カテゴリーマーケティング事例で学ぶ|高LTV顧客を狙う営業・マーケ戦略
①参入プレイヤーの増加による競争激化
②リード獲得単価(CPA)が高騰
③「顧客数」を追い続ける ビジネスの限界
こうした中、“顧客数を追うマーケティング”から“儲かる顧客を獲得するマーケティング”にシフトしていくBtoB企業が増えています。
そこで注目されているのが、カテゴリーマーケティングです。カテゴリーマーケティングとは、単に業種や企業規模で顧客を分類するのではなく、自社が最も価値を発揮でき、事業成長にも貢献しやすい顧客カテゴリーを定めてアプローチする考え方です。
本記事では、BtoB企業におけるカテゴリーマーケティングの事例を紹介しながら、成果につながるカテゴリー設計の考え方を解説します。単にターゲットを絞る方法ではなく、「高LTV顧客を獲得する営業・マーケティング戦略」として、どのように設計・実践すればよいのかを具体的な事例とともにご紹介します。
1.BtoBマーケティングが営業成果につながらない構造的な問題
BtoBマーケティングでは、「リード数を増やすこと」が成果指標になりがちです。しかし近年では、リードを増やしても売上や利益につながらない企業が増えています。
その背景には、単なる施策内容の問題ではなく、市場環境そのものが変化しているという構造的な問題があります。
① 参入企業の増加により、差別化が難しくなっている
多くの市場で新規参入企業が増え、以前よりも比較・検討されることが当たり前になりました。
さらに、SEO、広告、ウェビナー、ホワイトペーパーなど、BtoB企業が取り組むマーケティング施策も似通ってきています。
その結果、「どの会社も同じように見える」という状態が生まれ、リードを獲得できても価格競争や相見積もりに巻き込まれやすくなっています。
② リード獲得コストは上がる一方で、商談・受注率は改善しにくい
広告費の高騰や検索順位の競争激化により、1件のリードを獲得するためのコスト(CPA)は年々上昇しています。
しかし、獲得したリードのすべてが受注につながるわけではありません。
マーケティング部門はリード数を増やしても、営業部門では
・商談化しない
・受注率が低い
・受注後の継続率が低い
といった課題が残り、営業成果につながりにくいケースが増えています。
③ 「顧客数を増やす」こと自体が成果につながらなくなっている
従来は、「より多くの企業へアプローチし、多くのリードを集めること」がマーケティングの基本でした。
しかし現在は、
・利益率の低い案件
・サポート工数が大きい案件
・解約しやすい顧客
まで増えてしまい、「受注したのに利益が残らない」というケースも少なくありません。
つまり重要なのは、顧客数を増やすことではなく、
自社にとって価値の高い顧客を増やすことです。営業・マーケティングの限られたリソースをどこへ投下するかが、以前にも増して重要になっています。
だから今、「カテゴリーマーケティング」が注目されている
こうした環境の中で注目されているのが、カテゴリーマーケティングです。
カテゴリーマーケティングとは、単に業種や企業規模で顧客を分類するのではなく、
自社が最も価値を発揮できる企業
受注率・利益率・LTVが高くなりやすい企業
継続的な取引につながりやすい企業
といった「勝てる顧客カテゴリー」を定め、そのカテゴリーへ営業・マーケティング活動を集中させる考え方です。
リード数を追うのではなく、営業成果につながる顧客との接点を増やすことを目的とした戦略といえます。
2. カテゴリーマーケティングとは?「広く集める」から「儲かる顧客に集中」する考え方
カテゴリーマーケティングとは、自社にとって受注しやすく、利益率や継続率が高く、事業成長に貢献しやすい顧客群を見極め、そのカテゴリーに営業・マーケティング活動を集中させる戦略です。
BtoBマーケティングでは、リード獲得数や問い合わせ数を増やすことが重視されがちです。しかし、リード数が増えても、商談化しない、受注しない、受注後に解約する、利益率が低いといった状態では、営業・マーケティング全体の生産性は高まりません。
たとえば、同じ業種・同じ企業規模の企業であっても、発注理由や課題の深さ、導入後の活用度、期待する支援内容は異なります。つまり、「どの業界か」「何名規模か」だけでは、本当に狙うべき顧客を見極めるには不十分です。
カテゴリーマーケティングでは、以下のような観点から顧客を捉え直します。
・どのような課題を抱えている企業か
・どのようなタイミングで検討を始める企業か
・自社の強みが最も評価される企業はどこか
・受注後に成果が出やすい企業はどこか
・LTVや利益率が高くなりやすい企業はどこか
このように、自社が勝ちやすく、かつ顧客に価値を提供しやすいカテゴリーを定めることで、マーケティング施策、コンテンツ、広告、営業トーク、フォロー体制を一貫して設計できるようになります。
カテゴリーマーケティングは、単なる「ターゲットの絞り込み」ではありません。営業・マーケティング資源を、成果につながりやすい顧客に集中させるための戦略です。
