売代理契約を締結しているため、注力して販売してもらうためには「販売したら中長期的に収益貢献する」と思ってもらうことが重要です。
そのために、一度受注したら長期的に販売マージンが支払われ続ける「ストック収益型」や、独自の機能を付加することで販売価格を上げることができる「モジュール料金型」など、販売店に対するマージンの仕組みを競合企業と比較しながら検討していく必要があります。
3つ目は、販売店にとって「売りやすい環境」があることです。
販売店の多くは、新しい商材を販売することに対して営業担当者への教育にかかる手間や営業難易度を気にします。そのため、研修や販売フォローが手厚い企業やメーカーのものを選択します。
提案時に必要な営業ツールの提供や、受注後のフォローなど、メーカー側のサポート体制がしっかり整っていることで、販売店も安心して顧客へ提案することができます。
販売店向けマーケティングとエンドユーザー向けマーケティングの違い
販売店ビジネスを成功させるためには、
①販売店の既存事業と相乗効果があること
②販売店にとって高い収益が見込めるマージン設定であること
③販売店にとって「売りやすい環境」の3要素があること
をご紹介しました。
しかし、①②は競合企業の多くも同様の取り組みをしていることが多く差別化していくことは困難な状況です。そのため③の自社商品を選んでもらい、積極的に売ってもらうための仕組みづくり、つまり“マーケティティング活動”が販売店ビジネスにおける競争優位性を創り出すポイントとなります。
しかし、販売店に向けたマーケティングはエンドユーザーに向けたマーケティングとは性質が異なります。ますは、その違いから解説していきます。
顧客(営業先)から「求められていること」の違い
販売店に向けたマーケティングとエンドユーザーに向けたマーケティングとでは、マーケティング対象とすべき「部門」の違いがあります。
エンドユーザー向けマーケティングは、販売するプロダクトや顧客側の組織体制によって対象部門が異なるのに対して、販売店向けマーケティングは、営業・販売を担う部門や担当者に共通しています。
営業活動を担う担当者が知りたい情報とは「どのように売上をあげるのか」ということが第一優先です。そのため、受注するための提案支援・販売支援に必要な情報をしっかり準備しておく必要があります。
また、商談の「起点」の違いもあります。エンドユーザーが(商材によって解決できる)課題やニーズが発生したタイミングであるのに対して、販売店はエンドユーザーからのニーズが発生しないとなかなか積極的に動いてくれません。
そのため、販売店の顧客であるエンドユーザーのニーズを掘り起こしてあげるためにできることが何か、ということも考えておく必要があります。
意識すべき活動目的の違い
実際に販売店向けマーケティング活動を行っていく上では、意識しておくべき活動目的の違いも今一度押さえておく必要があります。
エンドユーザー向けマーケティングであれば、「発注確度の高いターゲットリードを集めて検討プロセスを推進する」ということが重要ですが、販売店向けマーケティングの場合は「受注確度の高いターゲットリードを保有する販売店や代理店を集めて提案プロセスの推進+提案活動の囲い込み」を目指していきます。
表現の言い方を変えているだけのように聞こえるかもしれませんが実際の活動内容は大きく異なります。
「提案活動の囲い込み」を図るマーケティングが必要
販売店は、強い関係性ができていない限り、自社商材に限らす競合商材も含めて提案選択肢を持っています。販売店向けマーケティングにおいては、販売店の提案活動をサポートすることはもちろん、提案活動において「自社商材で、販売パートナーの提案選択肢を埋めること」が重要です。
具体的には、「提案のきっかけを与える」「提案意欲を向上させる」「提案選択肢を埋める」といった、3つのアプローチで必要なツール提供やサポートを行うというマーケティング活動が必要です。
販売店向けマーケティングに必要な視点
こうした販売店向けマーケティングを成功させるために、心に留めておきたい2つの視点について整理します。
販売店の営業支援とエンドユーザーの課題解決の視点
まず大切なのは、販売店に対する「営業支援」の視点です。
販売店の最終目的は、“効率的に売上を上げること”です。メーカーとしては、その思いに寄り添った上で、商材に関する情報提供や売り方の伝授、サポート体制などを行うようにすることが大切です。
もうひとつは、エンドユーザーに対する「ソリューションビジネス」の視点です。
ソリューションビジネスとは、製品・サービスを通じて、顧客の問題、課題までを解決するビジネスのことです。
