PHPの重大な脆弱性が公表されたとき、WordPressサイトの担当者がやるべきこと

更新日 : 2026年11月06日
WordPressサイト制作・運用

PHP本体に重大な脆弱性が見つかったというニュースを見たとき、「自社のWordPressサイトは大丈夫なのか」「何から確認すればいいのか」と迷う担当者は少なくありません。PHPの脆弱性は、WordPressの管理画面に通知が来るわけではなく、WordPressを更新しても直らないため、普段のサイト管理とは対応の仕方が違います。

この記事では、PHPの重大な脆弱性が公表されたときに、WordPressサイトの担当者が確認すべきことと対応の流れを、順を追って解説します。

【横長】WP-Chorus

PHPの脆弱性が公表されたときに知っておきたいこと

PHPはWordPressを動かしている土台のプログラムです。PHP本体の脆弱性は、WordPress本体やプラグイン、テーマを更新しても解消されません。対応するには、サーバー上のPHPそのものを修正版に更新する必要があります。サイト側とサーバー側の脆弱性の違いは「WordPressを更新していても防げない『サーバー側』の脆弱性とは」で解説しています。

WordPressの更新では直らない

公表から攻撃までの時間が短いことがある

重大な脆弱性は、公表と同時に多くの攻撃者が注目します。修正版の公開から間を置かずに攻撃が始まることもあるため、「様子を見る」時間は長くありません。

【事例】2026 年 10 月の PHP 本体の脆弱性(通称「PHP2Shell」)

2026 年 10 月 21 日、PHP 本体の重大な脆弱性(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619)が公表され、修正版(8.2.35、8.3.36、8.4.27、8.5.12)が公開されました。認証なしで外部からサーバー上のプログラムを実行されるおそれがあり、PHP を Web で動かす構成のほぼすべてが対象とされました。セキュリティ企業からは、公表と同じ日に悪用が観測されたと報告されています。

この件では、多くのレンタルサーバー事業者が利用者に代わって修正版を適用した一方、VPS を使っている場合は利用者自身での対応が必要だと案内されました。サーバーの契約形態によって、利用者がやるべきことが大きく違った例です。

※記載内容は 2026 年 11 月時点の情報です。

対応の流れ

PHPの脆弱性が公表されたときは、次の順で確認と対応を進めます。

ステップ

やること

1

自社サイトの PHP を管理しているのは誰かを確認する

2

使っている PHP のバージョンを確認する

3

影響を受けるバージョンかを確認する

4

管理者が事業者なら案内を確認し、自社管理なら修正版を適用する

5

すぐに更新できない場合は、暫定的な対策を検討する

6

適用後の確認と、不審な動きがないかの確認を行う

ステップ1:PHPを管理しているのは誰かを確認する

最初に確認するのは、自社サイトのPHPを更新する担当が誰なのかです。これによって、自分が作業するのか、事業者の対応を確認するのかが決まります。

サーバーの種類

PHP の修正を適用するのは誰か(一般的な例)

共用レンタルサーバー

多くは事業者

マネージドホスティング

多くは事業者

VPS

利用者

AWS などのクラウドで自前構築

利用者


制作会社や保守会社にサーバーの管理を任せている場合は、その会社が窓口になります。契約内容によって範囲は異なるため、詳しくは「
PHPの更新は誰がやる?」で比較しています。

ステップ2:使っているPHPのバージョンを確認する

WordPressの管理画面で、「ツール」→「サイトヘルス」→「情報」タブを開き、「サーバー」の項目を確認します。次の2つを控えておきましょう。

  • PHPバージョン:8.3.36のように、末尾の数字まで確認する
  • PHPのSAPI(動作方式):PHPがどの方式で動いているか(fpm-fcgi、apache2handlerなど)。脆弱性によっては、動作方式でリスクの大きさが変わることがある


サーバーの管理画面や、サーバーにログインしてコマンドで確認する方法もあります。

ステップ3:影響を受けるバージョンかを確認する

PHP開発元の公式発表や、セキュリティ機関の注意喚起で、影響を受けるバージョンと修正版の番号を確認します。

番号だけで判断しない

注意したいのは、表示されているバージョン番号だけでは、修正が適用済みかを判断できない場合があることです。

  • サーバー事業者やLinuxのディストリビューションによっては、バージョン番号を変えずに修正だけを組み込む(バックポート)ことがある
  • そのため、番号が古く見えても修正済みの場合もあれば、その逆の場合もある


番号だけで「未対応だ」「対応済みだ」と決めつけず、ステップ
4で事業者の案内とあわせて確認しましょう。

サポートが終了したバージョンを使っている場合

サポートが終了したバージョン(2026年11月時点では8.1以前)には、公式の修正版が提供されません。この場合は、サポート中のバージョンへの移行を急ぐ必要があります。サポート期限の考え方は「PHPのサポート期限とは?」で解説しています。

