展示会頼みの新規開拓から脱却するには?
展示会以外の顧客獲得チャネルとBtoB営業の仕組み化
一方で、「展示会の月はリードが増えるものの、それ以外の月は新規案件が少ない」「大量に名刺を獲得しても、その後の商談につながっていない」といった課題を抱える企業も少なくありません。
展示会頼みの新規開拓から脱却するために重要なのは、展示会をやめて別の施策に置き換えることではありません。展示会という「点」の接点に、Webサイトやコンテンツ、広告、営業フォローなどの「線」の接点を加え、年間を通じて見込み客と接触できる状態をつくることです。
本記事では、展示会以外で新規顧客を獲得するための代表的なチャネルを比較したうえで、自社に足りない接点を見極め、展示会を活かしながら「通年で商談が生まれる仕組み」をつくる方法を解説します。

展示会は有効な新規顧客接点。ただし「展示会だけ」では新規開拓が安定しにくい
展示会は、短期間で多くの企業と直接接点をつくり、自社や製品・サービスを認知してもらえる有効な新規開拓チャネルです。一方で、展示会で名刺やリードを獲得できても、その後のフォローが十分でなければ商談・受注にはつながりません。
ジャストシステムが2026年に展示会出展経験のある企画・マーケティング職214名を対象に実施した調査では、展示会への出展目的として最も多かったのは「新規リードの獲得」の61.2%で、次いで「製品・サービスの認知拡大」が60.3%でした。
一方、展示会終了後の最大の課題は「獲得リードが商談・成約に繋がらない」の37.4%。展示会の費用対効果についても63.6%が「どちらともいえない」と回答しています。
出典:株式会社ジャストシステム「展示会出展に関する実態調査」
この結果からも、展示会で「接点をつくること」と、そこから「商談・受注を生み出すこと」は分けて設計する必要があることがわかります。
BtoBマーケティングの最終的な目的は、リードを集めることではなく、受注・売上につなげることです。展示会も「何枚の名刺を獲得できたか」だけで評価するのではなく、その後どれだけターゲット企業との商談・案件を生み出せたかまで追うことが重要です。つまり課題は、展示会そのものではなく、展示会だけで新規開拓を完結させようとすることにあります。
また、展示会に来場する人すべてが、具体的な発注先を探しているわけではありません。情報収集や市場動向の把握を目的として来場している人もいるため、展示会当日に商談化しなかったリードも、その後の継続的な接点によって商談につながる可能性があります。
重要なのは、「展示会で接点をつくる → 相手の課題・検討状況を把握する → 継続的に接触する → ニーズが顕在化したタイミングで商談につなげる」という流れまで設計することです。
展示会だけに依存すると、顧客との接点が「特定の時期・場所」に限られる
展示会だけに新規顧客獲得を依存すると、接点をつくれる企業が「その展示会に来場した企業」に偏り、接点が生まれる時期も開催前後に集中しやすくなります。しかし、自社のターゲット企業がすべて展示会に来場しているわけではありません。
イントリックス株式会社と株式会社マクロミルが実施した「BtoB商材の購買行動に関する実態調査レポート2025」では、製品・サービスを検討する段階で収集した主な情報源として、「各種Webメディア」が49.3%で最も多く、「提供企業のWebサイト」が35.4%、「展示会」が25.7%となっています。一方で、同調査では2022年の前回調査と比較して展示会の順位が上昇するなど、対面での情報収集も回復傾向にあるとされています。
出典:イントリックス株式会社・株式会社マクロミル「BtoB商材の購買行動に関する実態調査レポート2025」
つまり、Webか展示会かという二者択一ではなく、BtoBの顧客は複数のチャネルを使って情報収集していると考える必要があります。新規開拓する側も、顧客の情報収集行動に合わせて接点を増やすことが重要です。
ここで重要なのは、施策の種類を増やすこと自体ではありません。「展示会に来場した企業」だけを母集団にせず、検索している企業、業界情報を収集している企業、まだ具体的な発注先を探していない企業など、異なる情報収集行動を取るターゲットにも接点を広げることです。
展示会をやめる必要はありません。ただし、展示会に来ない企業や、展示会が開催されていない時期にも接点を持てるようにする必要があります。顧客が情報収集するさまざまな場所に自社との接点を用意することで、新規顧客と出会える機会を年間を通じて増やせます。
展示会で接点を持てない企業にアプローチする6つの方法
ここまで見てきたように、展示会の価値を活かしながら新規開拓を安定させるには、展示会で接点を持てない企業や、展示会がない時期にも接点をつくれるチャネルを追加する必要があります。代表的な方法は次のとおりです。
| チャネル | 主な特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| リスティング広告 | 検索している顕在層へアプローチできる | 一定の検索需要がある商材 |
