浸透した企業カルチャーが、ユニット・部門間の連携を強化し事業成長を後押しする
―株式会社SmartHR 様
同社は、クラウド人事労務ソフト「SmartHR」を提供し、マスメディアを通じたブランディング広告だけでなく、イベントやデジタルマーケティング、オウンドメディア、広報など、多角的なマーケティング施策を展開することで毎年右肩上がりの成長を続けています。
今回はマーケティンググループの中のリードジェネレーションイベントユニットを統括している門脇様、桑野様にその成長の秘訣をお伺いしました。
- 目 次
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- ―貴社のマーケティンググループ(部門)の目的・役割についてお聞かせください。
- ―社内のマーケティンググループ(部門)の体制についてお聞かせください。
- ―マーケティンググループ(部門)におけるKPIを教えてください。
貴社の事業内容について教えてください。
弊社は、クラウド型の人事労務ソフト「SmartHR」を開発・運営・販売している会社です。
SmartHRは一言で言うと、人事・労務管理業務の効率化・ペーパーレス化を実現できるツールです。
例えば、入社時に必要な各種書類のやり取りや住所・身分証明書の確認、社会保険申請等の手続きを電子化。直感的に操作できるUIで、法手続きの業務を極力簡単に完遂することができるシステムになっています。
また、入社後の人事異動や給与遍歴といったこともすべてSmartHRで一元管理できますので、人材マネジメントシステムとしても活用できます。
最近では、従業員サーベイの機能を利用されるお客様も多く、従業員のミッション共感度調査や現在の業務状況への満足度調査など、企業の健康診断ツールとしても活用されています。
あらゆるタッチポイントから接点を見出し、セールスへ
繋がる突破口を開く
―貴社のマーケティンググループ(部門)の目的・役割についてお聞かせください。
弊社のマーケティンググループにおけるミッションは、「コミュニケーションの観点から、お客様との関係性構築を質・量ともに最大化していくこと」です。
その一環として、私達が所属するイベントユニットでは、顧客との接点を創りセールス部門と連携した商談創出活動を行っています。その活動では、例えばセミナーなどの手段を用いてより多くのお客様と接点を創り、お客様の課題や要望などを顕在化させたり、施策を通じて興味度合いを高めたりしながら、セールス部門へお客様のご対応を引き渡していく、といったものです。SaaS業界のフレームワーク「The Model」も参考に体制を作っています。
―社内のマーケティンググループ(部門)の体制についてお聞かせください。
弊社のマーケティンググループには現在34名(2021年5月時点)が所属しておりまして、全部で8つのユニット分かれています。
各ユニット毎に役割や扱うメディアなどが異なり、専門領域が分かれています。例えば、我々と同一の目標を追っている「リードジェネレーションデジタルユニット」は検索広告などでの集客や、自社サイトコンテンツでの顧客接点創出、外部媒体様との提携といった、我々と異なるメディアを活用しています。
他にも、マス広告などを通じたブランディング活動をしている「ブランドマーケティングユニット」や、蓄積されたデータを整備し、利用価値の高いものにする「データマーケティングユニット」、見込み顧客との継続的コミュニケーションを通して、顧客の利用意向を高める「リードナーチャリングユニット」などがあります。
我々が所属するイベントユニットは、セミナーやメディア主催のカンファレンス、展示会ブースなどを企画・運営しております。自社イベントは頻度高く実施する小規模なセミナーから「SmartHR Next」の様な大規模なものまで様々です。
―マーケティンググループ(部門)におけるKPIを教えてください。
KPIは、先程お伝えした通りユニットによって異なりますが、イベントユニットとデジタルユニットに限定してお伝えすると、「MQL(Marketing Qualified Lead)」と「SQL(Sales Qualified Lead)」の件数です。
MQLは、イベントユニットとデジタルユニットが接点を持てたお客様の中から、「SmartHRでペインを解決できる」と考えられるものを精査させて頂き、インサイドセールス部門が情報提供・ヒアリングをさせて頂くケースを指します。
また、SQLは、インサイドセールス部門がアプローチしたお客様の内、実際に商談の機会を頂けたケースを指します。
社内に根付いている“バリュー”が部門間の協力体制を
生み出す
―セールス部門との連携はどのように行われていますか?
