企業ターゲティング広告とは?特定企業を指定して広告配信するABM施策

ABMを実践したい企業にとって、障壁になるのは「施策が少ない」ということです。実際に特定企業にアプローチできる施策は多くありません。ただ、そうした中でもあまり知られていない施策が「企業ターゲティング広告」です。
単に属性でセグメントするだけでなく、企業単位でターゲットを指定して広告配信できる点が最大の特徴です。

本記事では、企業ターゲティング広告の仕組みから、具体的なメリット、そして導入から成果を最大化させるまでの実践的なステップまでをご紹介します。
【横長】カテゴリーマーケティング
目次
企業ターゲティング広告とは?特定企業だけに配信できる仕組みを解説
企業ターゲティング広告を実施する3つのメリット
導入前に知っておきたい企業ターゲティング広告の注意点
企業ターゲティング広告を実現する代表的なDSP
企業ターゲティング広告を始めるための4ステップ
企業ターゲティング広告の効果を最大化させる2つのポイント
企業ターゲティング広告の効果はどのように図るか
企業ターゲティング広告に関するよくある質問
まとめ

企業ターゲティング広告とは?特定企業だけに配信できる仕組みを解説

企業ターゲティング広告とは、特定の企業名を指定して、その企業に属する従業員に広告を配信する広告手法です。IPアドレスや名刺データを用いて、そのネットワークに接続している人に広告を表示させることができます。

1. IPアドレスを用いた広告配信

IPアドレスを用いた広告配信 は、「どの会社からアクセスしているか」を推定し、その企業に向けて広告を出し分けることができます。

企業ターゲティング広告配信している会社は IPアドレスと企業名の対応データベース を持っているため、 「このアクセスは○○株式会社のオフィスから」 と推定できます。
(※個人名までは分かりません。あくまで「企業単位」です)

2. 名刺データを用いた広告配信

名刺アプリ「Eight」などのデータと連携し、業種・部署・職位などの属性をターゲティングに活用する方法です。 個人を特定しない形で匿名化データとしてDSPに連携されています。

前述のIPアドレスを用いた広告配信と異なり、企業単位だけでなく、役職や部署署でセグメントをして配信できる点が特徴です。

企業ターゲティング広告を実施する3つのメリット

企業ターゲティング広告は、「受注しやすい企業」が明確になっている場合に効果を発揮します。

企業ターゲティング広告とは?特定企業を指定して広告配信するABM施策

メリット1:「狙った企業だけ」に広告を出せる

営業部門が作成したターゲットリストや、過去に取引があった休眠顧客、あるいは失注してしまったものの再度アプローチしたい企業に対して、「法人番号」を付与することで完全一致で広告配信できます。

不特定多数に向けた広告と異なり、ターゲット外のユーザーへの不要な広告表示がなくなるため、無駄配信が減り、広告効率が改善できます。

メリット2:受注につながりやすい「質の高いリード」が増える

BtoBマーケティングにおいて重要なのは「数」よりターゲット適合度です。企業ターゲティングでは前述の通り「自社の理想顧客」だけに配信できるため、受注確度が高い企業に集中でき、不要リードを減らすことができます。

結果として獲得したリード経由の商談化率・受注率が上がる可能性が高まります。

メリット3:営業(ABM)と連携できる

また企業単位で配信されるため、営業と連動しやすいのが大きな特徴です。

営業部門がターゲットとする重要顧客リストに対して、マーケティング部門が広告を配信し、事前に製品の認知度や理解度を高めておく、といったマーケ×営業の一体化(ABM)が可能になります。

導入前に知っておきたい企業ターゲティング広告の注意点

企業ターゲティング広告は多くのメリットを持つ一方で、その特性から生じるいくつかの注意点も存在します。
導入を成功させるためには、これらの制約や事前に必要な準備について正しく理解しておくことが不可欠です。
具体的には、ターゲットを絞り込むことによるリーチの限定性や、広告配信の前提となる企業リストの準備といった点が挙げられます。