| SEO・コンテンツ | 検索を通じて継続的な流入をつくれる | 顧客がWebで課題や解決方法を調べる商材 |
| ホワイトペーパー | 情報提供と引き換えにリード情報を獲得できる | すぐには商談にならない潜在層とも接点を持ちたい |
| 業界メディア・専門メディア | 特定業界・職種の読者へアプローチできる | ターゲット属性が明確 |
| ウェビナー | テーマへの関心度が高い見込み客を集めやすい | ノウハウ提供によってニーズを喚起しやすい |
| 企業ターゲティング広告 | 特定企業群に絞って広告を配信できる | 攻略したい企業が明確 |
| メール・インサイドセールス | 獲得済みリードと継続的に接点を持てる | 展示会などですでに多くのリードを保有している |
それぞれの施策には得意・不得意があります。たとえば、検索ニーズがすでに存在する商材ならリスティング広告を検討できます。一方、まだ課題そのものが認識されていない市場では、検索だけで十分な接点を増やすことは難しくなります。
攻略したい企業が明確なら、広く検索流入を集めるより、業界メディアや企業ターゲティング広告などで対象企業へ直接接点をつくる方が適しているケースもあります。そのため、「展示会の代わりに何をやるか」ではなく、「自社の顧客はどこで情報を集め、どのような経路で発注先を検討するのか」から施策を選ぶことが重要です。
ターゲットメディアが考える「追加すべきチャネル」の判断方法
展示会以外の施策を検討するとき、最初に「どの施策をやるか」を決めるのではなく、まず新規開拓のどこにボトルネックがあるのかを整理します。ターゲットメディアでは、次の3段階で考えることをおすすめしています。

1.誰と接点をつくりたいのかを決める
業種、企業規模、部署、役職、抱えている課題などから、自社が新たに商談をつくりたいターゲット像を整理します。ここが曖昧なまま施策を増やすと、リード数は増えても営業が商談にしたい企業が増えないという状態になりやすくなります。
2.新規開拓のどこで接点が途切れているのかを確認する
次に、「そもそもターゲット企業と接点がない」「Webサイトへの流入はあるがリードにならない」「リードはあるが商談にならない」など、現在のボトルネックを整理します。展示会以外の施策は、この不足している接点を補うために選ぶことが重要です。
3.ボトルネックを解消するチャネルを選ぶ
課題によって優先すべき施策は異なります。たとえば、ターゲット企業との接点そのものが少ない場合と、すでに大量のリードを保有しているものの商談化できていない場合では、追加すべき施策は同じではありません。
| 現在のボトルネック | 検討したい施策 |
|---|---|
| ターゲット企業との接点が少ない | SEO・リスティング広告・業界メディア・企業ターゲティング広告 |
| Web流入はあるがリードにならない | ホワイトペーパー・導入事例・CTA改善 |
| リードはあるが商談にならない | メール・インサイドセールス・リードナーチャリング |
| リードは増えているがターゲット企業が少ない | ターゲット条件の見直し・ABM施策・媒体選定の見直し |
このように、「施策を増やす」のではなく、「不足している接点を補う」という考え方で選ぶと、展示会と新しい施策を同じ新規開拓プロセスの中で設計しやすくなります。
展示会依存から脱却するなら、まず優先度の高い1チャネルから検証する
展示会頼みの新規開拓から脱却しようとして、SEO、Web広告、MA、ウェビナー、ホワイトペーパーなどを一度に始める必要はありません。特に、これまで営業や展示会を中心に新規開拓してきた企業の場合、最初から大規模なマーケティング体制をつくろうとすると、社内のリソースやノウハウが追いつかない可能性があります。まずは、先ほど整理したボトルネックに対して優先度の高いチャネルから検証し、成果を見ながら広げていく方が現実的です。
重要なのは、「最近流行っている施策だから」という理由だけで選ばないことです。売り手側の「どう売るか」ではなく、顧客に「どう買われるか」から逆算してチャネルを選ぶ必要があります。
自社の顧客がどこで情報を探し、何をきっかけに課題を認識し、どのように比較検討しているのか。その購買プロセスを整理したうえで、現在足りていない接点を補う施策を選びます。
展示会とデジタル施策をつなぎ、「点」の接点を「線」にする
展示会以外のチャネルを追加する目的は、展示会を置き換えることではありません。追加したデジタル施策を展示会の前・当日・後につなげることで、展示会で生まれた接点を継続的な商談機会へ変えていきます。すでに展示会へ予算を投下している企業であれば、この連携から始める方法があります。

展示会前:来場前からターゲットとの接点をつくる
展示会の成果は、当日のブース運営だけで決まるものではありません。出展前から、既存リードへのメール案内、Webサイトへの出展情報掲載、広告によるターゲット企業への認知、オウンドメディアでの情報発信、営業担当者から既存接点への案内などを行い、来場前から自社を認知してもらいます。
