BtoBマーケティング

これから始める企業様に。BtoBマーケティングのスタートアップ時に必要な施策とは

2023年08月02日
中堅・大手企業を中心にマーケティング活動に投資する動きが活発しています。しかし、マーケティング投資をしたものの事業成長に貢献できていない例も多数あります。そこで本記事では、これからBtoBマーケティングへの投資をご検討している企業様向けに、必要な施策を事例を交えてご紹介します。

目 次

スタートアップ段階で失敗する要因

BtoBマーケティングは、すべての企業が成功しているわけではありません。
中には、コストをかけて始めたものの、成果が出ずに途中でやめてしまったという企業も少なくありません。
そして失敗する企業の多くは、BtoBマーケティングの開始段階に原因があるようです。
そこでまずは、このBtoBマーケティングのスタートアップ段階でよくある3つの失敗要因をご紹介します。

顧客の解像度が低い状態でスタートしてしまう

自社の顧客像が明確でない状態でマーケティング活動を始めてしまうケースです。

自社のターゲット顧客を明確に定めないままに進めてしまうと、Webサイトを制作する際にも、コンテンツを企画する際にも、誰に向けて考えればよいのか分かりません。
また、リード獲得をするために広告配信をする際にもメディア選定を間違えたり、クリエイティブが曖昧になり想定していたコンバージョンを獲得できなかったりしてしまいます。
マーケティング戦略を立てるときには、ターゲットの属性(業種・企業規模・導入関与者/部門)だけでなく、「どのようなニーズ・課題を持っているのか」を明確にしおきましょう。

USPが明確になっていない状態でスタートしてしまう

2つ目は、自社商材のUSPが明確でない状態でマーケティング活動を始めてしまうケースです。
USP(=Unique Selling Proposition)とは、自社の商材が持っている独自のセールスポイントのことであり、競合他社と比較して優れている強みのことです。

もし自社の商材が世界で唯一無二のものであれば、USPは必要ないかもしれません。
しかし実際には、類似商材が多数存在し、日本だけでなく海外にも競合企業がいるというケースがほとんどです。
その中で埋もれず自社の商材を光らせ、そして顧客に選んでもらうためには、マーケティングにおけるあらゆる場面でUSPをアピールしていくことが不可欠です。

外注に「丸投げ」してしまう

BtoBマーケティングにおいて、失敗する要因の3つ目は、マーケティング活動をすべて外注企業に任せ自社では何もしないというケースです。

初めてマーケティングを行う企業は、マーケティング会社の知見やノウハウを大いに活用すべきです。しかしマーケティング会社は、マーケティングのプロフェッショナルであって、自社の商材のこと、顧客のこと、業界のことに関する知識は深くありません。
この溝を埋めないままに外注企業に一任してしまうと、求めていた成果を上げられないと同時に、なぜ成果が上がらないのか?その原因を突き止めることも難しくなります。
それを避けるためには、自社でもマーケティング活動の全体像を把握するとともに、外注するところ、内製化するところを明確に分けながら進めていくことが大切です。

まずは、顧客理解と自社の強みを明確にすることから始める

BtoBマーケティングを成功させるためには、まずは改めて自社の顧客像を明らかにし、社内で共通理解を深めると同時に、自社の商材の強みを明確にすることから始めることが大切です。ここからは、その具体的な方法を解説していきます。

顧客ペルソナを作成する

まずは顧客ペルソナを作成しましょう。
顧客ペルソナとは、「商品やサービスを購買してくれる典型的な顧客モデル」のことです。
BtoBマーケティングにおいて、ペルソナを作成する際には、大きく2つの項目を設定する必要があります。
●デモグラフィック属性(業種・企業規模・所属部門・役職など)
●サイコグラフィック属性(抱えている課題・ニーズ・閲覧メディア・情報収集方法など)

また顧客ペルソナは、マーケティング部門だけでなく、顧客と直接接している営業部門にもヒアリングを行いながら、リアルな情報をもとに作成することが大切です。
当社ではよく「受注しやすい顧客のペルソナ」と呼んでいます。顧客のペルソナ作成はマーケティング活動に欠かせない重要な要素です。顧客ペルソナが明確であれば、施策の立案はもちろんコンテンツ制作の精度もあがり、効果創出につながりやすくなります。

訴求していく自社の強みを明確にする

次に自社商材の強み、つまりUSPを明文化しましょう。
中には他社商材との差別化が難しいという企業もいますが、どんなに類似商材の多い分野であっても必ずUSPを見つけることはできます。

