新規開拓のKPIは何を見る?
商談・リード・受注から逆算する目標設定の方法
これらはいずれも施策の状況を把握し、改善するために必要な数字です。ただし、個々の指標の増減だけを追っていると、「KPIは達成しているのに、商談や受注が増えない」という状態になることがあります。
たとえば、Webサイトから月50件のリードを獲得できても、その多くが営業対象外の企業であれば、新規受注にはつながりにくくなります。
新規開拓の最終的な目的は、架電数やアクセス数、リード数を増やすことではなく、新しい顧客との商談をつくり、受注・売上につなげることです。
そのため、KPIは手前の施策指標から積み上げるのではなく、売上目標 → 受注数 → 案件数 → 商談数 → ターゲットリード数 → リード数の順に、最終成果から逆算して設定します。
本記事では、新規開拓で追うべきKPI、売上目標から必要な商談・リード数を逆算する方法、さらにKPIが未達だったときの改善箇所の見つけ方まで、具体例を使って解説します。
新規開拓ではKGIとKPIを分けて考える
新規開拓の目標を設定する際は、まずKGIとKPIの役割を分けて考えます。
| 指標 | 役割 | 新規開拓での例 |
|---|---|---|
| KGI | 最終的に達成したい成果 | 新規売上、新規受注数 |
| KPI | KGI達成までの途中経過を確認する数字 | ターゲットリード数、商談数、案件数など |
たとえば、KGIを「年間新規売上3,000万円」と設定した場合、その達成に必要な受注数、案件数、商談数などをKPIとして設定します。
取得できる数字を、すべて主要KPIとして管理する必要はありません。
Webサイトのアクセス数、広告表示回数、クリック数、資料ダウンロード数、架電数、接続数、アポイント数など、新規開拓ではさまざまな数字を取得できます。しかし、すべてを同じ重要度で管理すると、何を優先して改善すべきなのか分かりにくくなります。
まずは「受注までのどこに課題があるかを判断できる数字」を主要KPIとして設定し、アクセス数やクリック数、架電数などは、各工程の原因を深掘りするための補助指標として使います。
新規開拓のKPIは「売上・受注」から逆算して決める
KPIを設定するときは、「何件架電するか」「何件リードを獲得するか」から考え始めるのではなく、最終的な売上目標から逆算します。
たとえば営業部門の目標が「年間新規売上3,000万円」であれば、まず「新規売上3,000万円を達成するには何件の受注が必要なのか」を考えます。
このように逆算すると、「今月何件リードを獲得するか」だけでなく、その数字が最終的な売上目標とどのようにつながっているのかが明確になります。KPIごとの必要数と転換率をセットで持つことで、未達時の原因も切り分けやすくなります。
KPIはマーケティング部門だけで決めない
デジタルセールスやマーケティング施策のKPIは、マーケティング部門だけで完結させず、営業部門と共通の売上・受注目標から設計します。マーケティングが「月間リード数」を達成していても、そのリードが営業対象にならなかったり、商談・案件へ進まなかったりすれば、新規開拓全体の成果にはつながりません。
少なくとも、①新規売上・受注目標、②平均受注単価と各工程の転換率、③ターゲット企業の条件、④商談・案件の定義、⑤マーケティングから営業へ引き渡す条件は、営業・マーケティングで共有しておきます。前提をそろえたうえで、売上 → 受注 → 案件 → 商談 → ターゲットリード → リードの順に必要数を逆算すると、両部門が同じ目標に向けてKPIを管理しやすくなります。
計算例|年間新規売上3,000万円を目指す場合
ここからは、実際に数字を当てはめてKPIを逆算してみます。以下は計算方法を説明するためのモデルケースです。
STEP1.売上目標から必要受注数を計算する
年間新規売上目標を3,000万円、平均受注単価を500万円とします。
3,000万円 ÷ 500万円 = 6件
年間6件の新規受注が必要です。
STEP2.受注数から必要案件数を計算する
提案・見積もりなど具体的な案件へ進んだ後の受注率を50%と仮定します。
6件 ÷ 50% = 12件
年間12件の案件が必要です。
STEP3.案件数から必要商談数を計算する
商談から案件へ進む案件化率を50%と仮定します。
12件 ÷ 50% = 24件
年間24件の商談が必要です。
STEP4.商談数から必要ターゲットリード数を計算する
ターゲットリードから商談へ進む商談化率を20%と仮定します。
24件 ÷ 20% = 120件
年間120件のターゲットリードが必要です。
STEP5.ターゲットリード数から必要リード数を計算する
獲得したリードのうち、自社の営業対象となるターゲットリードの割合(ターゲットリード率)を50%と仮定します。