先程お話した工程を経てMQLを提供した後、インサイドセールス部門は、お電話やメールにてお客様へヒアリングを行い、課題の特定と共通認識を醸成した上でアポイントメントを
打診、クロージングセールス部門とお客様の商談セッティングを行います。
インサイドセールス部門のアプローチにおいては、可能な限りお客様の情報を事前に把握した上でご連絡をします。
その中で「お客様が触れたマーケティングコンテンツ」に関する情報も必須となるため、その点もシステムを駆使し連携を欠かさないようにしています。
アポイントメントに繋がらなかったお客様に対しては、リードナーチャリングユニットがコミュニケーションを行います。メールマガジンを通して、お客様の興味関心が醸成されるようなコンテンツをご提供するなどして、定期的に接点を設けさせて頂いています。
ナーチャリングユニットとお客様とのコミュニケーションには、マーケティングオートメーションツールの「マルケト」を、顧客情報管理は「セールスフォース」を活用しています。
―マーケティンググループ(部門)とインサイドセールス部門の連携はスムーズですか?
課題は常にありますが、スムーズだと思います。
マーケティンググループが創ったお客様との接点にインサイドセールス部門がアプローチし
商談に繋げるという業務の関係上、どちらが欠けてもミッション達成は成し得ません。
一方の部門が取りこぼしてしまった課題に対して、もう一方がアラートを素早く出し、解決に向けて協力して動いていけるという状態に、自然となっていますね。
また、この協力体制は、マーケティンググループやインサイドセールス部門に限らず全社的なカルチャーだと思います。
弊社では、大事にしている7つのバリューがあり自社HPでも公開しています。そのバリューの中には「認識のズレを自ら埋めよう」といった、部門間のスムーズな連携に寄与するものがあり、こういったバリューの浸透が全社的な協業の活発さに繋がっていると、個人的にも感じています。
ちなみに、カルチャー面は人材採用においても大事にしていて、面接で過去の実績をお伺いする際、当社のカルチャーとマッチするようなエピソードが聴けると、とても嬉しくなりますね。
リード創出イベントでは、顧客の状況に応じた
3種類のセミナーを自社開催
―門脇様、桑野様が所属されているイベントユニットでは、現在どのようなマーケティング施策を行っていますか?
イベントユニットが実施しているマーケティング施策は、大きく分けて3つあります。
一つは、自社主催セミナーです。
コロナ禍ということもあり、今はオンラインで開催しており、集客数が急速に伸びているセグメントとなります。
講演テーマは「啓蒙系」「事例系」「機能紹介系」と大きく分けて3種類あります。
まず啓蒙系のセミナーでは、今社会で話題になっている働き方改革や労働環境の改善方法、法改正などに焦点を当てて、人事や労務に携わる方々に役立てて頂けそうな情報を提供しています。
次の事例系のセミナーでは、実際にSmartHRを導入されているお客様のケースを元に、導入以前に抱えられていた課題や、導入のきっかけ、決め手、導入後に得られたメリットや上申のコツなど、人事労務ソフト導入そのものに関心のあるお客様を対象にした内容をお話しています。
最後の機能紹介系セミナーでは、ソリューション紹介を中心に、具体的な機能や便利な使い方の説明など、SmartHRの導入検討段階にあるお客様に向けて、検討材料となるような情報をお話しています。
自社主催セミナーの集客は主に、ハウスリストへのメルマガ配信や、メディア広告、SNS広告などを使っています。
ターゲットメディアさんにご協力を頂いているのもこの集客部分で、ビジネスメディアのご紹介や、広告企画などをお手伝い頂いています。
最近、紙のDMを使った集客も始めました。まだ始めたばかりなので効果検証はこれからですが、一部の施策で続々とレスポンスが来ているので期待できそうです。
2つ目は、メディアが主催するカンファレンスです。
総合ビジネスメディアが主催するものや、業界特化型メディアが主催するイベントでの講演が主なものとなります。こちらもコロナ禍でオフライン開催がなくなり、オンラインカンファレンス中心となっています。
最後は、オフライン展示会へのブース出展です。
代表的なものでは、リードエキシビジョンジャパン様が主催するHR EXPOに出展しています。
―この中で最も力を入れられている施策はどちらですか?
