WordPressのPHPバージョンアップの進め方|互換性の確認から切り替え・戻し方まで
PHPのサポート期限が近づいたり、WordPressの推奨環境が変わったりすると、PHPのバージョンを上げる必要が出てきます。ところが、PHPのバージョンアップは、WordPressやプラグインの更新とは違う種類のトラブルが起きやすい作業です。
この記事では、PHPのバージョンアップで起きやすい互換性の問題と、事前の確認、切り替え、問題が起きたときの戻し方までを解説します。
PHPのバージョンアップで起きやすいこと
PHPは、新しいバージョンになるたびに、古い書き方を使えなくしたり、動作を厳しくしたりしています。そのため、古いPHPに合わせて作られたテーマやプラグインが、新しいPHPでは動かなくなることがあります。
よくある症状
- 画面が真っ白になる、または「重大なエラー」と表示される
- 一部の機能(お問い合わせフォーム、検索など)だけが動かない
- 画面に警告のメッセージが表示される
- 管理画面にログインできなくなる
原因になりやすいもの
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原因 |
内容 |
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削除された機能を使っている |
古い PHP で非推奨とされていた関数などが、新しいバージョンで削除され、エラーになる |
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動作が厳しくなった |
以前は警告で済んでいた書き方が、新しいバージョンではエラーとして止まるようになる |
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開発が止まったプラグイン |
新しい PHP に対応する更新が出ないまま放置されている |
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独自に作られたテーマや機能 |
制作時の PHP に合わせて書かれ、その後見直されていない |
とくに、何年も前に作られたサイトで、独自のテーマや機能を使っている場合は注意が必要です。
PHPのバージョンアップの全体の流れ
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段階 |
やること |
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1. 準備 |
移行先のバージョンを決め、現状を把握する |
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2. 互換性の確認 |
テーマとプラグインの対応状況を確認する |
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3. 検証 |
本番と同じ条件の検証環境で、新しい PHP を試す |
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4. 修正 |
問題があれば、プラグインの更新・入れ替えや、テーマの修正を行う |
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5. 本番の切り替え |
バックアップを取り、本番の PHP を切り替える |
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6. 切り替え後の確認 |
表示、機能、エラーのログを確認する |
WordPress 本体やプラグインの一般的な更新の手順は「WordPressのアップデートで事故を起こさない運用ルール」で解説しています。この記事では、PHPならではのポイントを中心に説明します。
1. 準備:移行先と現状を把握する
移行先のバージョンを決める
移行先は、サポート期間が十分に残っていて、使っているテーマとプラグインが対応しているバージョンを選びます。選び方の考え方は「PHPのサポート期限とは?」で解説しています。
現状を一覧にする
次の情報を一覧にしておくと、確認の漏れを防げます。
- 現在のPHPのバージョン
- WordPress本体のバージョン
- 使っているテーマ(独自に作ったものか、市販のものか)
- 有効にしているプラグインの一覧と、それぞれの最終更新日
- 独自に追加した機能やコード(functions.phpの追記など)
2. 互換性の確認
プラグインとテーマの対応状況を確認する
プラグインは、配布ページで「必要なPHPのバージョン」や最終更新日を確認できます。長く更新されていないプラグインは、新しいPHPに対応していない可能性が高いため、代わりのプラグインを探しておきましょう。
市販のテーマは、提供元の案内で対応しているPHPのバージョンを確認します。
独自のコードを確認する
独自に作られたテーマや機能は、提供元の案内がないため、コードを確認する必要があります。PHPのバージョンごとの互換性を自動で点検するツール(PHP_CodeSniffer用の「PHPCompatibility」など)を使うと、問題がありそうな箇所を洗い出せます。ただし、ツールで見つからない問題もあるため、最終的には検証環境での動作確認が欠かせません。
制作会社に確認する
サイトを制作会社に作ってもらった場合は、移行先のバージョンで動作するかを制作会社に確認しましょう。保守契約の範囲に含まれるかもあわせて確認しておくと安心です。
3. 検証:本番と同じ条件で試す
本番環境を複製した検証環境で、PHPを移行先のバージョンに切り替えて動作を確認します。PHP以外の条件(プラグインの構成、データなど)が本番と違うと、検証の意味が薄れるため、できるだけ本番と同じ状態にそろえます。検証環境の作り方は「WordPressのテスト環境・ステージング環境の作り方」で解説しています。