120件 ÷ 50% = 240件
年間240件のリードが必要です。
※ここでいうリードは、問い合わせ、資料ダウンロード、展示会での名刺獲得など、企業・担当者情報を取得し、その後の営業・マーケティング活動につなげられる見込み客を指します。
図1はKPI設計の全体像、表1はその考え方に具体的な数値を当てはめた計算例です。
表1|年間新規売上3,000万円を目指す場合のKPI逆算例
| 指標 | 計算 | 年間目標 |
|---|---|---|
| 新規売上 | ― | 3,000万円 |
| 受注数 | 3,000万円 ÷ 500万円 | 6件 |
| 案件数 | 6件 ÷ 50% | 12件 |
| 商談数 | 12件 ÷ 50% | 24件 |
| ターゲットリード数 | 24件 ÷ 20% | 120件 |
| リード数 | 120件 ÷ 50% | 240件 |
ターゲットリードは、年間120件 ÷ 12か月 = 月間10件、リードは年間240件 ÷ 12か月 = 月間20件が一つの目安になります。ただし、BtoBでは商談や受注の発生時期にばらつきがあるため、すべてのKPIを月単位だけで評価する必要はありません。
リードや商談は月次、案件・受注は四半期や年間でも確認するなど、指標の発生頻度に合わせて管理期間を変えると、実態を捉えやすくなります。
なお、ここで使用した平均受注単価500万円、受注率50%、案件化率50%、商談化率20%、ターゲットリード率50%はすべて説明用の数値です。実際のKPI設定では、自社の過去実績を使用してください。
新規開拓で最初に追う主要KPIは5つに絞る
売上から必要な数字を逆算したら、次は日々の新規開拓で継続的に確認するKPIを決めます。最初から多くの数字を管理するのではなく、まずは次の5つを確認すると、受注までのどこに課題があるのかを把握しやすくなります。
| KPI | 確認すること |
|---|---|
| ①リード数 | 問い合わせ・資料DLなどから何件のリードを獲得できたか |
| ②ターゲットリード数 | 営業対象となる企業から何件リードを獲得できたか |
| ③商談数 | ターゲットリードから何件商談につながったか |
| ④案件数 | 商談から具体的な検討・提案へ何件進んだか |
| ⑤受注数 | 最終的に何件の新規受注につながったか |
重要なのは、それぞれの件数を単独で見るのではなく、「前工程から次の工程へどの程度進んだか」という転換率までセットで確認することです。件数と転換率の両方を見ることで、「量が足りないのか」「次工程へ進む率が低いのか」を切り分けやすくなります。
たとえば、ターゲットリードは十分なのに商談が少ないのであれば、リードを増やす前に営業フォローや商談化率を確認します。一方、商談は十分なのに案件が少ないのであれば、商談相手や提案内容がターゲットの課題と合っているかを確認します。
KPIは件数の達成状況を見るためだけの数字ではなく、「次にどこを改善するか」を判断するための数字です。
BtoBでは「リード数」と「ターゲットリード率」をセットで見る
新規開拓で特に注意したいのが、リードの「量」だけで成果を判断しないことです。本記事では、獲得したリードのうち自社の営業対象となるリードの割合を「ターゲットリード率」と呼びます。たとえば、次の2つの施策があったとします。
| 施策A | 施策B | |
|---|---|---|
| 総リード数 | 100件 | 30件 |
| ターゲットリード数 | 10件 | 15件 |
| ターゲットリード率 | 10%/td> | 50% |
総リード数だけを見ると、100件を獲得した施策Aの方が成果が高いように見えます。しかし、営業が実際にアプローチしたい企業は、施策Aが10件、施策Bが15件です。つまり、総リード数が少ない施策Bの方が、営業対象となる企業を多く獲得できています。
BtoBの新規開拓では「何件リードを獲得したか」だけでなく、「営業したい企業を何件獲得できたか」を見ることが重要です。
ターゲットリード率 = ターゲットリード数 ÷ 総リード数 × 100
「ターゲット」に含める条件は、自社の営業方針に合わせて決めます。
・業種
・売上規模
・従業員規模
・部署
・役職
・抱えている課題
広告運用でも、単純なコンバージョン数だけではなく、「ターゲットリード数」「ターゲットリード率」まで定点観測すると、獲得したリードの質を評価しやすくなります。この考え方は広告に限らず、SEO・コンテンツ、展示会、テレアポなどにも共通します。
KPIはチャネルごとに確認し、受注までつなげて見る
新規開拓では、Web広告、SEO・コンテンツ、展示会、テレアポなど、チャネルごとに成果の出方や改善ポイントが異なります。そのため、各チャネルに合ったKPIを設定し、個別に改善していくことが必要です。
