BtoBマーケティングのKPI設計|問い合わせ・商談・受注につなげる指標の決め方

更新日 : 2026年10月23日
BtoBマーケティング

BtoBマーケティングでは、アクセス数や資料ダウンロード数が増えても、商談や受注が伸びないことがあります。その原因を見極めるには、施策の実績に加え、獲得したリードが商談・受注にどれだけつながったかを確認することが重要です。
KPI
は、その流れの中で改善すべき工程を見つけるための指標です。本記事では、新規顧客の獲得に取り組む企業に向けて、KGIとの違い、受注目標からの逆算方法、工程別・施策別の指標と運用方法を解説します。

この記事でわかること

  • KGIとKPIの違い、主要KPIと補助指標の役割
  • 受注目標から必要なリード数・商談数を逆算する方法
  • 工程ごと・施策ごとに主要KPIと補助指標を確認する方法
【横長】デジタルセールス START UP
目次
BtoBマーケティングのKPIとは?KGIとの違い
KPI設計の基本はリード獲得から商談・受注までをつなぐこと
工程別に設定する主なKPI
BtoBマーケティングのKPIを設定する5つのステップ
施策ごとに主要KPIと補助指標を確認する
KPIを改善に活かすための運用方法
よくあるKPI設計の失敗と対処法
ターゲットメディアが考えるKPI設計のポイント
BtoBマーケティングのKPIに関するよくある質問
まとめ 受注から逆算し改善につながるKPIを設計する

BtoBマーケティングのKPIとは?KGIとの違い

KGI(重要目標達成指標)は、新規売上金額や新規受注件数など、最終的な成果を測る指標です。一方、KPI(重要業績評価指標)は、その目標に向けて活動や中間成果が計画どおり進んでいるかを確認する指標を指します。
例えば、KGIが「年間10件の新規受注」なら、必要な商談数やターゲットリード数をKPIとして設定します。反対に、検索順位やPV数だけを追っても、受注目標に対する進捗は判断しづらくなります。


本記事では、ターゲットリード数、商談数、商談化率など、受注につながる工程の指標を主要KPIとして管理します。その中から、自社の課題に応じて重点的に改善する指標を選びます。一方、初回対応までの時間などは、未達や変化の原因を調べる補助指標です。

KGI・主要KPI・補助指標の整理例

区分 役割 指標の例
KGI 最終的な成果を測る 新規売上金額、新規受注数
主要 KPI 受注につながる工程の進捗を測る ターゲットリード数、商談数、商談化率
補助指標 未達や変化の原因を調べる 初回対応までの時間、商談設定後の実施率


主要KPIと補助指標は、施策ごとに集計することもあります。例えば、SEO記事から獲得したターゲットリード数は主要KPI、記事への検索流入数は補助指標です。「施策別KPI」は新たな分類ではなく、こうした指標を施策ごとに確認する際の呼び方です。

KPI設計の基本はリード獲得から商談・受注までをつなぐこと

問い合わせ件数と受注件数を別々に管理していると、途中の課題を把握できません。ターゲット外のリードが多いのか、営業フォローが商談につながっていないのかを、工程ごとに確かめる必要があります。
本記事では、問い合わせ・資料ダウンロード・展示会などで得た、連絡先を把握できる見込み顧客を「リード」と呼びます。そのうち、業種・企業規模・対象部署など、自社のターゲット条件に合うものが「ターゲットリード」です。ターゲットへの適合性と、今すぐ導入を検討しているかの顧客フェーズは分けて判断します。

基本の流れは「リード獲得→ターゲット判定→商談→受注」です。ただし、顧客が必ずこの順に進むとは限りません。直接相談に至る場合や、長期の情報提供を経る場合もあるため、自社の顧客の行動に合わせて工程を設計します。

工程別に設定する主なKPI

リード獲得段階 数だけでなくターゲットへの適合性を見る

リード数、ターゲットリード数、ターゲット合致率、獲得単価を確認します。問い合わせと資料ダウンロードでは検討段階が異なるため、獲得経路・行動別に内訳を残すことが基本です。
ターゲット合致率は、獲得したリードのうち、ターゲット条件に合うリードの割合です。