3. カテゴリーマーケティングの設計事例
ここでは、BtoB企業におけるカテゴリーマーケティングの設計事例を紹介します。
3社に共通しているのは、業種や企業規模だけでターゲットを決めるのではなく、「どの顧客が最も成果につながるか」という視点でカテゴリーを設計している点です。
事例1:オフィスデザイン会社|「勝てる業種」に集中しコンペ勝率が向上
同社は、Webサイト経由の問い合わせが伸びず、新規営業も経営者に依存していました。競合の増加によりコンペ勝率も低下し、売上が伸び悩んでいました。
そこで過去の受注実績や顧客へのヒアリングを分析した結果、「100坪未満の士業・IT企業・広告代理店・外資系企業」は収益性が高く、自社の強みを発揮しやすいことが判明しました。
さらに、カテゴリーごとに必要なサポート内容を整理し、専用LPや事例コンテンツ、SEO、広告施策を展開した結果、コンペ勝率は21%から65%へ向上。毎月安定した問い合わせ獲得にもつながりました。
■ポイント
「オフィス移転を検討する企業」ではなく、「自社が勝ちやすく利益も出やすい企業」に集中したことが成果につながりました。
事例2:SFA・CRM SaaS企業|継続率の高い業界へ転換
同社は低価格を武器に幅広い企業へ販売していましたが、解約率の高さが課題でした。
顧客データを分析すると、人材業界は継続率が高く、自社にも豊富な支援ノウハウがあることが判明。そこで「人材業界向けSFA・CRM」としてポジショニングを変更しました。
業界特化のホワイトペーパーやウェビナー、事例コンテンツなどを展開した結果、商談化率は5%から20%、受注率は20%から35%へ改善しました。
■ポイント
「導入してくれる企業」ではなく、「成果が出て継続利用してくれる企業」をカテゴリーとして選定した好例です。
事例3:SIer企業|「組織変化」をカテゴリーに設定
同社は、IT資産管理システムの差別化が難しく、顧客も課題を自覚していないため、リード獲得に苦戦していました。
そこで業種ではなく、「拠点統合」「急成長」「積極採用」など、IT資産管理の負荷が高まりやすい組織変化に着目しました。
組織変化をテーマにしたコンテンツ制作やターゲット企業への広告・営業活動を実施した結果、潜在層からの資料請求は月平均10件まで増加しました。
■ポイント
業界ではなく、「課題が生まれるタイミング」をカテゴリーとして設計したことが成功要因です。
4. カテゴリーマーケティングを成功させる3つのポイント
これら3つの事例に共通するのは、業種や企業規模だけでターゲットを決めていないことです。
・自社が勝ちやすい企業はどこか
・継続・利益につながる企業はどこか
・どのタイミングで課題が生まれるのか
という視点からカテゴリーを設計し、そのカテゴリーに合わせてコンテンツや営業活動を最適化したことで成果につながっています。
そして単にターゲットを絞ったのではなく、「誰を狙うか」「何を伝えるか」「どう届けるか」を一貫して設計していることです。
成功ポイント1:属性ではなく「勝てる顧客」を分析する
カテゴリーマーケティングでは、業種や企業規模だけでターゲットを決めるのではなく、「なぜ発注するのか」「なぜ継続するのか」まで分析することが重要です。
例えば今回の事例では、
・オフィスデザイン会社は「収益性の高い業種×必要なサポート」
・SaaS企業は「継続率が高い業界」
・SIer企業は「課題が生まれるタイミング」
というように、それぞれ異なる切り口でカテゴリーを設計しています。
自社でも受注率、利益率、LTV、継続率などを分析し、本当に成果につながる顧客像を明確にすることが第一歩です。
成功ポイント2:カテゴリーごとに訴求を変える
カテゴリーを決めても、すべての企業へ同じメッセージを届けていては成果につながりません。
顧客が抱える課題や導入目的に合わせて、
・専用LP
・導入事例
・ホワイトペーパー
・営業資料
などのコンテンツを最適化することで、「自社向けの提案だ」と感じてもらいやすくなります。
成功ポイント3:営業・マーケティングを一体で設計する
カテゴリー設計は、マーケティングだけで完結するものではありません。
SEOや広告で接点を作るだけでなく、営業がどのように提案し、どのようなコンテンツでフォローするかまで設計して初めて成果につながります。
マーケティングと営業が同じカテゴリーを共有し、一貫したアプローチを行うことが重要です。
成功のポイントは「集中すること」
カテゴリーマーケティングで成果を出している企業は、幅広い企業へ同じアプローチをするのではなく、自社が最も価値を発揮できるカテゴリーへ営業・マーケティング資源を集中させています。
重要なのは、「リード数を増やすこと」ではなく、「商談化・受注・LTVにつながる顧客を増やすこと」です。
5. カテゴリーマーケティングに関するよくある質問
Q1. カテゴリーマーケティングとセグメントマーケティングの違いは?