自社主催セミナーですね。
自社主催セミナーは、テーマ・お話する内容・開催時期や登壇者を自由に設定できる点が魅力です。
さらにコロナ禍で始めたオンラインセミナーの場合は、主催地に限らず全国の企業様がどこからでも参加して頂けるのが良いですね。
メディア主催のカンファレンスは、これまで弊社が接点のない企業様と繋がることができたり、メディアならではの集客を行っていただける点は嬉しいのですが、カンファレンスのテーマによっては、SmartHRが扱う領域についての説明を、視聴者様が期待していないケースもあります。
そのため、メディア主催カンファレンスで接点を持ったお客様には、自社主催セミナーをご案内して、カンファレンスではお伝えできなかった内容を改めてお伝えしていくという方法をとっています。
自律駆動の精神を胸に、全社員で事業を成長へと導く
―マーケティングのPDCAを回す上で大切にしていること・意識していることを教えてください。
自身が当事者意識を持って、高い実行力と改善力を体現することに加えて、他のメンバーが主体的に動ける環境を作り、組織に良い影響を与えることを大事にしています。
例えば、先程お話した自社バリューの一つに「自律駆動」というものがあります。
自律駆動とは…
“SmartHRは「100の問題を100人で1問ずつ解く組織」を目指す。
そのために、情報をオープンにし、フラットな状態をキープすることを約束する。
ひとりひとりが指示を待つのではなく、みずから解くべき問題を見つけ出そう。
そして、自分で判断し、主体的に行動を起こしていこう。”
(同社の企業HPより)
これは、マーケティンググループに限らず全社において推奨され、社員一人一人が常に意識していることです。
他にはマーケティンググループが行った施策の内容やそこで得た知見、会議の議事録などの情報を情報共有ツールで記録に残しており、社内の誰でも必要な時に必要なだけ閲覧できる仕組み作りを進めています。
また、個人の業務活動や成功体験、失敗談なども積極的に発信していくことで、それが自分以外のメンバーの糧になっていく、さらにはSmartHR事業の成長にも繋がっていくと考えています。
―今後注力していきたいと考えているマーケティング施策についてお聞かせください。
やはり自社主催セミナーですね。
コロナ禍では引き続きオンラインセミナーが中心となりますが、今後状況が回復したらオフラインイベントにも力を入れていきたいと考えています。
またオフラインイベントを実施する際にも、遠方のお客様が参加しやすいオンラインの利点を活かし、オンライン・オフラインのハイブリット型などの新しいイベントの形を模索して、幅広いお客様にご参加頂ける仕組みを作りたいと思っています。
―最後に、今後ターゲットメディアに期待していることがあればお聞かせ下さい。
ターゲットメディアさんには、自社主催セミナーの集客の部分でお世話になっています。
特に、これまで自社で行っていた広告媒体の開拓や選定、各広告媒体の特性に合わせた広告原稿の作成といった業務を、ターゲットメディアさんが一手に請け負ってくださっているので、ユニットの業務効率がぐっと上がりました。
さらに広告効果検証においても、定量的な内容だけでなく、ターゲットメディアさんの知見を元にした、定性的な視点も組み合わせたレポートとしてまとめてくださるので勉強になっています。
今後は新しいメディアのご紹介、特に業種や地方などをセグメントしてアプローチしていくご提案などを期待しています!
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