WordPressのアップデートで事故を起こさない運用ルール|自動更新・メンテナンスモード・更新手順
WordPressのアップデートは、セキュリティを保つために欠かせない作業です。一方で、「更新したら画面が真っ白になった」「レイアウトが崩れた」というトラブルも珍しくありません。更新しなければ脆弱性が残り、更新すれば不具合が起きるかもしれない。このジレンマを解消するには、場当たり的に更新するのではなく、運用ルールを決めておくことが大切です。本記事では、WordPressの更新で起きやすいトラブルと、事故を防ぐための更新手順、自動更新の判断基準、社内ルールの決め方を解説します。
WordPressで更新が必要なもの
WordPressのサイトで更新が必要なものは、主に次の5つです。
更新の対象 | 内容 |
WordPress本体 | 機能の追加、不具合の修正、セキュリティの修正 |
プラグイン | 配布元ごとに不定期で更新される |
テーマ | 配布元ごとに不定期で更新される。独自に制作したテーマは更新されないこともある |
翻訳ファイル | 管理画面などの日本語表示の更新 |
サーバーのPHP・データベース | WordPressが動くための環境。古いままだと新しいWordPressやプラグインが動かないことがある |
メジャー版とマイナー版の違い
WordPress本体の更新には、大きく2種類あります。
メジャー版:バージョン番号の前半(例:6.○の部分)が変わる更新。新しい機能の追加や、大きな仕様の変更を含む
マイナー版:バージョン番号の末尾(例:6.○.△の△の部分)が変わる更新。主にセキュリティの修正や不具合の修正
マイナー版はセキュリティにかかわるため、早めに適用することが大切です。一方、メジャー版は仕様の変更でプラグインやテーマとの相性問題が起きやすいため、検証してから適用するのが安全です。
更新しないリスクと、更新で起きるトラブル
更新しないリスク
更新を止めると、すでに公表されている脆弱性が残ったままになります。脆弱性の情報は公開されるため、更新していないサイトは攻撃の対象になりやすくなります。
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更新で起きやすいトラブル
一方、更新によって次のようなトラブルが起きることがあります。
・画面が真っ白になる、「重大なエラーが発生しました」と表示される
・レイアウトが崩れる
・プラグインの機能が動かなくなる
・管理画面にログインできなくなる
・「メンテナンス中」の表示から戻らなくなる
こうしたトラブルの多くは、更新前の検証と、問題が起きたときにすぐ元に戻せる準備で防げます。
自動更新は止めるべきか
自動更新の初期設定
WordPressでは、初期設定で本体のマイナー版(セキュリティ修正など)が自動で更新されます。プラグインとテーマは、管理画面からプラグイン・テーマごとに自動更新を有効にできます。
自動更新の設定はバージョンやサーバーによって異なることがあるため、管理画面の「ダッシュボード」→「更新」で、現在の設定を確認しておきましょう。
止める場合・止めない場合の判断基準
自動更新を止めるかどうかは、次の3点で判断します。
判断の軸 | 自動更新を有効にしてよい | 自動更新を止めて検証後に手動で更新 |
サイトの重要度 | 止まっても影響が小さい | 問い合わせ・採用・ECなど、止まると損失が大きい |
カスタマイズの量 | プラグインが少なく、構成がシンプル | 独自のカスタマイズや、プラグインが多い |
検証の体制 | 検証する担当者や環境がない | テスト環境で検証できる担当者がいる |
おすすめは、「セキュリティ修正(マイナー版)は自動、それ以外は検証してから手動」という分け方です。自動更新をすべて止めると、セキュリティ修正の適用も遅れるため注意が必要です。
自動更新の止め方と注意点
自動更新は、主に次の方法で設定を変えられます。
管理画面:プラグイン・テーマごとに、自動更新の有効・無効を切り替える
wp-config.php:本体の自動更新の範囲を、定数(WP_AUTO_UPDATE_COREなど)で設定する。すべての自動更新を止める定数(AUTOMATIC_UPDATER_DISABLED)もある
functions.phpやプラグイン:フィルターを使って、更新の対象ごとに細かく設定する
設定ファイルの編集は、1文字の誤りでもサイトが表示されなくなることがあります。編集前にバックアップを取り、編集後は表示を確認しましょう。