ターゲット合致率(%)= ターゲットリード数 ÷ リード数 × 100

人数で数えるか企業数で数えるかを決め、両方を同じ単位で集計します。属性を確認できていないリードは、ターゲット外と混同せず「未判定」として管理することも重要です。
資料ダウンロードが増えてもターゲットリードが少なければ、記事テーマや広告の配信対象を見直します。一方、ターゲット企業の訪問が増えているのに問い合わせが少ない場合は、サービス情報や問い合わせ導線が改善候補になります。

商談段階 商談の条件とフォロー状況を確認する

商談数、商談化率、初回対応までの時間を確認します。商談には、例えば「顧客と課題や導入条件を具体的に話す機会」などの条件を定め、日程を設定した数と実施した数を分けて記録します。
本記事の商談化率は、対象のターゲットリードのうち、商談に至ったリードの割合です。

商談化率(%)=
商談に至ったターゲットリード数 ÷ 対象のターゲットリード数 × 100

計上時点と追跡期間をそろえ、対象のターゲットリードから商談に至った数を集計します。
商談化率が低い場合は、初回対応の遅れ、営業への引き渡し漏れ、検討段階に合わない提案がないかを確認します。あわせて、商談を見送った理由を営業から収集すれば、集客とフォローの両面から改善できます。

受注段階 売上への貢献を確認する

受注数、受注率、受注金額、平均受注単価、受注までの期間を確認します。ここでの受注率は、対象商談のうち受注に至った割合です。

受注率(%)= 対象商談のうち受注に至った数 ÷ 対象商談数 × 100

商談が発生した時期ごとに、その後の結果を追います。
なお、決着した案件だけを対象にする場合は、以下の式で計算します。上記とは集計対象が異なるため、未決着の商談の扱いと追跡期間を決め、同じ定義で比較することが重要です。

決着した案件の受注率(%)= 受注数 ÷(受注数 + 失注数)× 100

BtoBマーケティングのKPIを設定する5つのステップ

BtoBマーケティングのKPIを設定する5つのステップ

STEP1 売上・受注目標とマーケティングの担当範囲を決める

最初に、マーケティング起点で目指す売上・受注目標を決めます。例えば、年間新規売上目標が3,000万円、同じ期間に売上計上する平均単価が300万円なら、必要な受注は10件です。
紹介や営業の新規開拓も含む全社目標を、そのままマーケティングの目標に置き換えないことが重要です。マーケティング起点の受注と、他の経路で獲得した案件への貢献をどう扱うか、営業部門と合意します。

STEP2 転換率から必要件数を逆算する

受注率、商談化率、ターゲット合致率を使い、必要な件数を逆算します。以下は業界平均ではなく、計算方法を示す仮定の数値です。企業単位で集計し、1社につき1商談・1受注とする単純なモデルを用いています。

 受注目標から逆算する必要件数の例

工程 必要件数の例 次工程への転換率
リード獲得 200 件 ターゲット合致率 50%
ターゲットリード 100 件 商談化率 40%
商談 40 件 受注率 25%
受注 10 件 ー

※この例は、一定期間に獲得したリードが最終的にどれだけ受注につながるかを示すものです。その年の獲得数と受注数が、そのまま上記の比率になるわけではありません。

10件の受注には「10÷25%=40件」の商談、40件の商談には「40÷40%=100件」のターゲットリードが必要です。ターゲット合致率が50%なら、必要なリード数は「100÷50%=200件」となります。
実際の計画では、過去の転換率に加え、期首の保有リード・案件と、受注までにかかる期間を考慮します。当年に獲得したリードがすべて当年の受注につながるわけではありません。商材や対象企業が変わる場合も、前提を見直して試算する必要があります。

STEP3 主要KPIの中から重点的に改善する指標を選ぶ

ターゲットリード数、商談数、商談化率などの主要KPIは、継続して確認します。そのうえで、ターゲットリード数が不足している場合は獲得数を、ターゲットリード数が目標に達しているのに商談が少ない場合は商談数や商談化率を、重点的に改善します。
例えば、商談数を重点的に改善する場合も、ターゲットリード数や商談化率は主要KPIとして確認します。さらに、初回対応までの時間や商談設定後の実施率を補助指標として調べれば、対応の遅れやキャンセルなどの原因を絞り込めます。

STEP4 定義・集計方法・担当者をそろえる

同一企業・同一人物の重複、既存顧客、営業目的の問い合わせをどう扱うかを決めます。あわせて、商談の判定条件、計上日、入力担当者を統一し、リードと商談・受注の記録を紐づけます。ツールの導入を前提にせず、まずは表計算ソフトでも共通の記録から始められます。
例えば「4月に獲得したターゲットリードのうち、獲得日から90日以内に商談を実施した割合」と決めれば、数える対象と期間が明確になります。5月分も同じ条件で追い、各リードの獲得から90日が経過した後に比較します。90日は一例であり、自社の検討期間に合わせた設定が必要です。