これらの要素を事前に把握し、計画的に進めることで、期待する効果を最大限に引き出すことができます。

注意点1:ターゲットリストの精度と効果が連動する

企業ターゲティング広告は「誰に配信するか」で成果の大半が決まります。
つまり、ターゲットリストの質=広告効果です。

例えば、以下のような状態では成果が出にくくなります。
・自社の理想顧客(ICP)とズレた企業が含まれている
・受注確度の低い企業が多い
・企業規模・業種・課題の条件が曖昧
・営業が狙いたい企業と一致していない


この状態で広告を配信すると、クリックや流入はあっても商談や受注につながらないリードが増えてしまいます。


逆に、以下のようにターゲットを精緻化すると成果は大きく変わります。
・受注実績のある企業属性に絞る
・営業と連携したターゲット設計
・業界・企業規模・課題ベースでセグメント化


企業ターゲティング広告は「配信設定」よりもターゲット設計が最重要です。
導入前にターゲットリストの精度を見直すことが、成功の第一歩となります。

注意点2:メッセージが最適化されていないとクリック・CVが生まれにくい

企業ターゲティング広告は「狙った企業に広告を届ける」ことはできますが、
興味を持たせ、行動(クリックやCV)を起こさせるかはコンテンツ次第です。

よくある失敗例:
●汎用的な広告メッセージ(誰に向けているか不明)
●ターゲット企業の課題に刺さっていない
●広告とLPの訴求内容がズレている
●CV導線が弱い(資料DL・問い合わせへの動機不足)


この状態では、いくらターゲット企業に配信しても配信止まりになり、クリックやコンバージョンが生まれません。

成果を出すためには:
●ターゲット企業の業界・役職・課題に合わせた訴求設計
●「自分ごと化」できる広告メッセージ
●広告とLPの一貫性(ストーリー設計)
●事例・数値・成果イメージの明確化
●CVの心理ハードルを下げる設計(無料資料・診断・事例など)


企業ターゲティング広告は配信精度 × コンテンツ設計で成果が決まります。
配信だけでなく、広告クリエイティブとLPの最適化を同時に行うことが重要です。

企業ターゲティング広告を実現する代表的なDSP

企業ターゲティング広告を実施できる媒体やツールは多岐にわたります。
それぞれターゲティングの仕組みや得意な領域、ユーザー層が異なるため、自社の目的やターゲット企業の特性に合わせて最適なものを選ぶことが重要です。
代表的な選択肢として、ビジネス情報を活用できるSNS広告、独自のデータベースを持つDSP、そして特定の検索行動を捉えるリスティング広告などが挙げられます。

ここでは、DSPに絞って代表的な2例を紹介します。

①シラレル(株式会社マイクロアド)

BtoB向け商材の訴求に特化した広告配信プラットフォーム(DSP)です。1000万以上のデータ量を誇る大規模ビジネスデータを利用して様々な企業属性カテゴリから選定が可能です。

企業ターゲティング広告とは?特定企業を指定して広告配信するABM施策

②ADMATRIX DSP(株式会社クライド)

独自のIPアドレスデータベースと連携しているため、企業のIPアドレスを特定して様々な業種や特定の企業などへターゲティングすることが可能です。

企業ターゲティング広告とは?特定企業を指定して広告配信するABM施策

企業ターゲティング広告を始めるための4ステップ

企業ターゲティング広告を成功させるには、戦略的な計画と準備が不可欠です。
ここでは、成果を最大化するために必要な手順を、ターゲット企業の定義から媒体選定、クリエイティブ作成、そして配信後の改善活動まで、具体的な4つのステップに分けて解説します。

この流れに沿って進めることで、着実な広告運用が可能となります。

ステップ1:ターゲット企業リストを明確に定義する

最初のステップは、広告配信の土台となるターゲット企業を具体的に定めることです。
まず、自社の既存の優良顧客を分析し、業種、企業規模、地域、抱えている課題などの共通項を見つけ出し、ターゲット企業のペルソナを明確にします。
その上で、営業部門が管理する顧客リストやCRM/SFAのデータ、過去の失注・休眠顧客情報などを活用して、具体的な企業リストを作成します。

