【目的別に解説】BtoB広告施策の選定方法

更新日 : 2025年06月11日
BtoB分野においても広告施策は複数あります。その中からどの広告施策を選定していくべきかお悩みの方も多いかと思います。本コラムにおいては、目的に合わせた広告施策の選定方法を解説します。

広告施策を選ぶときに押さえておくべき3つのポイント

広告施策の選定とは、「目的・ターゲット・予算」などを踏まえて、最適な広告手法を選び、実行計画を立てることです。成果につながる広告施策を選ぶために、以下のポイントを押さえましょう。

①目的とKPIを明確にしておく

広告を通じて「何を達成したいのか」を明確にし、それに合ったKPI(重要成果指標)を設定しましょう。
たとえば、ただ「リード獲得を増やしたい」だけでは不十分です。

・どんな属性のリードを獲得したいのか?
・お問い合わせを増やしたいのか?
・資料(ホワイトペーパー)をダウンロードさせたいのか?


目的が具体的であればあるほど、選ぶべき広告施策やKPIの設計も明確になります。
広告施策における効果指標やKPIの例については以下コラムでも解説していますので合わせてご覧ください。

【関連記事】BtoB広告の効果指標とKPI

②「目標数値」か「予算」のいずれかを明確にしておく

BtoBの広告施策においてもデジタル広告施策が主流になっている今、目標数値に応じて必要となる広告予算の目安を試算することができます。

初めて広告施策を実施する際には、実績がないため難しく感じるかもしれませんが、両方を明確にする必要はありません。どちらかを社内で議論して明確にしておきましょう。

どちらも明確になっていない場合、施策の優先順位が立てにくくなり、選定の際の判断ができなくなってしまいます。

「まずは効果を検証したいが、テストマーケティングとしてどの程度の予算をかけるべきか分からない」「まずはどのくらいの費用がかかるのかを知っておきたい」という場合は、広告代理店やマーケティング支援会社に相談してみることをおすすめします。

当社においても、こうしたご相談に対するオンライン無料相談を実施しています。お気軽にご相談ください。

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③運用後の広告費のアロケーションを前提にしておく

広告におけるアロケーションとは予算配分を意味します。

広告施策は当初立てた計画通りの効果やKPIを達成できないこともあります。そのため、実施後の効果を見ながら予算配分を柔軟に変える運用が重要です。

例えば、200万円の予算をリスティング広告とSNS広告に10万円ずつ配分していた場合、広告の成果に応じで予算アロケーションの見直しを行い、リスティング広告:150万円、SNS広告:50万円に配分を変更する、など初期プランに固執せず、効果の高い施策に予算を集中投下する考え方が、成果最大化には欠かせません。

また、季節性を踏まえた予算アロケーションも成果を最大化させる1つのポイントになります。
ユーザーの情報収集、商談化が活性化する時期とそうでない時期を見極め、戦略的に予算アロケーションをすることでROI(投資対効果)の最大化につながります。
既に広告を実施している場合は、過去データを時系列で分析し、それを基に予算アロケーションを検討するとよいでしょう。

広告施策の選定方法と流れ

広告の目的・KPI、目標数値・予算が明確になったら、広告施策の選定になります。
ここからは選定方法と流れについて解説します。
前述の通り、選定する広告施策は目的によって変わります。当社によくご相談をいだたく広告の目的別に広告施策の選定方法をご紹介します。

【目的①】サービスを探している顕在層を獲得する

最も相談が多いのが、「今まさにサービスを探している顕在層」をターゲットにした広告施策です。顕在層は検討期間(リードタイム)が短く、リードを獲得できれば商談や契約に結びつきやすいのが特徴です。

顕在層を狙うには、以下2つの軸から施策を考えましょう。

(1)導入検討キーワードで検索しているユーザーにリーチできる施策

代表的なのは リスティング広告(検索連動型広告)です。ユーザーが能動的に情報を探しているため、即効性が期待できます。

ただし、狙いたいキーワードがあまり検索されていない場合や商材特性によっては、十分な効果が得られないこともあります。

(例①)バーティカル商材
バーティカル商材とは、特定の業種や市場セグメントに特化した商品やサービスを示します。
そのため、検索するユーザーが少なく、限定的な広告配信となり効果を得られにくいことがあります。

(例②)新規性の高い商材
新規性の高い商材は、市場に認知、浸透がされておらず、ユーザーが検索で探す動機がないことから、検索ボリューム(検索回数)が少なく、効果を得られにくいことがあります。

上記に該当するや、リスティング広告(検索連動型広告)がそもそも施策として向いているかどうかの判断が難しい場合は、広告代理店やマーケティング会社に相談するのがよいでしょう。


(2)サービスを導入する可能性の高いユーザーにリーチできる施策
こちらは、まだニーズが顕在化していない潜在層も含めてアプローチする手法です。
より多くの母数に広告を届けることで、今後ニーズが表面化するユーザーを取り込むことを狙います。