例えば、自社の商材を、価格・品質・機能性・柔軟性・変容性・安全性・多様性・利便性・特化性などといった様々な視点から観てみると、自然と浮かび上がってくることがあります。
複数の強みを掛け合わせて考えてもよいでしょう。
また、マーケティング部門や営業部門だけでなく全社内でヒアリングを行ってみたり、実際に購入された顧客に自社を選んだ理由などをアンケート調査してみたりするといった方法も有効です。

USPが明確なほど、マーケティング活動で顧客に対して伝えるメッセージを作りやすくなります。またマーケティング活動だけでなく、営業活動においても。商談で自社の価値を説明しやすくなり、顧客にも選ばれやすくなります。

スタートアップ(~1年間)で優先すべきマーケティング施策

顧客像と自社の強みが明確になったら、それらをもとにマーケティング施策を進めていきます。
ここからは、様々なマーケティング活動の中でも、マーケティング活動を始めて1年目の企業が優先して行うべき施策をご紹介していきます。

マーケティングサイトの準備

これから始める企業様に。BtoBマーケティングのスタートアップ時に必要な施策とは

まずはマーケティングで機能するWebサイトの制作です。
マーケティングサイトとは、自社の商材に関心を持つ見込み客(リード)の獲得やリードナーチャリングを目的として、検討フェーズを進めるために必要な情報を提供していくWebサイトのことです。

企業サイトや一般的な製品紹介サイトが、自社が伝えたい情報を提供しているものであるのに対して、マーケティングサイトは、自社のこと、また自社の商材についてよく知らないユーザーに対して、ニーズに寄り添い課題解決につながるような情報を提供していくWebサイトです。
「この機能が優れています」「他社とここが違います」などの企業側が伝えたいことだけが、顧客の求めている情報ではありません。
顧客の情報収集の起点がWebサイトになった今、マーケティングで機能するWebサイトは「インターネット上の営業マン」です。顧客のニーズや課題に合わせた情報提供を行い、「自社にピッタリのサービスだ」と認識してもらえるような優秀な営業マンサイトを準備しましょう。


リード獲得のためのコンテンツの準備

次にマーケティングサイトに掲載するコンテンツの作成です。
ここまで読み進めていただいた方はもうお気づきかもしれませんが、リード獲得をするためには顧客のニーズや課題に寄り添ったコンテンツが必要不可欠です。
コンテンツを考える際には、顧客の検討状況を、3つの段階に分けて企画していくのが進めやすいでしょう。
皆様がこれからアプローチをされるターゲットの検討状況はさまざまです。ニーズが潜在的なお客様もいれば、パートナー選定を検討している顕在層もいるでしょう。
そのため、さまざまな検討状況や温度感に合わせてコンテンツを準備してくことが大切です。

まだ貴社のサービスを認知していない検討初期のユーザー対しては、ターゲットの日常業務における関心ごとから、興味や必要性喚起につなげていく「お役立ちコラム(記事)」や「ホワイトペーパー」が有効です。

また、ニーズや課題認識をしている検討中期のユーザー向けには、ニーズや課題の原因を明らかにしつつその解決策としてサービスを紹介するランディングページや、利用イメージが具現化できるような「事例紹介」が有効です。
比較検討段階にある検討後期のユーザーは、パートナーの選定に向けて詳細情報を収集している可能性が高いため、他社との差別化につながるような情報が有効です。


情報探索ユーザーに対するアプローチ

これから始める企業様に。BtoBマーケティングのスタートアップ時に必要な施策とは

最後は、自社のターゲットユーザーにリーチするためのマーケティング施策の実践です。
Webサイトやコンテンツが準備できたら、それを「知ってもらう」ための広告・集客活動が必要となります。
広告や集客施策はいくつかありますが、まず取り組むべき施策はSEM(Search Engine Marketing)です。その理由は、情報を収集しているユーザーにアプローチできるため、商談化する可能性が高いためです。
具体的には、リスティング広告、SEO対策です。それぞれ、検索ユーザーにアプローチをするという点は同じですが、効果が出るまでの期間や効果を上げるためのポイントも異なります。

そのため、どちらかを行うのでなく両施策共に同時に実施していくことがおすすめです。

ハウスリストを保有している企業はメールマーケティングも有効

これから始める企業様に。BtoBマーケティングのスタートアップ時に必要な施策とは

BtoBマーケティングを始める企業の中には、すでに社内に一定数のリード(ハウスリスト))を保有しているというケースもあると思います。
またリードとしてまとまっていなくても、営業マンが保有している名刺や顧客リストをすべて集めてみると、相当数のリードになることもあります。