このリストの精度が広告効果に直結するため、なぜその企業群をターゲットにするのかという戦略的な視点を持ち、アプローチすべき企業を厳選することが重要です。

ステップ2:アプローチに最適なDSPを選定する

ターゲット企業リストが完成したら、次にその企業群に最も効果的にアプローチできるDSPを選びます。

選定する際には、アプローチをしたいターゲット企業リストをもとに各DSPで効果試算をすることが大切です。
効果試算をご希望の方は以下よりお気軽にご相談下さい。

ステップ3:広告クリエイティブとランディングページを用意する

ターゲットに響く広告バナーと、広告をクリックした先のランディングページ(LP)を準備します。
企業ターゲティング広告は配信対象が明確なため、ターゲット企業・部署・役職に“自分向け”と思わせることが最重要です。

また、企業ターゲティング広告でアプローチする企業の検討段階はさまざまです。多くのケースは潜在的なユーザーが多いと捉えておく方が適切です。そのため、ターゲット企業の潜在的に抱えるニーズや課題を整理して、“自社の問題だ”と思わせるクリエイティブを考える必要があります

ランディングページは、広告の内容と一貫性を持たせ、ターゲット企業が製品やサービスの提供価値を理解できる設計にしましょう。


ステップ4:配信設定を行い効果測定と改善を繰り返す

全ての準備が整ったら、選定した広告媒体の管理画面で配信設定を行い開始します。
しかし、配信を開始して終わりではありません。
広告の成果を最大化するためには、配信後の効果測定と改善活動が不可欠です。

管理画面で表示回数、クリック率、コンバージョン数、CPAなどの主要指標を定期的にモニタリングします。
成果が想定を下回る場合は、広告クリエイティブ、ターゲティング設定、ランディングページなど、どの要素に問題があるのか仮説を立てて修正を加えます。
このPDCAサイクルを継続的に回していくことで、広告パフォーマンスを最適化していきます。

企業ターゲティング広告の効果を最大化させる2つのポイント

企業ターゲティング広告の運用を開始した後、その成果をさらに高めるためには、いくつかの実践的な工夫が求められます。
ただ設定通りに配信を続けるだけでなく、より戦略的な視点を持って運用に取り組むことで、費用対効果を飛躍的に向上させることが可能です。

ここでは、広告効果を最大化するために特に重要となる3つのポイント、すなわちターゲット設定の解像度向上、クリエイティブの最適化、そして部門間の連携強化について解説します。

ポイント1:広告バナーを複数パターン用意しABテストを行う

最初から一つのパターンに絞らず、コピーや画像、デザイン、CTA(行動喚起)の文言などを変えた複数のクリエイティブを準備し、同時に配信して効果を比較するABテストを実施することが不可欠です。

クリック率やコンバージョン率などのデータに基づいて最も成果の高いパターンを特定し、その成功要素を他のクリエイティブにも展開していくことで、広告全体のパフォーマンスを継続的に改善していくことが可能になります。


ポイント2:営業連携で商談化率を高める

マーケティング部門だけで広告運用を完結させるのではなく、営業部門との緊密な連携体制を築くことが成功の鍵となります。

広告経由で獲得したリード情報を速やかに営業部門に共有し、その後のアプローチ状況や商談の進捗、受注確度などのフィードバックをもらう仕組みを構築します。
営業からのフィードバックは、どのような企業からの反応が良いのか、どのメッセージが商談につながりやすいのかを知るための貴重な情報源です。

この情報を次のターゲティングやクリエイティブ改善に活かすことで、広告戦略全体の精度を高められます。

企業ターゲティング広告の効果はどのように図るか

直接CVだけでは見えない重要指標


企業ターゲティング広告は、リスティング広告のように「クリック → CV」という短期成果だけでは効果を正しく評価できません。
特にABMを実践する場合の多くは、エンタープライズ企業をターゲットとしているケースが多いと思います。エンタープライズ企業は導入関与者が多く。検討期間も長期化する傾向にあります。そのため、直接CVに加えて次の2つの指標が重要になります。

VTCV(ビュースルーコンバージョン)

VTCV(View Through Conversion)とは、広告をクリックせず「閲覧しただけ」のユーザーが、後日コンバージョンした数を指します。つまり、「広告がきっかけになった間接的な成果」を可視化する指標です。