また、自動更新を止めた場合は、更新の情報を確認して手動で適用する作業を、担当者の業務として決めておく必要があります。止めたまま放置するのが最も危険です。
事故を防ぐ更新の5ステップ
更新は、次の5ステップで進めると事故を防げます。
ステップ1:更新の情報と影響を確認する
更新内容(セキュリティ修正か、機能の追加か)と、使っているプラグインやテーマが新しいバージョンに対応しているかを確認します。
ステップ2:バックアップを取る
ファイルとデータベースの両方をバックアップします。問題が起きたときに、すぐ元に戻せる状態にしておきます。
ステップ3:テスト環境で検証する
本番と同じ構成のテスト環境(ステージング環境)で先に更新し、表示や機能に問題がないかを確認します。
ステップ4:本番で更新する
アクセスが少ない時間帯に、本番環境で更新します。まとめて更新せず、1つずつ順番に更新すると、問題が起きたときに原因を特定しやすくなります。
ステップ5:動作を確認し、記録する
主要なページの表示、フォームの送信、管理画面の操作を確認します。更新した日時、対象、バージョン、確認結果を記録しておきましょう。
メンテナンスモードの使い方
更新や改修の作業中は、訪問者に「メンテナンス中」であることを表示する「メンテナンスモード」を使うと安心です。
WordPressは、本体やプラグインを更新している間、自動で一時的にメンテナンス中の表示に切り替わります。作業の時間が長くなる場合は、メンテナンスモード用のプラグインを使って、作業中であることや再開の予定を表示できます。
「メンテナンス中」の表示から戻らないときの対処
更新が途中で止まると、「現在メンテナンス中のため、しばらくの間ご利用いただけません。」という表示が残ったままになることがあります。
これは、更新中に作られる「.maintenance」というファイルが残っていることが原因です。FTPやサーバーの管理画面から、WordPressを設置したフォルダにある「.maintenance」ファイルを削除すると、表示が元に戻ります。
ファイルを削除した後は、更新が正しく終わっているかを確認し、必要であれば更新をやり直しましょう。
更新の頻度と社内ルールの決め方
更新は、種類ごとに優先度と頻度を決めておくと迷わずに済みます。
更新の種類 | 優先度 | 頻度の目安 |
本体のセキュリティ修正(マイナー版) | 高い | 公開されたらすぐ |
脆弱性が公表されたプラグイン・テーマ | 高い | 情報を確認したらすぐ |
その他のプラグイン・テーマ | 中 | 月に1回、まとめて検証して適用 |
本体のメジャー版 | 中 | 公開後、プラグインの対応状況を確認し、検証してから計画的に適用 |
サーバーのPHP | 中 | 推奨環境を確認し、検証してから計画的に適用 |
あわせて、次のルールを決めておきましょう。
誰が判断するか:更新するかどうか、いつ更新するかを決める担当者
誰が作業するか:社内の担当者か、制作会社・保守会社か
どう記録するか:更新の日時、対象、バージョン、確認結果を残す場所
更新作業の負担を減らす仕組み
更新を安全に続けるには、「検証できる環境」と「すぐ元に戻せる状態」が欠かせません。これを人の手で毎回用意するのは手間がかかります。
NHNテコラスの「WP-Chorus」は、企業向けのWordPressクラウドホスティングです。更新作業を支える次の機能を標準で備えています。
ステージング環境:全プランで標準提供。管理コンソールから本番環境を複製し、更新前の検証に使える
自動バックアップ:全プランで標準提供
ミドルウェアのパッチ管理:サーバー側の更新はNHNテコラスが対応
WordPressの本体やプラグインの更新は利用者側の作業ですが、検証と復旧の準備を仕組みで用意できるため、更新のたびに環境を整える手間を減らせます。
WP-Chorusについて詳細は以下をご覧ください。
まとめ
WordPressのアップデートは、更新しないリスクと、更新で起きるトラブルの両方があります。事故を防ぐには、更新の種類ごとに優先度と頻度を決め、「情報の確認→バックアップ→テスト環境で検証→本番で更新→確認と記録」の5ステップで進めることが大切です。
自動更新は、セキュリティ修正は自動、それ以外は検証してから手動、と分けるのがおすすめです。検証と復旧の準備を仕組みで用意すれば、更新は怖い作業ではなくなります。
本コラムの作成・編集者
ターゲットメディア株式会社 BtoBマーケティング研究チーム
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