ABM体制の作り方|営業・マーケティング連携から始める組織づくり
本記事では、ABMに必要な役割や体制、営業・マーケティングの連携方法、段階的な体制構築の進め方を解説します。
1.なぜABMでは組織体制が重要なのか
ABMは、特定企業をターゲットに営業・マーケティング活動を行う手法です。幅広くリードを獲得する従来の施策とは異なり、最初にターゲット企業を定め、企業単位でアプローチを進めます。
そのため、ターゲット企業を決めるだけではなく、マーケティング、インサイドセールス、営業などが連携し、組織として攻略する体制が重要です。
ABMは特定企業を組織で攻略する取り組み
ABMでは、受注可能性やLTVなどを踏まえて重要度の高い企業をターゲットに設定します。
しかし、大企業では複数の部門や役職者が意思決定に関わるため、営業担当者だけで接点を広げるには限界があります。
そこで、マーケティングが接点を作り、インサイドセールスが関心度を把握し、営業が商談を進めるなど、各部門が連携して企業全体を攻略することが重要です。
従来の営業・マーケティング体制との違い
従来の営業・マーケティングでは、マーケティングがリードを獲得し、インサイドセールスがアポイントを取り、営業が商談を進めるという分業型の活動が中心です。
一方、ABMでは「リード」ではなく「企業」を単位に活動します。そのため、部門ごとの成果だけでなく、ターゲット企業との接点がどれだけ増え、商談・受注に近づいているかを共通の指標として捉えることが重要です。

部門横断で取り組む必要がある理由
ABMでは、各部門が持つ顧客情報をつなげることも重要です。
マーケティングは広告やコンテンツへの反応、インサイドセールスは接点時の関心度、営業は顧客課題や決裁者情報などを把握しています。
これらの情報が分断されていると、ターゲット企業への理解も断片的になってしまいます。
ABMを機能させるには、各部門の情報を共有し、「どの企業に、誰が、何を伝えるか」を共通認識として持つことが重要です。
2.ABMに必要な役割と各部門の役割
ABMでは、単純に「マーケティングはリード獲得、営業は商談」と分業するのではなく、ターゲット企業を中心に各部門の役割を設計することが重要です。
ここでは、ABMに必要な主な役割を紹介します。
経営・事業責任者/ABM推進責任者の役割
経営・事業責任者は、事業戦略に基づいて重点的に攻略する市場・企業を決定します。
ABM推進責任者は、その方針に沿って、ターゲット企業の管理や部門間の連携、KPI管理、施策の振り返りなどを行います。
経営・事業責任者が方向性を示し、ABM推進責任者が実行を推進することで、部門横断の取り組みとしてABMを進めやすくなります。
マーケティング部門の役割
マーケティングは、ターゲット企業の課題を整理し、接点づくりと営業が活用できる情報の提供を担います。
主な役割は以下の通りです。
・ターゲット企業の選定・整理
・顧客課題の仮説設計
・コンテンツやセミナー、LPなどの企画
・広告・メールなどの接点施策
・ターゲット企業の反応分析
・営業への顧客情報・インサイトの提供
ABMでは、単にリードを増やすのではなく、ターゲット企業の課題認識を高め、営業がアプローチしやすい状態をつくることがマーケティングの重要な役割です。
インサイドセールスの役割
インサイドセールスは、ターゲット企業との初期接点を作り、課題や検討状況を把握して、営業につなぐ役割を担います。
主な役割は以下の通りです。
・ターゲット企業への初期アプローチ
・資料ダウンロード・セミナー参加企業へのフォロー
・課題や検討状況のヒアリング
・商談化の判断
・営業への情報共有
・継続的なフォロー
ABMでは、単にアポイントを獲得するのではなく、企業ごとの関心度を見極め、営業が優先すべき企業を判断することが重要です。
フィールドセールスの役割
フィールドセールスは、ターゲット企業との商談を進め、企業ごとの課題に合わせた提案から受注までを担います。
主な役割は以下の通りです。
・アカウントプランの作成
・キーパーソン・関与部門の把握
・顧客課題の深掘り
・提案内容の設計
・商談・クロージング
・受注・失注理由の共有
また、商談で得た顧客課題や反応、受注・失注理由をマーケティングやインサイドセールスに共有することも重要です。
営業の知見を組織で共有し、次の施策やアプローチに活かすことが、ABMの成果向上につながります。
3.ABM組織は段階的に構築することが大事
ABMは部門横断で取り組む必要がありますが、最初から全社体制を作るのではなく、小さく始めて段階的に広げることが重要です。
まずは営業とマーケティングで連携し、成果や課題を確認しながら、インサイドセールスなど関係部門を加えていきます。
最初から全社横断の体制を作ろうとすると進みにくい
最初から多くの部門を巻き込むと、ターゲット企業やKPI、役割分担などの調整に時間がかかり、実行に移りにくくなります。
まずは営業とマーケティングで小さく始め、成果を見ながら段階的に体制を広げていくことが、ABMを定着させるポイントです。