検証で確認したいこと
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確認項目 |
確認の方法 |
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主要なページの表示 |
トップページ、一覧ページ、記事ページなどを開いて確認する |
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フォーム |
お問い合わせフォームを送信し、メールが届くかを確認する |
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検索やログインなどの機能 |
実際に操作して確認する |
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管理画面 |
投稿の作成・編集、メディアのアップロードを試す |
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エラーのログ |
警告やエラーが出ていないかを確認する |
エラーのログを確認する
画面上は問題なく見えても、裏で警告が出ていることがあります。検証環境では、WordPressのデバッグ機能(wp-config.phpのWP_DEBUGとWP_DEBUG_LOG)を有効にして、ログに出る警告を確認しておきましょう。「非推奨(Deprecated)」の警告は、今は動いていても、次のバージョンで動かなくなる可能性があるという合図です。
なお、本番環境ではデバッグの表示を有効にしたままにしないよう注意してください。
4. 修正:問題があった場合の対応
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問題の原因 |
主な対応 |
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プラグインが対応していない |
プラグインを更新する。更新がなければ代わりのプラグインに入れ替える |
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市販のテーマが対応していない |
テーマを最新版に更新する。対応版がなければテーマの変更も検討する |
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独自のコードが動かない |
新しい PHP で動くようにコードを修正する(制作会社や開発者に依頼) |
修正の規模が大きい場合は、移行のスケジュールを見直す必要があります。サポート期限から逆算して、余裕を持って着手することが大切です。
5. 本番の切り替え
切り替えの前に
- 本番環境のバックアップ(ファイルとデータベースの両方)を取る
- アクセスが少ない時間帯を選ぶ
- 問題が起きたときに戻す手順と、判断する人を決めておく
切り替えの方法
PHPのバージョンの切り替え方は、サーバーの種類によって異なります。
- レンタルサーバーやホスティングサービス:管理画面からバージョンを選んで切り替えることが多い
- VPSやクラウドで自前構築:新しいバージョンのPHPをインストールし、Webサーバーの設定を切り替える
誰が切り替えを行うのかは、サーバーの契約形態によって変わります。詳しくは「PHPの更新は誰がやる?」で比較しています。
6. 切り替え後の確認
切り替えたら、検証のときと同じ項目を本番環境でも確認します。あわせて、切り替えから数日は、サーバーのエラーのログや、問い合わせの件数、アクセス数に変化がないかを見ておきましょう。
PHPのバージョンを上げると、処理が速くなることもあります。表示速度の変化も確認しておくと、効果を社内に説明しやすくなります。表示速度の考え方は「WordPressが重い・落ちる原因と対策」で解説しています。
問題が起きたときの戻し方
PHPのバージョンを元に戻す
管理画面でPHPのバージョンを切り替えられるサーバーでは、元のバージョンに戻すのが最も早い対処です。戻した後で、原因を検証環境で調べます。
バックアップから復元する
PHPを戻しても直らない場合や、切り替えの後にデータが変わってしまった場合は、切り替え前に取ったバックアップから復元します。
戻した後にやること
元のバージョンに戻したままにせず、原因を特定して修正し、改めて切り替えの日程を決めます。サポートが終了したバージョンに戻した場合は、そのまま使い続けることのリスクが大きいため、早めに再挑戦しましょう。
検証と切り替えを手軽に行える「WP-Chorus」
「WP-Chorus」は、NHNテコラスが提供する企業向けのWordPressクラウドホスティングです。PHPのバージョンアップに役立つ機能を標準で備えています。
- 本番環境を複製したステージング環境をワンクリックで作成でき、新しいPHPでの動作確認に使える
- ステージング環境で確認した内容を、ワンクリックで本番環境に反映できる
- 自動バックアップと、コントロールパネルからの復元
まとめ
- PHPのバージョンアップでは、削除された機能や厳しくなった動作によって、テーマやプラグインが動かなくなることがある
- 準備、互換性の確認、検証、修正、本番の切り替え、切り替え後の確認の順に進める
- 検証では画面だけでなく、エラーのログの「非推奨」の警告も確認する
- 切り替え前にバックアップと戻す手順を用意しておく
サポート期限に追われてから慌てないよう、余裕を持って計画的に進めてください。
本コラムの作成・編集者
ターゲットメディア株式会社 BtoBマーケティング研究チーム
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