STEP5 実績を確認して施策と計画を見直す

実績が想定を下回った場合は、必要な獲得数を増やす前に原因を調べます。商談化率が想定の半分なら、ターゲットの選定、対応の速さ、提案のタイミングを点検します。目標を安易に下げず、前提の変化がある場合は計画の見直しを検討します。
改善策の内容と実施日を記録し、変更前後を同じ条件で比較します。受注まで時間がかかる場合は、短期ではターゲットリードや商談の進展、中長期では受注実績を確認するなど、評価の時期を分けることが有効です。

施策ごとに主要KPIと補助指標を確認する

施策ごとに確認する場合も、主要KPIと補助指標の役割は変わりません。下表は、施策の運用・改善に使う補助指標の例です。ターゲットリード数や商談数などの主要KPIは、表の後に示す共通の成果指標として確認します。

施策ごとに確認する補助指標の例

施策 運用・改善に使う補助指標の例
SEO・記事 検索流入数、資料・サービスページへの遷移数
Web 広告 CV 数、CPA
ホワイトペーパー ダウンロード数、リード獲得単価
ウェビナー 申込数、参加率
メール クリック数、再訪問数
インサイドセールス 会話できた件数、初回対応までの時間


共通して確認する成果指標


・新規リードの獲得:ターゲットリード
・獲得リードの育成・商談化:商談数、商談化率
・事業成果への貢献:受注数、受注金額

同じ目的の施策は、共通の成果指標で評価します。例えば、Web広告とホワイトペーパーは、ターゲットリード数を確認したうえで商談・受注まで追跡します。

※CVは、問い合わせや資料ダウンロードなど、設定した成果の発生を指します。CV数は同じ人の複数回の行動を含む場合があり、重複を除いたリード数とは区別します。CPAは「対象施策の費用÷CV数」で求める成果1件あたりの費用です。

複数施策が同じ受注に関与する場合もあります。例えば、SEO記事から資料をダウンロードし、ウェビナー参加後に商談へ進むケースです。全体の受注数は案件ごとに1件と数え、各施策の関与は別に記録すると、重複集計を防ぎながら貢献を確認できます。

KPIを改善に活かすための運用方法

KPIの運用は、計画との差が生じた工程を見つけ、顧客の検討段階に合わせて評価する流れで進めます。そのうえで確認頻度と改善の担当者・期限を決め、実行後の結果を次の改善に反映します。

KPIを改善に活かすための運用方法

計画との差が生じた工程を見つける

受注数から上流へ順に確認し、計画との差が大きい工程を探します。リード数が不足していれば集客、ターゲット合致率が低ければ配信対象や訴求、商談化率が低ければフォロー方法を点検します。
例えば、リード200件に対してターゲットリードが50件なら、合致率は25%です。想定の50%を下回るため、まず獲得対象や判定状況を確認します。一方、ターゲットリードが目標を満たしているのに商談が少なければ、営業への引き渡しや対応内容が優先課題になります。

検討段階に合わせて評価する

情報収集を始めた企業と、導入候補を比較している企業では、適切な次の行動が異なります。検討初期のリードを短期の商談化率だけで評価すると、将来の商談につながる可能性を見落としかねません。
検討初期は課題への関心や継続的な情報収集、比較検討中は相談・見積もり依頼などを確認します。ただし、閲覧やクリックだけで購買意欲を断定せず、問い合わせ内容や営業のヒアリング結果と合わせて判断する必要があります。

確認頻度と改善責任を決める

下表は、週次・月次・四半期で確認する運用の一例です。確認の頻度は、自社のリード・商談件数や、顧客の検討期間に合わせて調整します。

KPIの確認頻度と判断内容の例

確認頻度の例 確認する内容 主な判断
週次 リード数、対応の遅れや漏れ 日々の運用を修正する
月次 ターゲットリード数、商談数・商談化率 改善の優先順位を決める
四半期 受注・売上、獲得時期別の進捗 計画や予算配分を見直す


件数が少ない企業では、単月の率だけでなく、元の件数や複数月の推移も確認します。定例会議では「原因の仮説」「次に変えること」「担当者と期限」を記録し、次回の会議で結果を確かめます。