一方で、チャネル内のKPIだけでは、その施策が最終的な商談・案件・受注へどの程度貢献したのかは分かりません。「チャネルを改善するためのKPI」と「受注までの共通KPI」の2階層で確認することが重要です。
表2|チャネルごとに見るKPIと、受注まで共通して見るKPI
| チャネル | チャネル内で改善するために見るKPI | 受注まで共通して見るKPI |
|---|---|---|
| Web広告 | 表示数・クリック率・CV率・CPAなど | リード・ターゲットリード・商談・案件・受注 |
| SEO・コンテンツ | 流入数・検索順位・CV数・CV率など | リード・ターゲットリード・商談・案件・受注 |
| 展示会 | 来場者数・名刺獲得数・フォロー率など | リード・ターゲットリード・商談・案件・受注 |
| テレアポ | 架電数・接続率・アポ率など | 商談・案件・受注 |
たとえばWeb広告では、表示数・クリック率・CV率を見なければ広告自体の改善はできません。そのうえで、獲得したリードのうち何件がターゲット企業で、何件が商談・案件・受注へ進んだかまで確認します。チャネル固有のKPIと、受注までの共通KPIの両方を見ることで、「施策のどこを直すべきか」と「新規開拓全体に貢献しているか」を切り分けて判断できます。
つまり、チャネルごとのKPIを軽視するのではなく、各施策を改善するために細かく確認しながら、その成果をリード・商談・案件・受注へつなげて評価することがポイントです。
ターゲットメディアが支援で重視する|KPI設計で避けたい3つの状態
ターゲットメディアでは、KPIを「管理する数字」ではなく、売上・受注につながる新規開拓の仕組みを改善するための判断材料として捉えています。特に、KPI設計では次の3つの状態を避けることを重視します。
①リード数の目標が売上・受注目標とつながっていない
「月間50件のリードを獲得する」といった目標だけが独立していると、KPIを達成しても売上・受注への貢献を説明できません。売上・受注目標から必要な商談数、ターゲットリード数、リード数まで逆算し、平均受注単価や転換率などの前提も営業部門と共有します。
②チャネルごとの成果だけで評価している
広告のCV数、SEOの流入数、展示会の名刺獲得数など、チャネル固有の指標は施策改善に欠かせません。一方、それだけで施策を評価すると、どのチャネルが商談・案件・受注に貢献したのかが見えにくくなります。チャネル内のKPIと、リード・商談・案件・受注までの共通KPIを分けて持ち、両方を確認します。
③リードの数だけを見て営業対象かどうかを見ていない
総リード数が増えても、自社のターゲット条件から外れる企業が多ければ、営業がアプローチできる対象は増えません。リード数とあわせて、ターゲットリード数・ターゲットリード率を確認し、その後に商談・案件・受注へ進んだかまで追います。
3つに共通するのは、部門や施策ごとの数字を単独で最適化するのではなく、売上・受注まで一本につながったKPIとして管理することです。

KPIが未達なら「どの工程から計画との差が出たか」を確認する
KPIを設定する目的は、達成・未達を評価することだけではありません。数字からボトルネックを見つけ、次の改善につなげることが重要です。
たとえば、年間24件の商談が必要なのに実績が12件だった場合、すぐに「商談化率を改善しよう」と判断するのではなく、リード数、ターゲットリード数、商談数の順に、各工程の目標・実績と転換率を比較します。
後工程の数字は、上流工程の不足によって連鎖的に未達になることがあります。そのため、「受注が足りないから受注率を上げる」と考えるのではなく、目標との差が最初に生まれた工程を見つけ、そこから改善することが重要です。
KPIは一度決めたら固定するのではなく、実績をもとに更新する
初めて新規開拓やデジタルセールスに取り組む場合、受注率や商談化率などの実績データが十分にないこともあります。その場合は、最初から精緻なKPIを設定する必要はありません。まず仮説として目標値を置き、実績をもとに更新します。
たとえば、当初は商談化率20%を想定していたものの、実績が10%だった場合、「KPI未達」で終わらせるのではなく、商談化率を改善するのか、ターゲット条件を見直すのか、必要なターゲットリード数を再計算するのかを検討し、次の計画へ反映します。
KPIは守るための数字ではなく、成果を改善するための判断材料です。
最初から完璧な計画をつくることに時間をかけすぎず、まず仮説を置いて小さく始め、実績をもとに計画そのものを育てていくことが重要です。
新規開拓のKPIに関するよくある質問
Q1.新規開拓ではKPIを何個くらい設定すればよいですか?