最近は、商材を提供して終わりではなく、顧客により多くの価値を提供し顧客との関係性を深めたいと考える販売店が増えています。メーカーとしては、それらを後押しできるようなマーケティング活動も必要となります。
PRMを意識した活動が大切
営業支援としての視点においては「PRM」を意識することが大切となります。
PRMとは、パートナー・リレーションシップ・マネジメント(=Partner Relationship Management)の略で、商材提供企業(メーカー)が販売店との関係性を構築・維持・強化するためのビジネス手法のことです。
エンドユーザーを対象としたCRMに対して、同じような意味で販売店を対象としているのがPRMです。
PRMを実践する上では、以下3つのポイントを意識する必要があります。
①販売店の営業担当者が積極的に提案したくなるような、“販売メリット”をしっかり伝えるということ
②販売店の営業担当者にとって売りやすい“営業ツール”や“提案ノウハウ”など提供するということ
③販売店の営業担当者が商材に関する疑問をすぐ解決できるような“サポート体制”を整えるということ
販売店が直面する営業ハードルを取り除いてあげる
販売店の営業担当者は、営業していく上で、さまざまな障壁にぶつかります。こうした障壁を解決できないと受注につながらず、「売れない・売りにくい」と感じてしまい販売モチベーションも下がってしまいます。
そのため、販売店の営業担当者と同じ目線になって、エンドユーザーの検討プロセスを推進するためのサポートと必要な情報提供を行うことが大切となります。
具体的には、興味喚起から課題認識、比較検討、パートナー選定、購入・導入といった検討プロセス毎に発生する様々な課題に対して、それらを解決に導くようなツールや情報提供を行うことで、受注確度を上げていくというサポートが必要となります。
販売店(代理店)ビジネスにおけるBtoBマーケティングとは
販売店ビジネスにおけるBtoBマーケティングは大きく分けると以下2つとなります。
発注可能性の高い販売パートナーのリード獲得
発注可能性の高い販売パートナーのリード獲得をするためには、「案件化しやすい、受注しやすい販売パートナーのペルソナ」を明確にしておく必要があります。
その上で、それらの販売パートナーが出現するメディアやプラットフォームを活用して広告露出を図っていきます。
こうした広告メディアやプラットフォームの選定方法については、以下ホワイトペーパーでもご紹介していますので合わせてご覧ください。
提案活動の囲い込みを行うためのナーチャリング
販売店向けBtoBマーケティングにおけるリードナーチャリング活動の目的は、販売パートナーの提案マインドを醸成することです。
販売店の営業担当者に定期接触を図りながら、提案メリットを理解してもらい、
提案先を具体化させ、販売店の営業担当者が提案をするために必要な情報を提供・サポートしていくことをゴールに活動していきます。
こうしたリードナーチャリングを設計する際には、まずは自社の営業活動(直販)での勝ちパターンをもとに、「こうすれば売れる」という仮説を立て、必要な情報を準備していくことをおすすめします。
また、有力なパートナー候補をピックアップして、ヒアリングしながら一緒にサポートプログラムを創っていくことも大切です。
販売店(パートナー)のマーケティング活動をサポート
販売店にとって理想的な営業活動は「問い合わせがあったお客様に営業すること」です。つまりPULL型で営業できる環境があれば効率的に受注することができます。しかし、多くの販売店はマーケティングに対する知見やリソースが不足していて実施できていないのが現状です。
また、一つの取り扱い商材に対してコストを投下してマーケティング活動をしてくれるケースは稀です。
こうした販売店のマーケティング活動を支援できる仕組みを構築することで、自ずと自社商品が選ばれる環境を構築することができます。
パートナービジネスにもマーケティングを
ターゲットメディアでは、メーカーサイドの立場から販売店向けマーケティング活動をサポートする仕組み創りをサポートしています。
<販売店の営業活動を支援するマーケティング施策例>
□パートナー向けポータルサイト施策(営業支援サイト)
□営業をサポートするコンテンツ制作
<販売店のマーケティング活動を支援する施策例>
□パートナー企業のマーケティング課題
□パートナー専用のサービスサイト施策
□パートナー向けのメールマーケティング(MA活用)
興味のある方はお気軽にご相談下さい。
- BtoBマーケティングBPO編集部
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