ステップ4:修正版を適用する、または事業者の案内を確認する

事業者が管理している場合

サーバー事業者の公式サイトやお知らせで、脆弱性への対応状況を確認します。確認したいのは次の点です。

  • 契約しているサービス、使っているPHPのバージョンが対応済みか
  • 利用者側で必要な作業(PHPのバージョンの切り替えなど)があるか
  • 追加の注意喚起が出ていないか


案内が見つからない場合や、自社の状況に当てはまるか分からない場合は、事業者に問い合わせましょう。

自社で管理している場合

VPSやクラウドで自前で運用している場合は、修正版を自分で適用します。

  • OSのパッケージ管理の仕組み(dnf、aptなど)で、PHPの更新が提供されているかを確認する
  • 更新を適用したら、PHP-FPMやWebサーバーを再起動する(再起動しないと、修正前のPHPが動き続けることがある)
  • 適用後に、バージョンや更新履歴で反映を確認する


自前でのパッチ管理の進め方は「
AWS・VPSでWordPressを運用する担当者のためのサーバーのパッチ管理」で解説しています。

ステップ5:すぐに更新できない場合の暫定的な対策

検証が必要などの理由ですぐに更新できない場合は、PHP開発元やセキュリティ機関が案内する暫定的な対策(特定の機能を無効にする設定など)を検討します。

ただし、暫定的な対策は攻撃の経路の一部をふさぐものにすぎず、根本的な解決にはなりません。暫定策を適用した場合も、できるだけ早く修正版に更新しましょう。

【事例】PHP2Shell での暫定策

PHP2Shell では、セッションのアップロード進捗の機能を無効にする設定(session.upload_progress.enabled=0)が暫定策として案内されました。一方で、この設定では防げない攻撃経路もあるとされ、セキュリティ機関も「根本的な解決は更新のみ」としていました。

※記載内容は 2026 年 11 月時点の情報です。

ステップ6:適用後の確認と、不審な動きの確認

動作確認

PHPを更新した後は、サイトの表示、お問い合わせフォーム、管理画面へのログインなど、主要な機能が問題なく動くかを確認します。

不審な動きがないかの確認

修正版の適用前に攻撃を受けていた可能性もあります。次のような兆候がないか、確認しておきましょう。

  • 見覚えのないファイルやユーザーが追加されていないか
  • サイトが外部のサイトへ勝手に転送されていないか
  • サーバーの負荷が急に上がっていないか


不審な動きがあった場合は、乗っ取りを疑って対応します。具体的な手順は「
WordPressが乗っ取られたときの対処法」で解説しています。

平時に備えておきたいこと

連絡と判断の流れを決めておく

脆弱性の情報を誰が受け取り、誰が影響を判断し、誰が作業するのかを決めておきましょう。制作会社や保守会社に任せている場合は、脆弱性が公表されたときに連絡をもらえるかも確認しておきます。

情報源を決めておく

PHP開発元の公式サイト、国内のセキュリティ機関(JPCERT/CCやIPAなど)、契約しているサーバー事業者のお知らせなど、確認する情報源を決めておくと、いざというときに慌てずに済みます。

サーバーの管理を誰が担うかを見直す

脆弱性のたびに社内で対応するのが難しい場合は、サーバーの管理そのものを事業者に任せる選択肢もあります。

サーバー側の修正を任せられる「WP-Chorus」

「WP-Chorus」は、NHNテコラスが提供する企業向けのWordPressクラウドホスティングです。OSやミドルウェアのパッチ適用を含むインフラ運用管理を全プランで標準提供しており、ミドルウェアのパッチ管理はNHNテコラスが対応します。24時間365日のサーバー運用監視も行っているため、サーバー側の脆弱性への対応を社内で抱え込まずに済みます。

まとめ

  • PHPの脆弱性は、WordPressを更新しても直らない。サーバー上のPHPを修正版に更新する必要がある
  • 最初に「PHPを管理しているのは誰か」を確認し、事業者管理なら案内を、自社管理なら修正版の適用を進める
  • バージョン番号だけで対応済みかを判断しない
  • 暫定策はあくまで一時的なもの。できるだけ早く修正版に更新する
  • 平時のうちに、連絡と判断の流れと、確認する情報源を決めておく

本コラムの作成・編集者

ターゲットメディア株式会社 BtoBマーケティング研究チーム

私たちは、「日本のBtoBマーケティングをアップデートする」をミッションに活動する専門家チームです。
BtoB領域に特化して、17年以上・支援社数200社以上のマーケティング支援を手掛け、そこで蓄積された成功事例や実践的なノウハウを、現場で奮闘するマーケターの皆様にお届けしています。
チームには、戦略コンサルタント、データアナリスト、コンテンツ制作のプロフェッショナルが在籍し、多角的な視点から成功のヒントを発信します。

【横長】WP-Chorus