展示会そのものを新規接点の場として使うだけでなく、既存の見込み客と再び接触するきっかけとして活用することもできます。
展示会当日:名刺だけでなく「課題」と「検討状況」を把握する
展示会当日は、名刺枚数だけを増やすのではなく、その後のフォローに使える情報を収集します。
・どのような課題を抱えているか
・どの商品・サービスに興味を示したか
・導入検討中なのか、情報収集段階なのか
・導入時期は決まっているか
・自社のターゲット条件に合致しているか
これらを把握できれば、展示会後にすべてのリードへ同じアプローチをするのではなく、検討状況に合わせてフォロー方法を変えられます。
展示会後:すぐ商談にならないリードとの接点を切らない
展示会後に最も避けたいのが、すぐに商談化しなかったリードを放置してしまうことです。ジャストシステムの調査では、展示会終了後の課題として「潜在層へのアプローチ体制の未整備」が32.7%、「フォローの遅れ」が30.8%となっています。
出典:株式会社ジャストシステム「展示会出展に関する実態調査」
展示会には、今すぐ発注したい人だけでなく、情報収集段階の人も来場します。そのため、検討度が高いリードは営業が早期にフォローし、課題はあるものの情報収集段階のリードにはメールやコンテンツで継続的に情報提供し、反応が高まったリードにはインサイドセールスなどから商談を打診する、といった形で対応を分けることが重要です。
展示会で獲得したリードを「展示会の成果」として閉じるのではなく、その後もコミュニケーションできる見込み客として蓄積し、継続的に商談機会をつくることが展示会投資を活かすポイントです。
展示会+デジタルのKPI例|名刺数から「ターゲット商談数」へ
展示会とデジタル施策を組み合わせる場合、KPIも「名刺を何枚獲得したか」だけでは不十分です。最終的な受注までのプロセスを「接点・流入 → リード獲得 → ターゲットリード → フォロー接続 → 商談 → 案件化 → 受注」と分解して確認します。
たとえば、展示会で500件の名刺を獲得したとしても、そのうち自社のターゲット条件に合致する企業が100件であれば、単純な「500件」というリード数だけで成果を判断することはできません。
・何件にフォローできたか
・何件が商談になったか
・何件が案件化したか
・何件が受注したか
まで追うことで、どこにボトルネックがあるのかが見えてきます。これはWeb施策でも同じです。Webサイトのアクセス数や問い合わせ数だけではなく、ターゲットリード率、商談化率、案件化率、受注率まで確認し、最終的な営業成果につながっているかを見ることが重要です。
展示会とWebで別々のKPIを設定するのではなく、どちらも「ターゲット企業との商談・受注を生み出すチャネル」として同じプロセス上で評価すると、どこへ追加投資すべきか判断しやすくなります。
展示会頼みから脱却するときに避けたい3つのこと
展示会以外のチャネルを増やしても、進め方を誤ると新しい施策が増えただけで、商談数は変わらないという状態になりかねません。特に避けたいのが、次の3つです。
1.とりあえず複数の施策を始める
SEO、広告、ウェビナー、メールなどを一度に始めると、どの施策が成果につながったのか判断しづらくなります。マーケティングの専任担当者がいない場合は、運用そのものが負担となり、施策が途中で止まる可能性もあります。まずは顧客との接点を増やすうえで優先度の高い施策を絞り、成果を検証しながら広げていく方が現実的です。
2.リード数だけを成果指標にする
Web施策を始めると、「アクセス数」「問い合わせ数」「資料ダウンロード数」などが分かりやすい指標になります。しかし、リードが増えてもターゲット企業からの問い合わせが増えていなければ、営業成果につながらない可能性があります。見るべきなのはリードの量だけではなく、ターゲット企業からのリードや商談が増えているかです。
3.営業とマーケティングを別々に動かす
マーケティング施策で獲得したリードを営業へ渡すだけでは、展示会で名刺を渡すだけの状態と大きく変わりません。どの条件のリードを営業へ渡すのか、どのタイミングでフォローするのか、商談にならなかったリードをその後どうするのかまで決める必要があります。デジタルセールスでは、見込み客を集めるだけでなく、見込み客をどのように商談へつなげるかまで含めて仕組みを設計することが重要です。
展示会以外の特定チャネルに依存している場合も考え方は同じです。たとえばテレアポ中心の新規開拓では、営業人数や架電時間によって接点量が左右されます。Webや広告、コンテンツで事前に接点をつくり、その反応をもとに営業がアプローチすることで、既存の営業活動を活かしながら新規開拓の入口を増やせます。
展示会を活用した新規開拓に関するよくある質問
ここでは、展示会とWeb施策を組み合わせる際に特に判断に迷いやすいポイントをQ&A形式で整理します。
Q1.展示会で獲得した名刺は、すべて営業がすぐにフォローすべきですか?