VTCVを見ないと、広告効果を過小評価してしまい、認知施策を止めてしまうことにもなります。
特に企業ターゲティング広告は「指名検索増加・後追いCV」を生みやすいため、VTCVは極めて重要な評価指標です。

オフィスコンバージョン効果

オフィスコンバージョンとは、広告を配信しているターゲット企業から発生したコンバージョン数を指します。
実際に多くのケースにおいて、「広告を見た人 ≠ CVした人」とは限りません。

・上司が広告接触 → 担当者に問い合わせを指示
・担当者が広告閲覧 → 数週間後に別部署が資料DL


このようなケースは非常に多く、クリックベースのCVだけでは実態を把握できません
オフィスコンバージョンを見ることで以下を実現できます。

・狙った企業への浸透度が分かる
・ABM施策の成果が見える
・商談創出への貢献が分かる
・「企業攻略」という本来の目的を評価できる


企業ターゲティング広告では、個人CVより企業CVの方が本質的な成果となります。

間接コンバージョン効果(クリック後別経路でCV)

間接CV(間接コンバージョン)とは、広告をクリックした後、別の経路でコンバージョンしたものを「間接的に貢献した」と評価する指標です。
ユーザーは通常、1回の広告接触だけで購入や申込を決めるわけではありません。
特にBtoBは「何度も情報収集する」「複数の広告に触れる」「比較検討期間が長い」といった購買に至るまでのプロセスがあります。
そのため、直接CVだけでは広告効果を正しく評価できないことがあります。


間接CVは、認知形成や検討促進といった“見えにくい貢献”を可視化するための重要な指標です

企業ターゲティング広告に関するよくある質問

企業ターゲティング広告はBtoBマーケティングにおいて強力な手法ですが、導入を検討する段階では具体的な運用に関する疑問が生じやすいものです。
ここでは、多くのマーケティング担当者が抱くであろう一般的な質問とその回答をまとめました。

Q. 広告を配信するターゲット企業リストはどうやって作成すれば良いですか?

自社の優良顧客の共通点(業種、企業規模など)を分析し、ターゲット像を明確にしてからリストを精査すると、より効果的な広告配信につながります。

細かいセグメント項目をもとに独自の「受注しやすい営業リスト」を生成するサービスも準備しております。

Q. 最低出稿金額や費用の目安はどれくらいですか?

使用するDSPよって最低出稿額は異なります。最低出稿金額は以下の通りです。
(2026年1月現在)

<最低出稿金額>
・シラレル:100,000円/月
・ADMATRIX:300,000円/月

Q. 広告配信先を指定することはできますか?

可能です。

Q. 配信先の企業リスト数は何社ぐらいから配信できますか?

企業規模により、エンプラ企業であれば1社から配信が可能な場合もありますが※、入札単価最適化などを鑑みると、少なくとも「配信可否照合後の状態で」 30社以上あることが望ましいです

※一部配信ができない企業もあります。(全体の15%強)使用するDSPによって異なります。

まとめ

企業ターゲティング広告は、特定の企業に所属する従業員に絞ってアプローチできる、BtoBマーケティングにおいて非常に有効な広告手法です。
IPアドレスやSNSのプロフィール情報を活用することで、見込みの高い潜在顧客へ的確にリーチし、無駄な広告費を抑えながら費用対効果を高めることが期待できます。
成功のためには、メリットと注意点を理解した上で、Facebook、LinkedIn、DSPといった各媒体の特性を見極め、自社の目的に合ったものを選定することが求められます。

企業ターゲティング広告に関するサービス資料も準備しております。
是非ご確認ください。


本コラムの作成・編集者

ターゲットメディア株式会社 BtoBマーケティング研究チーム

私たちは、「日本のBtoBマーケティングをアップデートする」をミッションに活動する専門家チームです。
BtoB領域に特化して、17年以上・支援社数200社以上のマーケティング支援を手掛け、そこで蓄積された成功事例や実践的なノウハウを、現場で奮闘するマーケターの皆様にお届けしています。
チームには、戦略コンサルタント、データアナリスト、コンテンツ制作のプロフェッショナルが在籍し、多角的な視点から成功のヒントを発信します。

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