最初から多くのKPIを設定する必要はありません。
まずは、リード数・ターゲットリード数・商談数・案件数・受注数の5つを主要KPIとして確認すると、新規開拓全体のどこに課題があるのかを把握しやすくなります。広告のクリック数やテレアポの接続数などは、必要に応じて各チャネルを改善するための補助指標として追加します。
Q2.過去データがなく、受注率や商談化率が分からない場合はどうすればよいですか?
最初から正確な数字を設定する必要はありません。
まず営業目標から必要な商談数やリード数を仮置きし、実際の活動で得られた数字をもとに更新します。特に初めて新規開拓の仕組みをつくる場合は、自社の受注率や商談化率などの基準値をつくること自体が、最初の重要な取り組みになります。
Q3.KPIは月次と年間のどちらで管理すべきですか?
KPIの発生頻度に合わせて、月次・四半期・年間を使い分けます。
リードや商談のように比較的短い期間で発生する指標は月次で確認しやすい一方、受注件数が年間数件程度の商材では、単月だけで評価すると実態を捉えにくくなります。月次の変化を見ながら、四半期・年間の目標に対する進捗も合わせて確認します。
Q4.アクセス数や架電数はKPIにしなくてもよいですか?
アクセス数や架電数も、施策を改善するためには必要な数字です。
ただし、アクセスや架電を増やすこと自体を新規開拓のゴールにはしません。その活動が、ターゲットリード・商談・案件・受注へどのようにつながったのかまで確認することが重要です。
まとめ|KPIは受注から逆算して「必要な数字」を決める
新規開拓のKPIを設定するときは、架電数やアクセス数、リード数から考え始めるのではなく、最終的な売上・受注目標から逆算します。
売上目標 → 受注数 → 案件数 → 商談数 → ターゲットリード数 → リード数
そのうえで日々の新規開拓では、リード → ターゲットリード → 商談 → 案件 → 受注を継続的に確認し、件数と転換率のどちらで目標との差が生まれているかを見ます。
特にBtoBでは、単純なリード数だけでなく、「営業したい企業を何件獲得できたか」というターゲットリードの質まで見ることが重要です。
また、KPIはマーケティング部門内だけで決めず、営業部門とターゲット条件や商談・案件の定義、転換率の前提を共有し、同じ売上・受注目標から管理します。
KPIが未達の場合も、活動量を一律に増やすのではなく、目標と実績の差が最初に生まれた工程を特定し、その工程から改善します。
計画する → 小さく始める → データを見る → 計画を修正する。
このサイクルを繰り返しながら、自社の実績に合ったKPIへ更新していくことが、新規開拓を継続的に改善するためのポイントです。
まずは「デジタルセールス スタートアップガイド3点セット」で進め方を具体化
「必要な商談数・リード数をどのように計画へ落とし込めばよいか分からない」「デジタルセールスに取り組んだ場合、どの程度の成果を見込めるのか知りたい」という方に向けて、以下の3点セットをご用意しています。
・インバウンドで見込み客を獲得するデジタルセールスチームの作り方
・デジタルセールス計画書の作り方
・230案件以上の支援実績をもとにしたデジタルセールス導入効果の目安
新規開拓のKPIを「決める」だけでなく、実際の計画・施策へ落とし込みたい方はぜひご活用ください。
本コラムの作成・編集者
ターゲットメディア株式会社 BtoBマーケティング研究チーム
私たちは、「日本のBtoBマーケティングをアップデートする」をミッションに活動する専門家チームです。
BtoB領域に特化して、17年以上・支援社数200社以上のマーケティング支援を手掛け、そこで蓄積された成功事例や実践的なノウハウを、現場で奮闘するマーケターの皆様にお届けしています。
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