「QCDS」「クリスタライズ」で考えるBtoBコンテンツ制作の勘所
このような背景を踏まえると、BtoBマーケティングで活用するWebサイト、記事、ホワイトペーパーなどのコンテンツ(以下、「BtoBコンテンツ」と呼びます)を制作する際には、ターゲット企業の購買プロセスや特性、ニーズなどを細かく分析することが必要です。
では、より高品質なBtoBコンテンツを制作するためには、どのような観点が求められるのでしょうか?
今回は、BtoBコンテンツの制作に取り組むうえで役立つ観点とアプローチ方法をご紹介します。
- 目 次
そもそも、顧客は何に価値を抱くのか?
BtoBコンテンツの制作を行う上で最も基本となることは、顧客にとっての価値を明確化することです。ここでいう価値とは「ベネフィット(便益)」と言い換えることもできます。
企業は何らかのミッションや目的をもって日々の事業活動を行っているため、それらを踏まえて「顧客が何に価値を抱くのか?」を明らかにすることがBtoBコンテンツを制作する上でのスタートラインといえます。究極的には「売上UP・コストダウンを実現する」「利益率を向上させる」「費用対効果を高める」ということになるでしょう。しかし多くの場合、そこに至るまでのロジックや裏付けが必要になります。そのロジックを説明する上で有効な観点が「QCDS」です。
顧客価値を裏付けるための「QCDS」を意識
QCDSとは、品質[Quality]、価格[Cost]、安定供給[Delivery]、サポート対応[Service] の頭文字を取ったもので、企業が利益創出を目指す上で欠かせない要素を意味しています。
QCDSは製造業界で日常的に用いられる観点で、かつては「QCD」というフレームが一般的でした。しかし、あらゆる業態がサービス業への転換が求められ、SaaSツールを始めとする定期課金(サブスクリプション)型のビジネスモデルが普及する昨今、Service(サポート対応)も見逃せない要素となっています。
BtoBコンテンツを制作する上では、「自社の商材が、顧客のQCDSに対してどのようなインパクトを与えるのか?」という問いへの答えを予め用意しておくことが、説得力のあるコンテンツをつくるための肝になります。
一貫性×具体性のあるメッセージを定義する
続いて、顧客価値を伝えるためのメッセージについてです。
優れた機能や技術力があっても、その魅力を端的に伝えることができなければ「顧客価値」として認識されることはありません。そこで求められるのが、コンテンツの「一貫性」と「具体性」です。
「一貫性」とは、事業戦略からマーケティング戦略、営業戦略に至るまで、ブレのないメッセージを軸としているか、という視点です。顧客側から見たときには、商品サービスを認知してから、比較検討、購買に至るまで、一貫したメッセージを発しているか否かが円滑な組織の意思決定を左右します。
もう1つの観点である「具体性」とは、「その商品サービスはどんなもので、どんな時に利用するものなのか?」「導入後にはどんなベネフィットを提供してくれるのか?」という疑問に答えてくれるメッセージです。BtoBの世界では、BtoC(一般消費者向けのマーケティング)とは異なり、美しいキャッチーなコピーはあまり重視されません。それよりも、自社のビジネスにいかに役立つかを伝えるメッセージであることが求められます。
一例を挙げるならば、Web会議システムのベルフェイスであれば「パソコンから5秒でつながるオンラインルーム・Web会議システム」、クラウド契約サービスのクラウドサインであれば「無料で契約締結ができるウェブ完結型のクラウド契約サービス」という具合です。
最後に、「メッセージ案は考えたものの、いまいちしっくり来ない…」という場合に有効活用したい「クリスタライズ」というアプローチをご紹介します。
「クリスタライズ」でメッセージを磨きこむ
クリスタライズ(結晶化)とは、物事の本質を研ぎ澄まされた簡潔な言葉で表現することを意味します。そして、本質を突き詰めて考え、無駄な部分をそぎ落とす過程で意識したいのが、物事の構造を「幹・枝・葉」で理解することです。
幹は、物事の最も本質的な部分を指します。そして、そこから派生する個別事象が枝・葉です。BtoBコンテンツを制作する上では、まずは全体像(幹)を魅力的かつわかりやすく伝え、そこから具体的な説明(枝)を行い、続いて詳細な説明(葉)を加えることが大切です。
商品サービスが複雑なものになりがちなBtoBの世界だからこそ、今回ご紹介したような構造に基づいてメッセージを伝えていくことが求められます。
顧客にとっての価値を明確化するために、顧客を主語にした「ベネフィット(便益)」を意識する。
「QCDS」で顧客価値の裏付けを行い、一貫性・具体性を加味したメッセージを「クリスタライズ」で磨きこむ。
BtoBコンテンツを制作する際には、ぜひ上記の点を意識してみてください。
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