そのような企業は、リードに対してメールでアプローチしていくメールマーケティングを行うのもよいでしょう。
メールマガジンといった本格的なものが難しい場合や、マーケティングサイトがまだない場合には、ちょっとしたご挨拶や情報提供メールなどから始めるのも一つの方法です。セミナーを開催してそのご案内を送るといったことも可能です。
メールを定期的に配信していくことで、ニーズが顕在化したタイミングを逃さずキャッチすることができます。

定期的に効果分析をして効果検証を行う

これから始める企業様に。BtoBマーケティングのスタートアップ時に必要な施策とは

BtoBマーケティングは、継続的な成果を上げられるようになるまでに時間がかかることもあります。
特に1年目は、必要情報のあぶり出しや明文化、マーケティング設計、コンテンツ制作、リード獲得などが中心となり、最終目的である受注といった成果を思うように上げることは難しいかもしれません。

しかし、様々なマーケティング施策に試し、丁寧に効果検証をして必要な改善策を講じていくことで自社の成功パターンが見つかり、最終的にはある程度自動的にリードや商談が生まれ、受注まで繋げられるようになっていきます。
そのためにも、PDCAを回し続けること、特に効果分析・効果検証を忘れないことがBtoBマーケティング成功の鍵といえます。

スタートアップ(~1年間)における事例

スタートアップ段階のマーケティング活動における成功事例をいくつかご紹介します。

1年間で月平均リード獲得数が2~3件→40~50件に。

これから始める企業様に。BtoBマーケティングのスタートアップ時に必要な施策とは

こちらの企業様は、マーケティング活動開始前に以下のような課題をお持ちでした。

①コロナ禍において見込み客情報(リード)の収集が困難になっている
②Webを活用した商談創出の成果が出ていない
③顧客開拓が属人的な営業活動や特定企業に依存している

社内で専任担当者を育成する余裕もないため、上記課題を解決するためのサポートをして欲しいとご相談を頂き、支援をさせていただきました。実施した主な施策は以下のとおりです。

(1)注力したい事業専用のWebサイトを準備
(2)営業マンが保有していた名刺情報を整備し、MAでメールマーケティングを実施(2回/月)
(3)ターゲットのニーズ・課題を整理し、お役立ちコラムでコンテンツSEOを強化

結果として、月に数件しかなかったリードが40~50件に増加しました。

初年度でWebサイト経由の新規受注数が5件発生

これから始める企業様に。BtoBマーケティングのスタートアップ時に必要な施策とは

こちらは、企業サイト経由の問合せがまったく発生しておらず、WEBサイトを立ち上げてから数年間更新されていなかった企業様の事例です。当社には以下のようなご相談を頂きました。

①競合先も多く、USPもないと感じている
②タイミングビジネスであるため検索エンジン対策が重要なことはわかっているが全然ヒットしない

当社にてコンサルティングから支援させて頂き、初年度においては上記3点にフォーカスをして施策を実施しました。

(1)顧客ペルソナの整理
過去の受注実績データを元に、受注しやすい顧客分析を実施。ある一定の傾向が見えたことから、そのターゲット像にフォーカスしたWebサイトを構築
(2)SEM施策を中心とした集客施策の実施
タイミングビジネスであるため、情報収集を行っているユーザーにアプローチするSEM施策を実施。短期的に成果を生み出すリスティング広告と中長期的なマーケティング資産となるコンテンツSEOを実施
(3)事例コンテンツを充実
顧客の検討プロセスにおいて実績・事例が重要な要素を占めることが分かっていることから、様々な実績・事例を記事及びホワイトペーパー化。

結果として初年度からWebサイト経由の問合せ100件発生し、受注も5件獲得することができました。こちらの企業様は、4年経った現在は年間20件以上の新規受注を生み出すマーケティング施策に成長しています。

「マーケティングはこれから」という企業様へ

最後に「マーケティングには取り組みたい思ってはいるが、まだ実施できていない」という企業様向けに人気のサービスをご紹介させて頂きます。

必要な「環境」と「実行リソース」をまとめて提供!「BtoBマーケティング START UP」

以下のようなニーズや課題をお持ちのお客様はお気軽にご相談下さい!

・そもそも何から始めたらよいか分からない。
・マーケティング業務に専念できる人材がいない。
・CMSやMAなどのツールを導入しても使いこなせるか不安。
・初めて取り組むので、できる限り投資を抑えて始めたい。

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BtoBマーケティングBPO編集部
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