フェーズ1|営業とマーケティングで小さく始める
まずは営業とマーケティングで、ターゲット企業と顧客課題の仮説を整理し、少数企業でABMを試行します。
・ターゲット企業の選定
・顧客課題の仮説設計
・課題別コンテンツの準備
小さく試し、反応の良い企業・課題・訴求を見つけることがポイントです。
フェーズ2|インサイドセールスを加え、運用を強化する
次にインサイドセールスを加え、ターゲット企業への接点づくりから商談化までの流れを整えます。
・企業単位での反応把握
・初期接点・ヒアリング
・商談化条件の明確化
・営業への情報共有
・継続フォロー
各部門の役割と情報共有のルールを整え、ABMを継続的に運用できる状態を目指します。
フェーズ3|全社横断のABM体制へ発展させる
運用が定着したら、CSや事業部門なども加え、組織全体でターゲット企業を攻略する体制へ広げます。
・部門間の顧客情報・ナレッジ共有
・新規・既存顧客へのアプローチ連携
・共通KPIの設定
・受注・失注をもとにした施策改善
・営業ナレッジの標準化
最終的には、特定企業に対して組織全体で一貫したアプローチができる状態を目指します。
4.ABM体制を機能させる3つのポイント
ABMは、体制を作るだけでは成果につながりません。各部門が連携して活動し、得られた情報を次の施策に活かす仕組みが重要です。
ここでは、ABM体制を機能させる3つのポイントを紹介します。
部門横断の定例会議を設ける
マーケティング、インサイドセールス、営業などが定期的に集まり、ターゲット企業の進捗や課題、次のアクションを確認する場を設けます。
単なる情報共有ではなく、「どの企業に、誰が、何をするか」を決める場として運用することがポイントです。
営業・マーケティングの知見を施策に反映する
営業やインサイドセールスが得た顧客の反応や受注・失注理由を、コンテンツや営業資料などの施策に反映します。
現場の知見を蓄積・活用することで、ターゲット企業へのアプローチ精度を高められます。
成果をもとにターゲットと施策を見直す
ABMでは、一度決めたターゲット企業や施策を固定するのではなく、反応や商談・受注実績をもとに定期的に見直すことが重要です。
成果の出た企業・課題・訴求を蓄積し、次のターゲット選定や施策改善につなげていきます。

5.ABM体制づくりでよくある失敗
ABM体制づくりでは、ターゲット企業リストや体制図を作っただけで満足してしまうケースがあります。しかし、ABMは設計して終わりではなく、部門間で連携しながら実行と改善を続けることが重要です。
・マーケティング部門だけでABMを進めてしまう
ABMはマーケティング部門だけで完結する施策ではありません。営業現場の知見を取り入れずにターゲット企業やコンテンツを設計すると、実際の商談につながりにくくなります。
・営業とマーケティングでKPIが異なる
マーケティングはリード数、営業は商談数や受注金額だけを追っていると、部門間の動きが分断されます。ABMでは、ターゲット企業への接点数や商談化率など、企業単位で成果を見る指標も必要です。
・ターゲット企業の選定基準が曖昧
どの企業を狙うのかが曖昧なままでは、部門ごとに優先順位がずれてしまいます。受注可能性、LTV、既存顧客との類似性、自社の強みが活きる課題などをもとに、選定基準を明確にすることが重要です。
・情報共有の仕組みがない
マーケティングの反応データ、ISのヒアリング内容、営業の商談情報、失注理由などが共有されなければ、ABMの改善は進みません。各部門が得た情報を次の施策や営業活動に活かせる仕組みが必要です。
・推進責任者がいない
ABMは複数部門が関わるため、全体を見て進行する推進責任者が必要です。誰がターゲット企業管理やKPI確認、部門間調整を担うのかを明確にしておくことで、継続的に運用しやすくなります。
6.まとめ|ABM体制は段階的に構築し、組織で成果を高める
ABMを成功させるには、ターゲット企業を決めるだけでなく、営業・マーケティングなどが連携し、企業単位で継続的にアプローチできる体制を作ることが重要です。
最初から大きな組織を作るのではなく、まずは営業とマーケティングで小さく始め、成果を見ながらインサイドセールスやCSなどへ段階的に広げていくことがポイントです。
また、運用を通じて得た顧客の反応や営業ナレッジを共有し、ターゲットや施策を継続的に改善することで、ABMの成果を高められます。
ABMの立ち上げや、営業・マーケティングの連携体制づくりに課題がある場合は、専門サービスを活用することも有効です。
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本コラムの作成・編集者
ターゲットメディア株式会社 BtoBマーケティング研究チーム
私たちは、「日本のBtoBマーケティングをアップデートする」をミッションに活動する専門家チームです。
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