セグメントマーケティングは、市場や顧客を一定の条件で分類し、それぞれに合ったアプローチを行う考え方です。業種、企業規模、地域、役職、課題などで分けることが一般的です。
一方、カテゴリーマーケティングは、単に市場を分類するだけでなく、自社が勝ちやすく、LTVや収益性が高くなりやすい顧客カテゴリーを定め、営業・マーケティング資源を集中させる考え方です。
つまり、セグメントマーケティングが「市場を分ける」考え方だとすれば、カテゴリーマーケティングは「勝てる顧客群を見極め、そこに集中する」戦略だといえます。
Q2. カテゴリーマーケティングとABMの違いは?
ABMは、特定の企業アカウントをターゲットとして定め、その企業に対して個別最適化したアプローチを行うマーケティング手法です。
一方、カテゴリーマーケティングは、特定企業単位ではなく、自社にとって有望な顧客カテゴリーを設計する考え方です。
たとえば、「急成長して拠点数が増えている企業」「人材業界でSFA活用に課題がある企業」「100坪未満で移転を検討している士業」といったカテゴリーを定め、その中から具体的なターゲット企業を抽出してABM施策につなげることもできます。
カテゴリーマーケティングは、ABMの前段階として「どのような企業を狙うべきか」を明確にする役割を持つともいえます。
こちらの記事で詳しく解説しています。是非ご覧になってください。
▼関連記事:ABMとカテゴリーマーケティングの違い──「誰でも」ではなく「儲かる顧客」に集中するBtoBマーケティング
Q3. カテゴリーマーケティングの事例を見るときのポイントは?
カテゴリーマーケティングの事例を見る際は、単に「どの業界を狙ったか」だけでなく、以下の点を見ることが重要です。
・なぜそのカテゴリーを選んだのか
・どのようなデータや実績をもとに判断したのか
・自社の強みと顧客ニーズがどのように一致しているのか
・どのようなコンテンツや施策に落とし込んだのか
・成果指標として何が改善したのか
特に、商談化率、受注率、継続率、LTV、利益率といった指標がどのように変化したかを見ると、自社で取り組む際の参考になります。
貴社の状況にあったユースケースのご提示もできますのでお気軽にお問い合わせください。
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Q4. カテゴリーマーケティングはどのような企業に向いている?
カテゴリーマーケティングは、以下のような課題を持つBtoB企業に向いています。
・リード数はあるが商談化率が低い
・営業が追うべき企業が定まっていない
・受注しても利益や継続につながりにくい
・商材の機能訴求だけでは差別化しづらい
・高LTV顧客に営業・マーケティング資源を集中したい
・ABMを始めたいが、ターゲット企業の選定に悩んでいる
特に、営業・マーケティング活動が広く浅くなっている企業や、受注後のLTVにばらつきがある企業では、カテゴリーマーケティングによって成果改善の余地があります。
5. まとめ|カテゴリーマーケティングは「広く売る」から「勝てる顧客に集中する」ための戦略
カテゴリーマーケティングは、営業・マーケティング活動を「より多くの企業にアプローチする」という発想から、「自社が最も価値を発揮できる顧客に集中する」という発想へ転換する戦略です。
今回ご紹介した事例でも、成果につながった企業は単に業種や企業規模でターゲットを絞ったのではなく、自社が勝ちやすい顧客や継続・収益につながる顧客カテゴリーを明確にし、そのカテゴリーに合わせてコンテンツや営業活動を最適化していました。
カテゴリーマーケティングを成功させるためには、次の3つが重要です。
・自社が勝てる顧客カテゴリーをデータに基づいて設計する
・カテゴリーごとに最適な訴求・コンテンツを用意する
・マーケティングと営業が連携し、一貫したアプローチを行う
こうした設計ができれば、リード数を増やすことだけに依存せず、商談・受注・LTVにつながる営業・マーケティングへと転換できます。
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本コラムの作成・編集者
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