すべてのリードに同じタイミング・方法で営業フォローする必要はありません。展示会当日に確認した課題や検討状況、企業属性などをもとに、優先順位をつけて対応します。
たとえば、具体的な導入時期が決まっている企業は早期に営業がフォローし、情報収集段階の企業にはメールやコンテンツで継続的に情報提供します。展示会後の対応を一律にせず、見込み客の状況に合わせて分けることが重要です。
Q2.展示会以外のチャネルは、どのくらいの数を持つべきですか?
必要なチャネル数に一律の正解はありません。チャネルを増やすこと自体を目的にせず、自社の新規開拓で不足している顧客接点を補えるかどうかで判断します。
まずは優先度の高い1チャネルから検証し、ターゲット企業からのリードや商談につながっているかを確認します。成果や運用体制を見ながら次のチャネルを追加する方が、各施策の効果も判断しやすくなります。
Q3.展示会とWeb施策の予算は、どのように配分すればよいですか?
展示会とWeb施策の予算配分は、単純なリード単価だけではなく、一定期間での商談・案件・受注まで含めて判断します。展示会は一度に多くの企業と直接接点をつくれる一方、Web施策は展示会がない期間にも継続して接点をつくれるため、役割が異なります。
それぞれのチャネルについて、ターゲットリード数、商談数、案件化数、受注数などを確認し、最終的な営業成果に対してどの程度貢献しているかを比較しながら配分を見直します。
Q4.展示会で成果が出ている企業でも、Web施策に取り組む必要がありますか?
展示会だけで安定して必要な商談・受注を獲得できている場合、無理に別の施策へ置き換える必要はありません。ただし、展示会が開催されていない期間や、展示会に来場しないターゲット企業との接点が不足している場合は、Web施策を追加する余地があります。
展示会の成果を維持しながらWebサイトやコンテンツなどの接点を加えることで、特定の時期やイベントだけに左右されにくい新規開拓の仕組みをつくれます。
まとめ|展示会をやめるのではなく、「通年の顧客接点」を追加する
展示会頼みの新規開拓から脱却するために必要なのは、展示会をやめてWebマーケティングへ置き換えることではありません。展示会の強みを活かしながら、展示会だけでは接点を持てない企業・時期を補うチャネルを追加することです。
展示会には、短期間で多くの企業と直接接点をつくれる強みがあります。一方、Webやコンテンツには、展示会が開催されていない期間や、展示会へ来場しない企業とも継続的に接点をつくれる強みがあります。
そのため、まず取り組みたいのは、展示会という「点」の顧客接点に、年間を通じて顧客と接触できる「線」のチャネルを追加することです。ただし、施策を闇雲に増やすのではなく、「誰と接点をつくりたいのか」「どこで接点が途切れているのか」を整理し、そのボトルネックを補うチャネルから始めます。
「展示会前の接点づくり → 展示会での情報取得 → 展示会後のフォロー → 継続的な情報提供 → 商談化」という流れをつくります。新規顧客獲得を特定の展示会や営業担当者だけに依存せず、複数の接点から継続的に見込み客を獲得し、商談につなげられる状態をつくることが、安定した新規開拓につながります。
営業・展示会頼みから、Webで継続的に見込み客を獲得する仕組みへ
「展示会以外の新規顧客獲得にも取り組みたいが、何から始めればよいかわからない」「自社の場合、どのくらいの成果を見込めるのか知りたい」という方に向けて、デジタルセールス スタートアップガイド3点セットをご用意しています。
・インバウンドで見込み客を獲得するデジタルセールスチームの作り方
・デジタルセールス計画書の作り方
・230案件以上の実績データをもとにしたデジタルセールス導入効果の目安
これまで営業や展示会を中心に新規開拓してきた企業が、Webを活用した新しい顧客獲得チャネルをつくる際の参考としてご活用ください。
本コラムの作成・編集者
ターゲットメディア株式会社 BtoBマーケティング研究チーム
私たちは、「日本のBtoBマーケティングをアップデートする」をミッションに活動する専門家チームです。
BtoB領域に特化して、17年以上・支援社数200社以上のマーケティング支援を手掛け、そこで蓄積された成功事例や実践的なノウハウを、現場で奮闘するマーケターの皆様にお届けしています。
チームには、戦略コンサルタント、データアナリスト、コンテンツ制作のプロフェッショナルが在籍し、多角的な視点から成功のヒントを発信します。