よくあるKPI設計の失敗と対処法

獲得件数だけを追う

リード数を増やすだけでは、ターゲット企業との商談につながるとは限りません。総数に加え、ターゲットリード数と商談化率まで確認し、量と質を分けて評価します。
例えば、ホワイトペーパーのテーマを広げて獲得数が増えても、商材と関係の薄い層が増えている場合があります。件数が伸びた施策ほど、獲得企業の属性とその後の商談状況を確かめることが重要です。

管理指標が多すぎる

日々の運用で使う指標をすべて主要KPIにすると、改善の優先順位が分かりづらくなります。主要KPIと補助指標を区別し、主要KPIの中から重点的に改善する指標を選びます。補助指標は、未達や大きな変化が生じた原因を調べる際に活用します。

営業とマーケティングの目標が分断される

マーケティングがリード数、営業が受注数だけを追うと、引き渡すリードの評価が食い違います。ターゲット条件と商談の判定基準を共有し、営業の評価を施策改善に戻すことが必要です。
「ターゲット外」「検討時期が未定」「情報不足」など、商談を見送った理由も共通の分類で残します。属性の不一致と検討段階の違いを分けることで、集客対象の修正と継続フォローを適切に選べます。

ターゲットメディアが考えるKPI設計のポイント

ターゲットメディアが重視するのは、顧客がどのように情報を集め、比較・検討し、購入先を決めるかという「買われ方」です。KPIも、自社の活動量に加え、顧客の検討が進んだかを確かめるために設計します。
例えば、営業への相談前に複数サービスを比較する商材なら、導入事例や選定基準を提供し、その後の相談・商談への進展を確認します。一方、課題の整理に専門家の支援が必要な商材では、資料ダウンロードより個別相談の機会を重視する方が適切な場合があります。


検討段階ごとに「必要な情報」「期待する行動」「確認する指標」を対応させると、施策の役割が明確になります。営業が把握した検討状況や失注理由も反映し、情報提供とフォローを改善することが重要です。

BtoBマーケティングのKPIに関するよくある質問

最も重視すべきKPIは何ですか

主要KPIの中から、自社の課題に応じて重点的に改善する指標を選びます。ターゲットリード数が不足していれば獲得数、ターゲットリード数が目標に達しているのに商談が少なければ、商談数や商談化率を重視します。

KPIの目標値はどう決めますか

売上・受注目標から必要な商談数やターゲットリード数を逆算します。実績が少ない場合は仮の転換率を置き、前提を記録したうえで、結果が集まった段階で見直します。

問い合わせが少なくてもKPIは必要ですか

必要です。ただし、少数の実績では1件の増減で率が大きく変わります。複数月の件数・転換率と、ターゲットへの適合性や検討内容を合わせて確認します。

施策の成果は受注まで追うべきですか

可能な範囲で追うことが望まれます。受注まで時間がかかる場合は、短期の商談進捗を確認しながら、リード獲得時期ごとに受注状況を追跡します。

目標未達のときは何から改善しますか

各工程の件数と転換率から、計画との差が生じた場所を特定します。そのうえで、獲得対象、訴求、営業対応、提案内容に原因を分け、改善策を絞ります。

まとめ 受注から逆算し改善につながるKPIを設計する

BtoBマーケティングのKPIは、リード獲得から商談・受注までをつなぎ、改善すべき工程を見つけるために設計します。まずは受注目標とマーケティングの担当範囲を決め、必要な商談数・ターゲットリード数を逆算することが基本です。
あわせて、指標の定義、集計単位、追跡期間を営業部門とそろえます。運用では、計画との差から改善策を選び、担当者と期限を決めて検証することが重要です。顧客の検討段階も踏まえ、短期の成果と中長期の商談創出を確認します。


KPI
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本コラムの作成・編集者

ターゲットメディア株式会社 BtoBマーケティング研究チーム

私たちは、「日本のBtoBマーケティングをアップデートする」をミッションに活動する専門家チームです。
BtoB領域に特化して、17年以上・支援社数200社以上のマーケティング支援を手掛け、そこで蓄積された成功事例や実践的なノウハウを、現場で奮闘するマーケターの皆様にお届けしています。
チームには、戦略コンサルタント、データアナリスト、コンテンツ制作のプロフェッショナルが在籍し、多角的な視点から成功のヒントを発信します。

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