この場合、重要なのは次の2点です

・サービス導入の可能性が高いターゲットにリーチできる広告媒体を選ぶこと
・ニーズや課題を明確に訴求する広告クリエイティブ(バナーやコピー)を設計すること

顕在層向けの広告では、「課題をどう解決できるか」を中心に訴求し、ユーザーを広告からWebサイトへ誘導します。

その際、ベネフィット(ユーザーがサービス、商品を利用することで得られる結果や価値)を具体的に訴求することがポイントになります。

 例)
・請求業務の工数90%削減
・1ヵ月で問い合わせ数2倍

ユーザーは商品、サービスの機能などよりも「自分にどう役立つか」に反応しやすいため、より興味を引きやすくなりクリック率やコンバージョン率の向上が期待できます。




【目的②】自社サービスが解決できるニーズを持つ準顕在層を獲得する

準顕在層とは、「課題はあるが、まだ具体的な解決策(サービス)を探していない層」です。
この層は、正しく情報を届けることで関心を高め、将来的にリードや商談へとつなげやすいのが特徴です。
この層をターゲットにする場合は、以下の2つのアプローチ軸で施策を選定します。

(1)課題解決や業務改善に関心があるユーザーに向けた情報提供型の施策
準顕在層は、サービス名や製品名ではなく、「業務の悩み」や「改善方法」といったキーワードで情報収集を始める傾向があります。

そのため、ディスプレイ広告・SNS広告・コンテンツ連動型広告などで、

・業界課題や最新動向
・課題解決ノウハウ
・自社サービスが貢献できるシーン


といったテーマのホワイトペーパーやウェビナー案内などを訴求し、興味を持ってもらうのが有効です。

広告により興味を引き、各コンテンツの申込や参加を通じてリード化する流れを設計するのがポイントです。

(2)ターゲットの興味・関心軸に基づいたセグメント配信施策
準顕在層は、顧客課題が明確でないケースも多いため、関心や業種・職種などの属性データを活用したセグメント配信が有効です。

たとえば、

・特定の業界(製造業・IT企業など)
・特定職種(経営者・情報システム部門・経理部門など)
・関連キーワードに反応しているユーザー

に絞って配信できるSNS広告や、業界や職域に特化したメディア広告を活用すると、無駄なく効果的にリーチできます。

この際、広告クリエイティブは「課題に共感してもらう内容」や「ベネフィット提示」がカギになります。
まだサービス導入の検討段階にはいない層のため、「共感 → 興味 → 詳細確認 → リード獲得」の流れを意識して設計することが重要です。

準顕在層の獲得には即効性はありませんが、中長期でのリード育成や受注につながる基盤づくりにおいて非常に重要です。戦略的に施策を組み立て、継続的に接点を持ち続けることが成果への近道です。

BtoB広告予算の決め方

「BtoB広告の予算の決め方を教えて欲しい」というご質問をよくいただきます。
広告予算の決め方においては明確な正解があるわけではありませんが、成果を最大化するためには、事業の目的や状況に合わせた合理的な考え方が必要です。
以下に、BtoB広告の予算を決める際の一般的なステップとポイントをわかりやすく解説します。

①目的とKPIを明確にする

まず、「広告で何を達成したいのか?」を具体化します。
たとえば:

・新規リードの獲得
・見込み顧客との商談獲得
・認知拡大

など、目的ごとにKPI(重要な数値目標)を設定しましょう。

②1件あたりの目標単価(CPA)を設定する

KPIが決まったら、それを達成するために「1件あたりどれくらいのコストをかけられるか」を考えます。

たとえば、下記のように逆算します。

受注単価:100万円
商談からの受注率:20%
リードからの商談化率 : 20%

→ 1件の商談から20%の確率で100万円が売上になる
→ 商談1件あたり20万円の価値
→ 1件リードから20%の確率で商談になる→リード1件あたり4万円の価値
→ CPA(1件あたりのリード獲得コスト)は 1~2万円以内 に抑えたい

このように「逆算」で、費用対効果が見合う広告予算の目安を出します。

③月間または四半期での目標件数から総予算を算出する

CPAと件数が分かれば、全体の広告予算を算出できます。

例:月に50件のリードが必要な場合
CPA目標が2万円 → 月の広告予算 = 50件 × 2万円 = 100万円

④広告施策ごとの配分を決める(予算アロケーション)

目的に応じて、広告施策ごとに予算を配分します。広告施策によって効果試算を行いながら実現性を確認しましょう。
また、効果が出たチャネルに柔軟に再配分できるよう、「調整可能な運用設計」が理想です。

はじめてBtoB広告を実施する方へのアドバイス

まずは“テストマーケティング”から始めましょう

初回から大きな予算を投下するのではなく、小規模な広告出稿で効果検証を行うのが鉄則です。

【テストマーケティングの目的例】
・効果の出やすいチャネルやキーワードの発見
・想定したターゲットリードを獲得できているかの確認
・ランディングページやバナーの訴求力の検証

【テスト予算の目安】
最低でも 月30万〜50万円程度(ターゲットやCPAによって増減)
2〜3ヶ月のテスト期間を設定し、改善PDCAを回す

成果指標(KPI)は「リードの質」にも注目

「リード数」だけで判断すると、質の低い問合せが増えて逆に営業負荷になることがあります。
SQL率(Sales Qualified Lead率): 獲得したリードが商談に進んだ割合などをみて、広告成果を「数」ではなく「商談化・受注に貢献するか?」の視点で見ることが重要です。

本コラムの作成・編集者

ターゲットメディア株式会社 BtoBマーケティング研究チーム

BtoBマーケティング支援企業ターゲットメディア株式会社のマーケティングチーム。長年の支援実績で蓄積したナレッジや実績データをもとに、BtoBマーケティングを実践する企業様向けに成功のヒントとなる情報をお届けしています。